赤い激流・第八回 レビュー
本日なぜか一時期第六回が消えていました。再アップしました。
第七回レビューはコチラ
「パリからの哀しい便り」
あらすじ
敏夫のコンクール出場を知った田代清司は、大沢家に乗り込み、由美子と敏夫をあきらめる代わりに、宮島音楽大学で教師として就職させることを大沢武に要求する。仕事があれば少しは落ち着き、人間らしく生活できるかもしれないと、武は就職の斡旋を約束する。武の息子信一は、叔父の東山正彦に田代を大学に入れないように頼むが、なぜか正彦は、武の説得に応じ、清司を大学付属の子供向けピアノ教室の講師にすることを提案。学長もしぶしぶ許可した。
周囲の不安をよそに、清司はピアノ教室を無難にこなし、生徒の評判もかなりいい。プライドの高い清司が子供向けの教師に満足するかすら心配していた武は、胸をなでおろした。
信一は、正彦に真意を問うが、はぐらかされる。正彦の本音は、清司に恩を売って、音楽大学の学長になるための駒にするつもりだったのだ。
そんな時、武の長女・紀子(山口百恵)から手紙が届く。パリの国立音楽大学にバイオリンで留学していた紀子は、バイオリンの教師・木元光子(岸恵子)の恋人のことを記していた。教師として一流の光子は、急に失踪した恋人を探していた。その相手とは、田代清司だった。
清司は自分のマンションに敏夫を呼び、華江と結婚することを命じる。華江と結婚すれば、宮島音楽大学を乗っ取り、学長や武を追い落とすことが出来るという清司に対し、敏夫には殺意が芽生えるのだった。
華江の好意を感じた敏夫は、連れ込み宿に華江を連れ出し、自分を卑下して嫌われようとするが、華江は信じない。連れ込宿に二人が入っていくのを目撃した従弟の明彦は、宮島家に連絡。武や実、正彦で二人を連れ戻す。敏夫は開き直るが、実から連れ込み宿に行くような男ではないと弁護される。更に、宮島学長本人が著書で恋をしない者は音楽家として大成しないと記していた事を引き合いに出して、怒る学長をやりこめる。退学などは免れたが、華江と敏夫は、宮島学長より、改めて交際を禁じられる。
武は敏夫に問う。「華江さんが好きか?」「好きだ!でも結婚は絶対できない!」そう叫ぶ敏夫に、武は結婚は身分ではないと諭そうとする。しかし敏夫は別のことを考えているのだ。確かに、華江の事は好きだ。けれども、彼女との結婚は、宮島音楽大学学長の座を意味しており、そうなれば、清司の思うつぼなのだ。「結婚できなくても、先生と母さんの幸せは、必ず守る」
そう告げて、敏夫は去った。武には、その言葉の意味が、まだ理解できなかった。
敏夫はついに清司を殺す夢を見てしまう。敏夫の精神は、追い詰められていた。
感想
山口百恵きた!
声と写真のみの出演だったが、紛れもなく山口百恵だった。これの出演のためにわざわざパリに行ったのだろうか。どうだろうか。
紀子こと、山口百恵のパリでの先生は岸恵子だ。
岸恵子がものすごくスリムだ。今の女優に負けないくらい痩せている。でもすごく素敵だ。ちなみに、岸恵子の恋人が田代清司であることは、視聴者だけに明かされる秘密である。
いやはや、今回の大沢先生の性善説には、いくらなんでも首をかしげた。
大沢先生、敏夫や由美子、信一にいくら反対されても、田代に就職を斡旋しようとする。人間、仕事があって生活も安定すれば、明るく、まっとうになる、と信じている。また、由美子や敏夫が自分を慕っていることに対して、どうしても負い目を感じてしまうらしい。就職の斡旋くらい当然の義務だと思ってしまっている。この人、よく今まで無事で生きてこられたもんだ。
下手すると、いろんな霊感商法とかに付け込まれて大変なことになっていただろう。
今回も頼りになるのは実叔父さんである。敏夫が華江を連れ込み宿に連れて行った事に疑問を感じ、敏夫が連れ込み宿を使うほど世慣れていないことを、すぐさま宿の仲居に聞いて分かってしまった。実直な武ならとっさにここまで頭が回らない。
そして、連れ込み宿での敏夫の挙動不審さ加減が笑いを誘う。華江は自分がどういう所にいるのか分かっていない風だったが、それにしても敏夫の落ち着かなさとの対比が良かった。
さて、今回の前半注目は、信一の大活躍。
宮島家と華江のために奔走するのだが・・・。
