SWEET SWEET SWEET

手作りのお菓子やパン、料理など美味しいもの、
そして大好きな本など紹介します♪

赤い激流の音楽。

ドラマレビューは一旦終了しましたが、コメント欄に、ドラマ中で使用されたピアノ曲の一覧を!というリクエストをいただきまして、わかるところだけでも書き出そうかと思います。とりあえず、重複するところも、印象深い場面のところは書き出しています。抜けているところはご指摘ください。
※コメント欄の指摘により、追記させていただきます。ありがとうございました。

第2回
 ショパン「木枯らしのエチュード」大沢武(宇津井建)が自宅で弾く。これを聞くと・・・スチュワーデス物語が思い浮かぶ。
 ショパン「ワルツ 嬰ハ短調 作品64-2」敏夫(水谷豊)が最初に武から指導される曲。
 リスト「ハンガリアンラプソディー」敏夫の大学受験の課題曲。正彦対策のためスケールの練習ばかりなので、あまり曲の印象がない。

第3回
 ショパン「英雄ポロネーズ」毎朝音楽コンクール第一次予選課題曲初登場。武の弾き方がなんというか・・・すごいです。
 ショパン「革命のエチュード」怒る敏夫をなだめるために、武が「英雄ポロネーズ」の代わりに練習させる曲。田代清司(緒形拳)も弾いていた。
 モーツアルト「交響曲第41番 第一楽章」ピアノアレンジの連弾。大沢実(石立鉄夫)が指揮科の指導の際学生に弾かせていた。
 

第4回
 ベートーベン「ピアノソナタ・悲愴」清司が敏夫のアパートで夜弾いていた。明らかに近所迷惑。

第6回
 ショパン「子犬のワルツ」華江(竹下景子)が大学で弾いているところに敏夫乱入。華江にすがりついて泣いた。

第7回
 菊池俊輔「赤い激流挿入曲」ジャズバー(?)で昼間敏夫が弾いていた。いつものドラマの挿入曲をポップにアレンジ。笑った。
 ショパン「ワルツ 嬰ハ短調 作品64-2」華江の誕生日でバックに流れていた。レコードだろうか。
 ヒル姉妹「ハッピーバースデートゥーユー」華江の誕生日で全員合唱。武の声が目立っていた。弾いていた人物は不明。たぶん武。
 ベートーベン「エリーゼのために」華江の誕生日で敏夫が弾いて送ったプレゼント。これには華江メロメロ。

 
※敏夫が弾いていた挿入曲には「敏夫のテーマ」という題名があるそうです。やっぱりなという感じです。(情報提供:キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命さん)

第8回
 モーツアルト「きらきら星変奏曲」子供ピアノ教室で女の子が弾いている。清司うんざり顔。

第9回 
 バイエル「第100番」子供ピアノ教室で女の子が弾いている。
 ベートーベン「ピアノソナタ・悲愴」正彦先生(前田吟)が弾く。ピアニスト・正彦が弾くのはこの回のみ。
 モーツアルト「トルコ行進曲」ハンツ・シュルツ(という世界的ピアニストという設定)が大学の夏合宿で弾いているのをみんなで見学。
 

第10回
 三郎と良介の家で敏夫がロマンティックに弾いている曲と
  華江が信一(中島久之)との婚約パーティーで弾く曲名が今のところ分からない。有名なのにね。

※敏夫が弾いていたのはシューマン「トロイメライ」でした。華江のほうは、メンデルスゾーンの「春の歌」でした。(情報提供:キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命さん)

第11回
 ショパン「英雄ポロネーズ」なんと、田代清司が自宅で練習している。しかしうまく弾くことが出来ずにイライラ。

第12回
 ベートーベン交響曲「英雄」第二楽章ピアノ曲ではないが、重要な場面なのであげておきます。この曲は何度か出てくる。実が指揮するオーケストラで演奏されていたり、誰かが聞いていたり。

第15回 
 リスト「ラ・カンパネラ」毎朝音楽コンクール第二次予選課題曲。宮島学長(小沢栄太郎)が敏夫のために録音してくれた。学長は日本におけるリストの大家という設定。敏夫の「床の上でラ・カンパネラ」もこの回。
 

第18回 
 ベートーベン「ピアノソナタ・テンペスト第3楽章」毎朝音楽コンクール本選課題曲。武と由美子(松尾嘉代)にとって、若き日の思い出の曲。

第19回
 作詞:武島羽衣 作曲:田中穂積「美しき天然」刑務所で、囚人コーラス部が歌っていた曲。敏夫は伴奏、武は指揮をした。
 作詞:三木露風 作曲:山田耕作「赤とんぼ」別の日、囚人コーラス部が歌っていた曲。敏夫は伴奏しながら、脱獄の計画を練っていた。武は由美子が出て行って気もそぞろ。

第23回 
 ショパン「革命のエチュード」由美子の入院中、華江が宮島家で弾いていた。きっと他に何もすることがなかったんだろう。

第24回
 ショパン「ワルツ 嬰ハ短調 作品64-2」華江が病床の学長の前で演奏。宮島家には、各部屋にピアノがあるらしい。
 ベートーベン「ピアノソナタ・テンペスト第3楽章」学長の枕元で敏夫が弾く。「いいな・・・音楽は・・・ピアノは・・・」学長の感動がこちらにも伝わってくる。

第25回
 リスト「ラ・カンパネラ」宮島家のパーティーで敏夫が弾く。敏夫のピアノを聞いて木元光子(岸恵子)が田代清司のことを思い出す場面は感動的。実叔父さん大絶賛。

第26回
 ショパン「葬送行進曲」学長の葬儀で大沢武が弾く。中指が動かなくても結構弾けてる。


こんなものでしょうか。
私としては、弟10回の曲題名が気になっています。
曲の全部を聞いてみても楽しいですね。
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赤い激流・最終回二十六回 レビュー ネタバレあり

