赤い激流・第十六回 レビュー

2011.09.16 Friday 22:26
hirorin


敏夫が保釈された。敏夫は武に抱きついて喜ぶが、江上刑事が保釈中は敏夫に張り付くことが分かる。家に戻った敏夫は、まっすぐピアノに向かい、練習を始める。
「カンパネラは教会の鐘。神の声だ。大空から見下ろす、神の声を歌い上げろ」武の指導も開始された。由美子と妙子が作った料理を、敏夫は喜んで食べる。敏夫は、家のありがたさをかみしめていた。信一が仕事から戻るが、敏夫に保釈中の注意を与え、これから自分は検察庁の寮で暮らすと話す。「未決囚と検事は一緒に暮らせない。父が敏夫のために家を売り、無一文になったことをよく考え、絶対に忘れるな」とののしる。武はそんな信一を思わず殴った。「信一、なぜ私が殴ったか分かるか。家を売ったのは、みんな私が勝手にやったことだ。敏夫君に恩を着せるな」武はそういって叱るが、信一は出て行く。敏夫はそのやり取りを聞いて、「ありがとうございます。本当にすみません」と頭を下げた。「こうなったら、必ずコンクールに優勝し、一流ピアニストになって恩返しする」と言って、ピアノに向かうのだった。自分の部屋に一人になった敏夫は、辛さに涙する。
夜中、敏夫は宮島家に忍び込んだ。明彦と華江は、敏夫を歓迎し、東山夫妻の寝室に案内する。敏夫は正彦に武を大学に戻すように願い出る。敏夫が殺人で逮捕されているからそんなことはありえないと笑う正彦に、敏夫は怒る。正彦は敏夫を挑発し、敏夫が殴りかかろうとするのを、華江と明彦は止める。警察に連絡しようとする菊子を、明彦は「そんなことしたら、ただじゃおかないぞ!バッバァ!」と電話をひったくった。華江に説得されて、敏夫は今夜は諦めた。宮島家から出てきた敏夫を、江上刑事が迎える。保釈を取りけすと言う刑事を、武が駆けつけて止めた。敏夫は、自分のために武が無一文になったことを嘆く。武は「私は無一文だろうとへこたれない。敏夫がコンクールに優勝すれば満足だ。君が田代君を殺していないことが真実だ。真実とともに生きるんだ」と励ます。
ピアノのレッスンを続ける敏夫に、リストの本が届いた。やはり清司からだった。さらに山田弁護士にも、田代清司から電話がかかる。「あの焼け焦げの死体は田代清司ではない。それを証明しろ」という内容だ。山田弁護士は、清司が生きていれば、裁判自体が無効になることを指摘し、次の公判でその点をついてみることにする。

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