検事って、そんなに暇なんか。
仕事中っぽいのだが、音楽大学に来て、敏夫と喧嘩してみたり、明彦に華江と敏夫のデートの後をつけるように言ってみたり・・・。
そして、極めつけは、
「父さんは、僕より敏夫のほうがかわいいんだ!ピアノの腕を継げる敏夫のほうが可愛いんだ!」と、大学の中庭で大絶叫+半泣き(笑)。
あんた、いくつだよ。
思うに、信一は、反抗期というものがなかったのではないだろうか。勉強ができ、エリートコースまっしぐらの彼は、ろくな挫折もなかったに違いない。しかし敏夫の登場で、自分のアイデンティティが、今頃になって揺らいできたのだろう。
なぜ華江は、自分の軽蔑する敏夫と付き合うのか、父はなぜ、敏夫にばかり構うのか・・・。
すべてを持てる者は、それが少しでも欠けたと感じると、途端に喪失感に襲われる。逆に、持たざる者は、少しでも手に入るだけで満足できるものだ。
信一の場合、明らかに前者だろう。武の愛情は、少しも減じていない。ただ、信一に裂く時間が減っただけなのだ。
しかし、信一は自信の揺らぎを感じるあまり、奇妙な言動をする。
従弟で華江に同じくプロポーズした明彦に、「君に華江さんを取られるなら我慢できるが、敏夫に取られるのだけは我慢できない!」と言い放つのだ。明彦は、信一と比べれば明らかに格下だろう。敏夫にだって、勝っているものといえば、家柄だけと言える。それなのに、明彦になら華江を譲るとは?敏夫を嫌うあまり、冷静な判断ができなくなっているとしか思えない。
こんな検事さん、あなたなら、いかがですか?
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「パリからの哀しい便り」
あらすじ
敏夫のコンクール出場を知った田代清司は、大沢家に乗り込み、由美子と敏夫をあきらめる代わりに、宮島音楽大学で教師として就職させることを大沢武に要求する。仕事があれば少しは落ち着き、人間らしく生活できるかもしれないと、武は就職の斡旋を約束する。武の息子信一は、叔父の東山正彦に田代を大学に入れないように頼むが、なぜか正彦は、武の説得に応じ、清司を大学付属の子供向けピアノ教室の講師にすることを提案。学長もしぶしぶ許可した。
周囲の不安をよそに、清司はピアノ教室を無難にこなし、生徒の評判もかなりいい。プライドの高い清司が子供向けの教師に満足するかすら心配していた武は、胸をなでおろした。
信一は、正彦に真意を問うが、はぐらかされる。正彦の本音は、清司に恩を売って、音楽大学の学長になるための駒にするつもりだったのだ。
そんな時、武の長女・紀子(山口百恵)から手紙が届く。パリの国立音楽大学にバイオリンで留学していた紀子は、バイオリンの教師・木元光子(岸恵子)の恋人のことを記していた。教師として一流の光子は、急に失踪した恋人を探していた。その相手とは、田代清司だった。
清司は自分のマンションに敏夫を呼び、華江と結婚することを命じる。華江と結婚すれば、宮島音楽大学を乗っ取り、学長や武を追い落とすことが出来るという清司に対し、敏夫には殺意が芽生えるのだった。
華江の好意を感じた敏夫は、連れ込み宿に華江を連れ出し、自分を卑下して嫌われようとするが、華江は信じない。連れ込宿に二人が入っていくのを目撃した従弟の明彦は、宮島家に連絡。武や実、正彦で二人を連れ戻す。敏夫は開き直るが、実から連れ込み宿に行くような男ではないと弁護される。更に、宮島学長本人が著書で恋をしない者は音楽家として大成しないと記していた事を引き合いに出して、怒る学長をやりこめる。退学などは免れたが、華江と敏夫は、宮島学長より、改めて交際を禁じられる。
武は敏夫に問う。「華江さんが好きか?」「好きだ!でも結婚は絶対できない!」そう叫ぶ敏夫に、武は結婚は身分ではないと諭そうとする。しかし敏夫は別のことを考えているのだ。確かに、華江の事は好きだ。けれども、彼女との結婚は、宮島音楽大学学長の座を意味しており、そうなれば、清司の思うつぼなのだ。「結婚できなくても、先生と母さんの幸せは、必ず守る」
そう告げて、敏夫は去った。武には、その言葉の意味が、まだ理解できなかった。
敏夫はついに清司を殺す夢を見てしまう。敏夫の精神は、追い詰められていた。
感想
山口百恵きた!