このレビューは、最終回の核心部分・真犯人を完全ネタバレいたします。ご注意ください。あらすじも過去最高に長いです。ご注意ください。
第二十五回はコチラ
「愛はいのち」

あらすじ

警察から身を隠すうちにはぐれてしまった敏夫と武。武が木元光子とともに宮島家に戻ると、宮島学長が倒れて救急車で運ばれるところだった。学長の妻・あやに付き添ってほしいと言われ、病院に同行する武。宮島家に残る信一に、由美子と敏夫から連絡があったら、無茶をせず隠れているように指示してほしいと話す。信一は頷いて送り出した。学長の癌は脳にまで転移しており、手術も無駄な状態になっていた。正彦は病院に武がいることを警察に電話し、敏夫が病院に現れるはずと話す。敏夫が死刑になれば武は大学に戻ることはできない。正彦は大学と宮島家が手に入るとほくそえんでいた。一方敏夫は由美子と逃げ続けて夜を明かした。敏夫は大学病院に行って学長から直接真犯人を聞き出すと言う。(注1)由美子は必死で止めるが、死刑になるか、無罪になるかこの一事にかけると言う。由美子は覚悟して敏夫とともに病院に行く。病院に敏夫がつくと、果たして警察が待ち構えていた。敏夫は賭けに負けたのだ。敏夫とともに由美子も逮捕されてしまう。武は病室からその様子を見て駆けつける。敏夫は「母さんだけは助けてくれ」と言い残して連行される。「必ず助ける」そう二人を励ます武。拘置所から護送車に乗り込む敏夫を信一が呼び止めた。今日、敏夫は東北の刑務所に移され、そこで死刑が執行される見通しだった。(注2)「敏夫!あきらめるな!きっと真相をはっきりさせて、お前を助ける」そう励ます信一に、敏夫は頼みが二つあると言う。「華江さんと結婚して、幸せにしてくれ」「本気で言っているのか」驚く信一に敏夫は続けた。「本気だ。それと、母さんを母親と認めて、『お母さん』と呼んでやって欲しい」「分かった。敏夫、諦めるなよ」敏夫は上野発仙台行の普通列車に乗せられ、出発した。「母さん、先生、さようなら」
信一から敏夫が死刑場がある東北刑務所に送られたこと、刑の執行は近いことを聞かされた武は(注3)、実から誰にも遠慮せず、正しいことをやれと励まされる。
田代清司のマンションでは、木元光子が清司に別れを告げ、フランスに発とうとしていた。そこへ武と実が現れる。武は、清司を愛しているなら、その清司の息子、敏夫が殺されるのをなぜ黙ってみているのかと、真相を話すよう迫る。光子は今自分が苦しんでいるのは、愛している人のためだと言う。やはり光子は誰かをかばっている。それは誰だと問う武に、光子はそれだけは言えないと泣き崩れる。その様子を見ていた実と武は、真犯人が誰だか分かってしまう。光子が死んでもかばいたい人間。自分の師・親と思う人物。それは一人しかいなかった。その事実に、武と実は打ちのめされた。
武は宮島家にすべてを明らかにするために来た。正彦は面会謝絶だと言うが、武は振り切って上り込む。あやは、もう少しで死ぬ人間を苦しめたいのかと武を責めるが、「お義母さんも、学長も正しい立派な人間です。最後まで堂々と正しく生きてほしい」と武が言うと、あやは覚悟を決めた。
学長が真実を話すときが来た。
真犯人は・・・私だ」
がっくりと力が抜ける武。
正彦の裏口入学で、田代清司から強請られていた学長は、金だけならまだしも、一生をかけて育て、命より大事な大学まで奪われそうにっていることに悩んでいた。殺すつもりはなかったけれども、気性の激しいあやは、清司を殺すと何度も口にしたという。それでも話し合うために清司のマンションに行った。清司の顔を見ると、急に清司への憎しみが抑えられなくなった。学長も芸術家、カッとなり自分を押さえつけられず、殴りかかる。しかし清司の力が強く、学長は逆に床にたたきつけられた。学長はそこへ転がっていた由美子の包丁で清司に切り付け、気が付くと清司は死んでしまったのだった。清司に会いに来ていた光子は学長が逃げ出す際廊下で出会い、血で汚れた服を見たが、何も言わずにフランスに帰った。(注4)学長は苦しみ抜き、敏夫が逮捕されてからは毎日が地獄だった。何とか敏夫の罪をなくすため、清司が生きているように、清司の名をかたって電話や郵便物を送りつけたのは学長だったという。何度も自首しようとしたが、大学や音楽の才能を育てることを捨てきれなかった。それでも自首しようとしたが、癌だと知ったあやが、それを止めていた。しかし、学長は最後に正しく生きることを選び、自首を決意したのだ。学長は、大学を武に受け継いでほしいと願い出る。武は大学を引き受け、学長の精神を伝えると約束する。学長は大沢一家を死ぬほど苦しめたことを謝罪し、早く敏夫を自由の身にしてくれと頼む。武は学長の体を気遣い、もう休むように勧めた。
正彦はその様子を立ち聞きしており、菊子に伝える。愕然とする菊子。正彦は薄々感づいており、光子に問い詰めていたという(注5)。そこへ武が入ってきた。正彦は学長を追い落としてまで大学を手に入れたいのかとなじるが、武は「今日こそ君を許さない」と言って、正彦を殴りつけた。「学長は人を殺すような人間ではない。しかしその人に田代君を殺させたのは君だ。君の裏口入学さえなければ、田代君はゆすらなかったし、学長も殺さずに済んだ。君が自分の罪を詫びるまで許さない」そう言って殴る武。明彦も菊子も、正彦の罪を認め、詫びるよう促す。正彦は「学長に両手をついて詫びる。それで罪が償えなければ、菊子と別れる」と言う。それを武がまた殴った。「そんなことで罪が消えるのですか。あなたがやることはたった一つ。私と力を合わせて、大学と宮島家を守ることだ。それが本当の罪の償いだ」驚く正彦に、「大学の経営は私には無理だ。あなたの力が必要だ」と言う武。「分かった。私でよければ、引き受ける」そう言う正彦に、武は安堵した。「家族が力を合わせれば、なんだってできる。菊子さんと明彦君を、大事にしてほしい」と頼む。菊子も「あなたを支える」と宣言し、明彦も「二人に心配かけないようにする」と誓った。正彦はその二人を抱きしめる。「私は一から出直す。宮島家を守り抜く」東山親子が、新しいきずなで結ばれた。
警察は、医師の診察から拘留することは無理と判断し、取り調べは自宅ですることになる。光子は学長のそばにいたがるが、学長は警察に捕まる姿を見せたくないと、フランスに帰す。東北の刑務所から敏夫が釈放された。そこへ駆け寄る武、由美子、信一、妙子。喜び合う一同。泣き崩れる由美子を信一が助け起こし、「お母さん」と声をかけて、笑いかけ、ハンカチを渡す。それを聞いて、敏夫は信一が初めてお母さんと言ったと喜び、信一に礼を言う。信一は「敏夫、お前も僕の弟なら、コンクールに勝て!負けたら承知しない」と答える。妙子も「兄さん、頑張って!」と励ました。
コンクールが始まった。
テンペストを弾く敏夫。客席から見守る武、実、由美子、妙子、信一。
「本選ピアノ部門第一位は、宮島音楽大学の田代敏夫君」この結果、敏夫はポーランドで開かれるショパンコンクールの出場資格を得た。安堵する武。
優勝者挨拶で敏夫は「どうしようもない自分がコンクールで勝てた理由は二つ。一つは大沢武先生です。(中略)命懸けで自分を導いてくれた。ありがとう、先生。もう一つは僕の家族。優しい母。先生は本当のおやじのようだ。厳しい兄さん。可愛い妹。尊敬する叔父さん。みんなが寄ってたかって僕を愛してくれた。(中略)僕は今までそれに甘えていた。今度は僕が、みんなを愛しぬきます。それ以外に、恩返しの道はない」挨拶が終わり、大沢家のほうに駆けだす敏夫。それを大沢家一同が温かく迎えた。武「礼を言うのは、私の方だ。とうとう本当のピアニストになったな」由美子「母さん幸せ」そう言って敏夫を抱きしめる夫婦だった。
敏夫の優勝を電話で聞いたあやは、学長にそれを伝える。学長は「勝ったか・・・将来が楽しみだ・・・」それだけ言うと、息を引き取った。
学長の葬儀が宮島家で執り行われた。ショパンの「葬送行進曲」を弾く武。武は指が動かなくてもピアノの指導を続けるつもりだった。敏夫は華江を呼び出し、自分と別れて、信一と幸せになれと言う。「自分はピアノと結婚した。いくら好きでも、どうしようもない」そう言うと、最後のキスをして、華江と別れた。
葬儀の会場で信一と祖父の遺影を見る華江。

