赤い激流・第十七回レビュー

2011.09.18 Sunday 20:13
hirorin


敏夫は、「何も信じられない。裁判所や検事に殺されるくらいなら自分で死ぬ」と、海に飛び込む。華江も追いかけるが、やはり敏夫は死にきれない。
華江に助けられ、海や空、自然が生きていることを感じて、「死にたくない。生きていたい」と漏らす。
東山夫妻は中川検事に敏夫が華江を連れて逃げたことを伝え、中川検事は、敏夫の保釈取り消しを決める。宮島家では華江のことを心配していたが、華江から電話があり、宮島家の別荘に二人でいることがわかる。敏夫はその別荘でひたすらピアノを弾いていた。武と由美子が別荘につくと、敏夫は「ピアノさえあれば、裁判も、死刑も、何もかも忘れて生きられる。俺は何も怖くない」と話す。その時、別荘に検事が来た。保釈を取り消すと言う。弁護士の山田は、たった一度、保釈の要件を破っただけで保釈取り消しはやりすぎだと訴えるが、聞く耳は持たれない。
宮島学長と、東山正彦が大沢家を訪れた。宮島学長がコンクールの審査委員長、正彦が審査員に選ばれたのだ。コンクールの内規では、犯罪の容疑者は、出場を認められないと言う。武には、どうしようもなかった。
拘置所で、武は敏夫に保釈が認められないことと、コンクールに出場できないことを伝える。敏夫はやけになり、「先生は俺をだました」と言って笑いながら面会室を出て行く。武は、自分の力のなさを謝るが、由美子はあなたを責められる人間は誰もいないと言う。
武の弟、実がアメリカのコンサートツアーから戻った。久しぶりに飲み屋で語り合う兄弟。法律と内規の前に、自分の無力さを嘆く武に、「法律は、人間が作ったもの。それは人間にしか壊せない。規則や法律よりも強いもの、それは真実だ。真実が、負けるはずがない」と、諦め顔の武を励ます。どうすればいいのかわからないと言う武に、「負けと決めてかかるのは兄貴らしくない。コンクールのほうは俺がやる。兄貴は検事のほうをあたれ。真実の塊になってぶつかれ。」「兄貴、相撲と同じだ」と、昔武が相撲で強かったことを上げて、「真実で思いっきりぶつかれそうすれば、相手はひっくり返る」と励ます。その言葉に、武は命懸けでやることを誓う。

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[Serene Bach 2.23R]