声と写真のみの出演だったが、紛れもなく山口百恵だった。これの出演のためにわざわざパリに行ったのだろうか。どうだろうか。
紀子こと、山口百恵のパリでの先生は岸恵子だ。
岸恵子がものすごくスリムだ。今の女優に負けないくらい痩せている。でもすごく素敵だ。ちなみに、岸恵子の恋人が田代清司であることは、視聴者だけに明かされる秘密である。
いやはや、今回の大沢先生の性善説には、いくらなんでも首をかしげた。
大沢先生、敏夫や由美子、信一にいくら反対されても、田代に就職を斡旋しようとする。人間、仕事があって生活も安定すれば、明るく、まっとうになる、と信じている。また、由美子や敏夫が自分を慕っていることに対して、どうしても負い目を感じてしまうらしい。就職の斡旋くらい当然の義務だと思ってしまっている。この人、よく今まで無事で生きてこられたもんだ。
下手すると、いろんな霊感商法とかに付け込まれて大変なことになっていただろう。
今回も頼りになるのは実叔父さんである。敏夫が華江を連れ込み宿に連れて行った事に疑問を感じ、敏夫が連れ込み宿を使うほど世慣れていないことを、すぐさま宿の仲居に聞いて分かってしまった。実直な武ならとっさにここまで頭が回らない。
そして、連れ込み宿での敏夫の挙動不審さ加減が笑いを誘う。華江は自分がどういう所にいるのか分かっていない風だったが、それにしても敏夫の落ち着かなさとの対比が良かった。
さて、今回の前半注目は、信一の大活躍。
宮島家と華江のために奔走するのだが・・・。
検事って、そんなに暇なんか。
仕事中っぽいのだが、音楽大学に来て、敏夫と喧嘩してみたり、明彦に華江と敏夫のデートの後をつけるように言ってみたり・・・。
そして、極めつけは、
「父さんは、僕より敏夫のほうがかわいいんだ!ピアノの腕を継げる敏夫のほうが可愛いんだ!」と、大学の中庭で大絶叫+半泣き(笑)。
あんた、いくつだよ。
思うに、信一は、反抗期というものがなかったのではないだろうか。勉強ができ、エリートコースまっしぐらの彼は、ろくな挫折もなかったに違いない。しかし敏夫の登場で、自分のアイデンティティが、今頃になって揺らいできたのだろう。
なぜ華江は、自分の軽蔑する敏夫と付き合うのか、父はなぜ、敏夫にばかり構うのか・・・。
すべてを持てる者は、それが少しでも欠けたと感じると、途端に喪失感に襲われる。逆に、持たざる者は、少しでも手に入るだけで満足できるものだ。
信一の場合、明らかに前者だろう。武の愛情は、少しも減じていない。ただ、信一に裂く時間が減っただけなのだ。
しかし、信一は自信の揺らぎを感じるあまり、奇妙な言動をする。
従弟で華江に同じくプロポーズした明彦に、「君に華江さんを取られるなら我慢できるが、敏夫に取られるのだけは我慢できない!」と言い放つのだ。明彦は、信一と比べれば明らかに格下だろう。敏夫にだって、勝っているものといえば、家柄だけと言える。それなのに、明彦になら華江を譲るとは?敏夫を嫌うあまり、冷静な判断ができなくなっているとしか思えない。
こんな検事さん、あなたなら、いかがですか?
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Comments
ありがとうございます!
なかなか信一は笑わせてくれますね。
あの人にだけは渡したくない!という気持ちは非常にわかりますが、明彦になら渡してもいいという気持ちは理解できませんね・・・。敏夫より上品だということでしょうか。