ポーランドに旅立つ敏夫を大沢夫妻が見送りに来ていた。
ショパンコンクールへの最後の注意を与える武。「俺は今、先生と同じくらい、先生以上に粘り強いよ」と敏夫が答えると、「やっと本当の弟子になったな」と武は笑って答えた。敏夫は「いや、弟子じゃない。子供になったんだ」照れたように笑うと、真剣になり「父さん、元気でね。母さんも」それだけ言うと、背を向けた。初めて敏夫が父と呼んでくれたと、喜ぶ武。父が、階段を駆け上がる息子に「敏夫!」と声をかけると、息子はビクトリーのVサインで答えた。飛行機のタラップから手を振る敏夫。敏夫は旅立った。
あとに残された夫婦二人。辛い苦しいことを乗り越えて、本当の夫婦になった、これからも力を合わせて生きていこうと語り合う二人。
大沢武は、音楽を愛しぬき、一つの本物の家族を作り上げた。




(注1・学長が入院したことは信一に連絡して聞いたのだろうと、脳内補完すべし)
(注2・敏夫は控訴しているはずなので、執行はまだ先だが、だれも指摘しない)
(注3・控訴はいつのまにか取り下げたのだろうと、脳内補完すべし)
(注4・結局西条医師が見た人影とは、学長のことだった?Rの女とは、学長と同じく廊下で行き会ったと考えるべきか)
(注5・前回光子を襲ったのは正彦。首を絞める問い詰め方は異常だが)



感想

はい。
1か月にわたったドラマレビューでしたが、とうとう最終回を迎えました。
いやー、覚えていないもんです。
ほぼ、犯人しか覚えていないと言う状況に、愕然としつつ、でもかえって新鮮な気持ちで楽しめたので良かったです。
最終回、いかがでしたでしょうか。
今回こそ、突っ込みが追い付かない状態ですので、本当の本当に「おいおい」と言うところは、注釈をつけて、自分なりに脳内補完してみました。
私なりの解釈ですので、矛盾点などあるとは思いますが、あまり気にしたら負けのドラマなので、そこはスルーしてください。
また、自分の考えはこうだと言うのがありましたらコメントでお聞かせください。
しかし、お前の考えおかしいよ、みたいなコメントは困りますのでお控えください。
あと、私は基本的にこのドラマを肯定するスタンスを取っています。今まで散々ドラマを面白おかしく批評していますが、馬鹿にする気は毛頭ありませんので、そこんとこよろしく。

このドラマ、「家族」がテーマだったんだなぁって、気づきました。大沢一家は、ふつうなら乗り越えられないような試練を経験した。しかし、武と由美子はバラバラになりそうな家族を必死でつなぎ留め、はじまりとは比べ物にならない強固な絆で結ばれた家族を作り上げた。
家族のきずなはすべてを乗り越え、全員に希望をもたらした。
良かった。ドラマだから・・・と言ってしまえばそれまでなのだが、まさしくドラマチックに家族愛を見せてくれたなぁと思う。

このドラマの原動力はなんといっても宇津井健だ。この人でないと、大沢武は表現できなかっただろうと思う。それほどすべてを投げ出し、すべてに打ち込み、すべてを愛する人物を完全に演じきったと思う。そして、製作者も良くここまでぶれない人物像を作ったと思う。完全なる善。それを書いていけばいいから出来たのだろうか。確かに大沢武は複雑な人物ではない。この事件がなければ単純な人物として評価されただろう。しかし、田代清司、敏夫親子に関係することで苦悩し、怒り、愛する様を表現されて、視聴者は単純な人物でありながら、人間的深みを感じることが出来たのだと思う。きっと人間だれしも、大沢武のようになりたいと考える部分はあると思う。けれども、それは簡単ではない。社会や人間関係のしがらみが、そうなることを許さないのだ。正彦や、学長のようにどこかで妥協し、負け続けるのかもしれない。しかしそれは言い訳なのだろう。すべてを難しくしているのは自分自身だ。本当は気付いているのだ。大沢武のように、単純に、正しいと思ったことをやりたいと願う自分自身に。

敏夫については、ここ最近のレビューで書いてある通り、どうも感想を述べるのが辛い状態だ。散々イライラさせられたし、最後の方などは本当にチンピラのようで、困った。誰に対しても、犯人だと決めつけると、「俺が父さんの敵を殺してやる」などと言って、狼藉を働こうとする。そんな様を見せつけられて、「きれいな心を持つものが最高の演奏をする」と武に言われても、どうも敏夫の演奏と結びつかなかったのだ。しかし、それもまた人間の現実なのだと思う。理不尽に死刑を宣告され、それこそなりふり構っていられない人間の本質を、製作者はあえて描いたのだろうか。敏夫を武のような聖人君子に仕立て上げることもできただろう。死を超越して芸術を追及する青年にすることもできただろう。しかしそれでは生きた人間と芸術は表現できなかったのだろう。芸術家と言っても、人間だ。罪を犯すこともあれば、弱いところもある。視聴者と同じ人間なのだ。そこを描くことを製作者はあえて避けなかったのだろうと思う。
敏夫はなぜ華江と別れたのだろうか。あそこまで自分を投げ出した女性を、そう簡単に捨てられるだろうか。信一に遠慮したのか?それとも、父を殺した人間の孫娘とは結ばれえなかったのだろうか。
そんなこんなを経て、最後の敏夫の演説が効いた。師と家族に対する感謝。本当に感動した。

信一ウォッチャーの私としては、やはり信一のこれからが心配なところだ。言ってしまえば、信一も単純な人物だったが、事件を通して成長した。法律を通してしか人を評価できなかったのに、最後は「敏夫!あきらめるな!きっと真相をはっきりさせて、お前を助ける」これが信一の口から出たのだから素晴らしい。成長したな・・・。それにしても、学長の葬儀で、信一だけ喪服でないのはどういうわけだ。仕事帰りってこと?華江は素直に信一と結婚するのだろうか。それが成ったら、今度は華江を幸せにできるのではないかと思う。宮島家の婿養子になるかどうかで、ちょっともめるとは思うが。

あ、Rの女の写真を盗んだ人物は、結局あやだったということなんだろうね。敏夫の首を絞めようとした人は誰だか分からずじまいだったけど。あと田代清司を名乗る人物は学長だったのか・・・。私は別の回のレビューで違う人物を予想していたが、言われてみれば、日本にいる人物でないと無理なのだったね。あ、真山と武が公園で語り合っていたのを盗み見してたのは結局誰だったのだろう。それと、西条医師が持っていたマッチの意味は?
・・・特に意味はなかったのだろうな・・・(笑)。それにしても、東北の刑務所(現在の仙台拘置所のことか?)に行くのに、上野発仙台行普通列車とは・・・。時代を感じた。

突っ込みはともかく・・・。
このドラマは清司の死をターニングポイントとして、内容が大幅に変わったように見える。前半は完全に師弟と親子の人間ドラマ。後半は、ミステリーとしての犯人探しと警察との攻防。しかし、根底にあるものは変わらない。それは家族愛だった。
長いドラマだったが、非常に楽しめた。毎回真剣に笑い(え)、泣いた。
こんなドラマ、現在ではとっても無理だが、この楽しい体験が、いつかまたどこかでできたらいいなと思う。

もう二度とあらすじ付きのレビューは書かないと心に誓った私ですが、DVD化されていないと言うことで、あえて書かせていただきました。
最後になりましたが、長いレビューにお付き合いいただき、コメントをくださった方、本当にありがとうございます。
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赤い激流・第二十五回 レビュー

第二十四回はコチラ
「パリの恋人は告白する!」

あらすじ

フランスから木元光子(岸恵子)が到着した。
光子は宮島家に行き、恩師・宮島学長と涙の再開を果たす。「本当は帰って来てはいけない人間だけど、先生に会いたくて来てしまった」と言う光子は、学長のやつれように驚く。あやは光子に学長の命が長くない事を告げ、涙を流す。
それを影から正彦が聞いていた。
コンクールまで後1週間。
大沢家では、敏夫のテンペストの練習が続いている。しかし、敏夫は学長とあやが真実を話さない事に苛立ち、練習に集中できない。自分で問いただしに行くと言う敏夫を武は叱る。真犯人が分かってコンクールに出られたとしても勝てなくては意味がないと告げ、自分が学長に聞いてくるから、練習を続けろと諭した。
武は宮島家を訪問し、学長に真犯人の事を聞くが、学長はコンクールの前に全てを話すと約束して、今話す事を拒む。
その話を聞いていた光子は、敏夫の名前を聞いて顔色を変える。以前から知り合いだった武と光子。光子は自宅に戻る武を捕まえて、パリ音楽院の生徒で武の娘・紀子の話がしたいと大沢家を訪問し、清司の写真を見つける。光子はフランスで1度か2度会ったことがあると言う。武は光子に清司は由美子の前夫であり、清司が日本で殺され、息子の敏夫が殺人犯として死刑は判決を受け、さらに脱獄している事を話すと、光子は急に泣き出して、帰ってしまう。敏夫は隠れて様子を見ていたが、玄関に駆けられた光子のコートから香る香水や、光子がかけていたサングラス、それに顔つきや背格好などから光子こそRの女だと確信する。
すぐにでも追いかけようとする敏夫を抑え、由美子が話を聞く事にする。
光子が清司のフランス時代の恋人ならば、同じ女として、苦しみを理解できるはずだからと、話を聞いてみると言う。
光子が滞在するホテルで、由美子は光子に会う。由美子は敏夫を助けたい母心を訴え、田代のことを教えてほしいと迫る。光子は確かに清司とフランスのマルセイユで出会い、愛し、2年間共に暮らした事を告白した。しかし、過去や生い立ちなどは何も聞かされなかったと言う。更に突然「過去が懐かしくなった」と、自分の前から姿を消してしまったと。光子は行方の分からない清司を探したが、ついに見つけられなかった。今日はじめて清司の死を聞かされ、悲しみに暮れ、一人にして欲しいと頼む。由美子はそれ以上何も聞けなかった。
光子が清司のマンションに現われた。薔薇の花を一輪ずつ供えていく。そこへ由美子と敏夫が現われた。日本で清司に会っていない光子が、何故マンションを知っているのか問い詰める敏夫。光子がRの女だと詰め寄る敏夫に、光子はあの日、日本に来ていないと言い張る。由美子も土下座して頼むが、何も知らないと言う。敏夫は光子が日本に勝手に帰った清司を憎んで殺したんだと決めつけるが、光子は清司を愛していたと言って、否定し、逃げ去る。
大沢家に戻った敏夫は、武と信一、実に相談し、武と信一は証拠探しをはじめる。信一は「敏夫のためじゃない、事件の真相を調べるためだ」と言うが、敏夫は「信一さん、ありがとう」と礼を言う。航空会社の乗客名簿を全て見せてもらい、事件当時光子が日本に来ていないか調べる二人。だが、ついに見つけられない。捜査は行き詰まったかに見えたが、そこへ実が現われた。「証拠を見つけてきた」と。
あの日、光子はフランス政府の特別機で極秘に入国しており、フランス大使館のレセプションでバイオリンを演奏していたと言う。実の音楽の知り合いがそれを聞いていたと言う事だった。実はフランス大使館に問い合わせて、裏も取っていた。
証拠はそろった。実に感謝する敏夫だが、その時信一が立ち上がった。
「敏夫、すまなかった」初めて、信一が敏夫に頭を下げた。今の今迄、信一は「Rの女を、敏夫の嘘だと思っていた。謝る」と言う。初めて心から敏夫を信じ、謝罪する信一に、敏夫は「検事さん、初めて謝ってくれたね。おれ、信一さんが兄さんみたいに思えてきた。俺も謝る。散々喧嘩を吹っかけて、迷惑をかけたね」と、敏夫も信一をはじめて兄と認めた。「あんたが味方になってくれたら、怖いもんなしだ」と言う敏夫を見て、由美子は涙を流して喜んだ。
光子を歓迎するパーティーが宮島家で開かれるという事で、大沢家一同で、宮島家を訪れる。木元光子に直接話したいと言う敏夫も隠れてついていく。
玄関で迎える華江に、敏夫は「俺は信一さんのおかげで元気だよ」と声をかける。華江が信一に「ありがとう」と礼を言うと、信一は笑って華江の背中を押し、部屋に入った。
パーティーの前に、学長が自分の死後も、みんなで力を合わせて宮島家と大学を守って欲しいと告げる。武は、ピアノは弾けないが、音楽を愛する精神は誰にも負けないと言い、学長の精神を受け継ぐと宣言する。実も同じように大学を受け継ぐと、学長を励ます。
あやは、宮島家のパーティーの習慣として、開始の合図にピアノを弾いてもらうと話す。学長はそのピアノに敏夫を指名した。コンクール二次予選のために、学長は敏夫にラ・カンパネラを送った。今度はお返しに敏夫の「ラ・カンパネラ」を弾いて欲しいと言う。
敏夫は弾き始めた。顔色を変える一同。中でも実はピアノに近づいて聞き入る。
そして光子は、敏夫のピアノの音色に、在りし日の、清司がピアノを弾く姿を見て涙をこぼした。
演奏が終わった。実は敏夫のピアノに感動して賞賛する。武は敏夫の実力を尋ねるが、指揮者として敏夫の力を保証する実。学長も褒め、、「この音を思い出しながら死ねる・・・」と言った。
耐え切れず部屋を出て行く光子。それを追って外に出ようと誘う敏夫。
公園で二人は話し始めた。光子が日本にいた証拠を突きつけるが、武が止め、改めてすべて打ち明けてほしいと迫る。光子は確かに清司のマンションにいたと言うが、そこで何があったかは言えないと言う。マンションにいたなら、犯人の顔を見たはずだと迫る。しかし、光子は「言えない。何も言えない」と首を振るばかり。
「敏夫の才能を殺さないで欲しいと」武が訴えると、急に光子が「田代清司を殺したのは私です」と告白した。怒り狂う敏夫を抑える武のもとに由美子が駆けつける。「あの美しいバイオリンは美しい心の持ち主でないと出せない。あなたが殺したとは信じられない」と武は言い募るが、「勝手に日本に帰った清司が憎かった。自首します」と光子は告げる。「あなたは誰かをかばっている」と武が言うと、「敏夫さんを助けたくないのか」と反論される「敏夫さん、あなたのピアノは素晴らしかった。お父さんそっくり、それ以上よ。コンクールでの優勝を祈っている」そういうと背を向け立ち去る。武たちも立ち去ろうとすると、「離して!誰かきて!」と叫ぶ光子の声。武が見ると、光子が誰かに襲われている。逃げる人影を敏夫が追いかける。人影にようやく追いつき捕まえると、それは正彦だった。
正彦は敏夫を振り切ると公衆電話で敏夫のことを警察に通報する。光子のもとに戻り、正彦だったことを確かめると、光子は「顔も知らない男だった」と、正彦ではないと言う。宮島家に戻ろうとすると、そこへ警察が大挙して駆けつけ、一帯を捜索し始める。追われているうちに、武と光子、敏夫と由美子の二手に分かれてしまった。彼らは、逃げ延びられるのだろうか。



感想


岸恵子登場の回。
それにしても、松尾嘉代に比べたら、岸恵子は老けて見えるな。痩せているからだろうか。と思ったら、岸恵子の方が11歳年上だった。

このドラマにおける石立鉄夫の立場の良さって、一体何なんだろう。
すごすぎる。隙がない。格好良すぎる。
今回もずいぶん時間をかけて不発に終わった武と信一の調査に対して、一発逆転の一打を放ったのは石立鉄夫だった。もう笑うしかないほどのヒーローぶりだ。
世界的指揮者だけに、敏夫の才能の評価も一番意味があるものになっている。
ここまでの持ち上げって、あんまりないよね。

そして信一!
おおお。(ToT)
泣いた。
木元光子がRの女かも知れないと言う証拠が明らかになり、ついに敏夫と信一が和解した。初めて敏夫に頭を下げた。
敏夫は敏夫で、信一を兄と認めた。
長きに渡った二人の確執が、ここに終焉を迎えた。
感動した。
敏夫に対して苛立ちしか感じられないようになった今、信一ウォッチャー(なんだそれ)としては、これ以上の結末はない。
華江に対しても、わだかまりなく笑顔を向けられるようになった。
成長したな・・・。信一よ・・・。

まぁ、分かっていた事だが、今回の主役は岸恵子だ。
赤いシリーズ、ひいては当時の芸能界における岸恵子の特別性と言うのは、素人なりになんとなくぼんやりと理解しているつもりだが、現代から見ると、どうしても唐突感がぬぐえない。
これで後一回で終わりとはどういう事だ。どう考えてもあと2~3回は放送して欲しいところだ。
とはいえ、岸恵子が敏夫のピアノを聞いて田代清司の事を思い出す場面は感動した。田代清司がピアノを弾く姿もカッコ良かった。緒方拳があんまり男前で、ちょっとドキッとしたよ(笑)。
それにしても、木元光子と田代清司は2年間一緒に暮らしたと言っていたが、てっきり10年一緒に暮らしていたのかと思っていた。国籍がないのだから、木元光子のヒモだったのかと思っていたのだが・・・。木元光子と暮らしていた以外の年月はどうやって暮らしていたのだろう?それに、光子とはマルセイユで初めて会った設定だから、清司のピアノを光子が知っているのはどうも・・・。分からん。サッパリ。

最後の最後まで、正彦は憎らしい。
敏夫が宮島家から出る際に、警察の目をどうやって誤魔化したのかは分からないけれど、公園を取り囲む警察の対応の素早さは素晴らしい。なぜかいきなり日が暮れたように見えるが、どうなるんだろう?
あと一回で、どう収拾をつけるつもりなのか。
どうやって敏夫はコンクールに出るのか。
真犯人は誰なのか。
ここまで来たら、最後の一回は、昭和らしく正座して見ようじゃないか。

次回、とうとう最終回。
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赤い激流・第二十四回 レビュー

弟二十三回はコチラ
このレビューも、今回を入れてあと3回。
あらすじがどうしても長くなります。ご容赦ください。

「パリからの美しい殺人者?」

あらすじ

敏夫は信一を含めた家族全員に匿われ、再び大沢家に戻ってきた。力を合わせて真犯人を探すことを決意する五人。
そこへ不動産屋の相楽が現れ、買い手がつかなくなる前に後2日で引っ越してほしいと立ち退きを迫る。家の代金はすでに払われているため、言いなりになるしかない武。しかし武はグランドピアノだけは引っ越し先に持っていきたいと考える。信一は小さなアパートでは、とても無理だし、練習もできないと言う。敏夫はピアノすらあきらめさせている申し訳なさから落ち込むが、武は、家は狭くなっても家族五人が一緒に暮らせれば、こんなに幸せなことはないと励ます。
宮島家では、学長の具合が悪く、床を上げられない状態だった。華江はベッドに横たわる学長の前でピアノを弾き、学長は、その音色を聞いていると、事件など忘れられると幸せそうだった。菊子はとてもそんな心境にはなれないと部屋を出て行く。そこへ武が訪問してきた。菊子は、父が寝たきりなので、自分と正彦が話を聞くと対応する。武は家を出てアパートで暮らすため、自分のピアノを一時預かってほしいと頼みに来たのだ。菊子はアパート暮らしになる大沢家を嘲り、正彦は大沢家とは付き合いたくないと、高圧的に断る。武のピアノは、自分の命のように大事にしてきたもの、しかもこれから武の技術と精神を受け継いだ敏夫が一生弾き続ける大事なものだ。「あなたもピアニストなら、私の気持ちが解るはず」と、頭を下げるが、馬鹿にされるだけで聞き入れられなかった。
武は家に戻り、ピアノは倉庫にでも預けると敏夫に話す。武は、最後のレッスンだと思って、力いっぱい弾いてくれと頼む。曲は、このピアノで練習しぬいた、コンクール第一次予選1位通過の英雄ポロネーズ。力いっぱい弾き始める敏夫だが、途中で悲しみのあまり弾けなくなってしまった。そこへ武の弟、実が入ってくる。武が引越しのことを言おうとするが、実はすでに不動産屋の相楽と会い、知っていた。しかも、大沢家を購入したと言う。武は実が自分のマンションを売って金を作ったことを知って、激怒する。弟に甘え、迷惑をかけてまでこの家に暮らすことなどできない、そこまで落ちぶれてはいないと言って実を叱る武。しかし実は言った。「勘違いするな。俺は兄貴のためにこの家を買ったわけじゃない。この家は、俺が気に入って、俺が住むために買ったんだ」「そ、そうなのか」と拍子抜けする武に実は続けた。「しかし俺は演奏旅行などでいつも留守にしがちだ。留守になると不用心だし、家も荒れる。だから、兄貴には留守番を頼みたい」「実・・・お前ってやつは・・・」「由美子さんと二人で、この家を守ってくれ」男・大沢実、一世一代の花道であった。
「分かった・・・。留守番を引き受ける」「敏夫!ピアノは兄貴のものだ。好きに練習しろ」「叔父さん、俺、一流ピアニストになったら、すごい家をプレゼントするよ」「たいした自信だな。それでこそ芸術家だ」そう言って実は笑った。
家の心配がなくなり、改めて真犯人さがしに没頭しようと話し合う武、信一、敏夫。武はやはり西条医師が最後に言った「Rの女」の線を調べようと提案する。敏夫は同じ香水をつけていたことから、菊子が怪しいと言う。しかし証拠がない。敏夫は明彦に電話をし、東山夫妻を食事に連れ出すよう依頼する。家から忍び出ようとする敏夫を信一が止めた。敏夫一人ではつかまってしまうので自分も一緒に行くと言う。警察の見張りを何とかごまかし、敏夫を連れた信一は、宮島家に、華江に会いたいと言う口実で訪れる。華江も警察に指名手配されているため、外には出られないが、慰めてあげたいと言うのだ。あやは快く信一を招き入れる。あやが部屋を出て行くと、すぐに敏夫が姿を現し、華江に手引きさせて東山夫妻の部屋を調べだした。あやは、まだ信一が華江を愛していると学長に話し、いずれ婚約を復活させようかと相談していた。学長がベートーベンの交響曲「英雄」を聞き始める。明彦はできるだけ食事を長引かせたが、東山夫妻は帰ってきてしまう。夫妻に見つかる信一と敏夫。結局発見できたのは香水だけだった。怒り狂う東山夫妻は、到着した由美子と武に怒鳴りつける。敏夫はRの女と同じ香水だと菊子を問い詰めるが、菊子は高級なものだが、こんな香水など誰でも買えると相手にしない。武は恐縮しながらも、菊子のアリバイを聞く。田代清司は、10時30分に殺された。菊子はあの晩10時頃家に戻り、明彦を相手に酒を飲んでいたのだ。明彦も認めた。これ以上ここにいると警察に突き出すと言う正彦に、敏夫は怒りをぶつける。「先生は、野良犬のような俺のピアノを育てることに命を懸けている、本物の音楽の教師だ。冷たいあんたとは違う」とののしる。正彦は、武が音楽大学を乗っ取るために、敏夫と信一を使って自分を真犯人に仕立てようとしていると言って責めた。武は否定するが、正彦は聞かない。正彦は自分が将来大学をしょって立つ人間だから、下らん言いがかりをつけるなと言う。そこへあやと学長が入ってきた。いい機会だから、後継者のことを話すと学長は言う。理想では華江とその婿に継いでもらうことだったが、学長の病気が重いため、その前に大学と宮島家を任せられる人間は一人しかいないと、あやと話し合ったと言う。
「それは、武君、君だ」
「そんなこと急に言われても・・・」
武は戸惑うばかりだった。
敏夫という殺人犯がいるのに、武が大学の学長になれるわけがないと反対する正彦だが、学長は「敏夫君は父親を殺していない。私もあやも信じている」ときっぱりと言う。正彦は自分に任せてほしいと申し出るが、「それこそ非常識だ。君は教育が出来る人間ではない」と一喝される。裏口入学のことだけで判断しないでほしいと正彦は言うが、あやに「それがすべてです。大学と宮島家のことは一切あきらめてください」と断られる。
部屋に戻った正彦は菊子にどうするかと怒鳴りつけるが、菊子は警察に敏夫のことを通報して、自分たち以外逮捕させると言う。すぐに警察は駆けつけ、敏夫は華江に導かれ、部屋に隠れる。勝ち誇る正彦に、あやは静かに言った。警察に、裏口入学のことを話すと。証拠がないと笑う正彦だが、あやは清司に会っていろいろ話して、証拠になるものもすべて知っていると告げた。あなたも捕まりたいのかと聞くあや。
警察が到着したが、正彦は自分の勘違いだったと謝り、信一も何も異常はないと証言したため、警察はすぐに引き返した。
遠ざかるサイレンの音に、安心する敏夫と華江だが、隠れ場所から出ようとすると、その部屋にあやが入ってきた。暖炉の火が燃えている前で1枚の写真を取り出し、悲しげに見つめると、写真を火にくべ、燃やし始めた。敏夫が見ていると、顔の部分はすでに燃えたが、確かにRの女が来ていたセーターを身に着けた女性の写真だった。やがてあやは部屋を出た。敏夫と華江は写真を確かめるが、すでにすべて燃えてしまった。そのことを武に報告する二人。おばあ様がRの女なのか?と言う武に、華江は優しいおばあ様は絶対に違うと反対する。あやは皆が愛し、尊敬する素晴らしい女性だ。しかし、本当のことを聞き出さなければならないと、武は華江をなだめて、あやに尋ねることにする。
学長の部屋にいるあやに、武と由美子、敏夫と華江がRの女のことを尋ねる。あやは、自分がRの女の写真を持っていたこと、それが誰だか知っていることを告げる。しかし、いまはそれ以上話せないと告げる。だが、清司を殺していないことだけは宣言する。Rの女が誰だかわからなければ、敏夫は死刑になる。そう言って教えてほしいと頼む4人。
学長が口を開く。「実は私も全てを知っている。いつか必ず何もかも話すから、待って欲しい。いつか話すから、その代り宮島家と大学を任せる。私は癌だ。もう治らない」絶句する武。「死ぬ覚悟はできている。しかし大学は武君の力で守ってほしい」
「分かりました。考えておきます」学長は、コンクール本選までは生きると言う。宮島音楽大学の卒業生で世界的バイオリニストの木元光子に会うまでは死ねないと言う。光子は、コンクールの審査員として、日本に来る予定だった。病気のため、本選に出られないかもしれないと、敏夫にテンペストを弾くように頼む学長。敏夫の実力を見ると言う。
弾き始める敏夫。あやは涙を流して聞き入る。学長に敏夫の力を尋ねる武。学長は「私は安心して死ねる。敏夫君は私のあと数等上だ。大物になる。老いたピアニストは死に、若いピアニストが生まれて育っていく。いいもんだな音楽は・・・ピアノは・・・」と、感動に震えながらつぶやいた。


感想。

今回はハラハラし通し。息つく間もない回だった。
ものすごいスピード感&詰め込み具合だ。
しかし、面白かった。

スピードと言えば、由美子はもう退院している。あれからどれほど時間が経ったのだ?コンクールまであと2週間と言っている事から、1週間以上は入院していたはずだ。しかし、肋骨を折って肺まで手術しているのだ。リハビリだってあるだろうに、今回引越し準備までしている。すごい回復力だ。

そして住宅問題で実に完敗&乾杯。
実最高だよ。もう、二度目だけど花道を歩かせたよ。
ほんと、実るが出てくると幸せな気持ちになる。
ありがとう。実・・・。

それにしても、住宅問題に信一は一言も口を挟まない。
武が、一家全員で暮らすなら小さなアパートでも幸せだ。と言っているが、信一もアパートで暮らすつもりだったのだろうか。それとも寮生活に戻るつもり?そして、引っ越すとして、敏夫はどうやって移動するつもりだったの?
まぁ、いいけど。
そして信一は着実に敏夫に毒されつつある。
今回ついに犯罪に手を染めた。
正彦たちに見つかった時の後ろ姿が、ガックリし過ぎて笑える。
信一はまだ華江の事を引きずっているらしい。そりゃそうだろう。何しろ、ずっと好きだったと父に宣言するくらいだ。しかも根暗だから、そうそう華江にだって吹っ切れた顔を見せられないだろう。

そして、学長の後継者問題にも決着が付きそうだ。
学長は後継者に武を指名した。
今までの流れを見ていれば、視聴射的にはさもありなんといったところだが、ちょっと待って欲しい。学長とあやって、途中で死刑囚と親戚にはなれないとかって強硬に言っていたのに、この変わり身は何だろう。彼らに何が起こったのか?
敏夫が犯人でないと信じた根拠は?

正彦&菊子はコテンパンにやられてしまった。本当に胸がスーっとした。
この回の夫妻の憎たらしさは言語を絶している。前田吟の演技は必見だ。前田吟がしゃべるだけで胸がムカムカするのだからすごい。
これが寅さんの常識的な義理の弟と同じ役者なのだから、驚くばかりだ。

敏夫のピアノの才能はいよいよ本物らしい。
学長のお墨付きをいただいた。今回はラ・カンパネラと比べて、練習時間はどうなんだろう。宮島家に滞在してた時はかなり練習していたようだが、コンクールに出るためにはやはり少ない。しかし学長夫妻を感動させる何かは持っているようだ。

いよいよ次回、岸恵子登場の回である。
それにしても、武の娘、紀子(山口百恵)に対するパリへの仕送りは、滞りなく済んでいるのだろうか。
知らぬは紀子ばかりなり。
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赤い激流・第二十三回 レビュー

第二十二回はコチラ
今回のあらすじも長い。覚悟してほしい!

「あゝ悲し!!家族の中に殺人犯が!」

あらすじ

敏夫を自殺から助けた大沢夫妻だが、これからどこに逃げるか、悩んでいた。保釈になったばかりの武が家に戻らないと怪しまれるので、武は妙子に電話してみる。大沢家には、宮島あやと正彦が来ていた。武の電話に出て、居場所を問い詰めるあや。剣幕に押されて思わず正直に答えてしまう武だが、華江さえ無事ならば警察には黙っていると言われ、敏夫と華江が一緒であることを話す。あやと正彦が車で迎えに来た。あやは華江を連れて帰ろうとするが、華江は帰らない。敏夫と華江を放っておけば、すぐにつかまり、華江も逮捕され、学長も心痛のあまり死んでしまうだろう。覚悟を決めたあやは、華江と敏夫、二人とも宮島家で匿うことに決める。正彦は反対するが、「宮島家のことを決めるのはあなたではない」とあやに一喝されて、黙った。敏夫は宮島家を嫌っているため反対するが、武は、宮島家に犯人がいるなら、探る絶好の機会だと話す。武は、真犯人にこれ以上犯罪を犯させたくないのだ。由美子は、宮島家なら当面の敏夫の安全は保障されるので、賛成する。宮島家に着くと菊子が恐ろしい勢いで反対するが、正彦は、「お義母さんが責任を負ってくれる」とあやにすべてを押し付けてなだめる。あやは、「この家は私と主人のもの。何をしようと自由です」と言って、菊子を黙らせた。敏夫は明彦の部屋で休むことになる。
夜中、敏夫に近づく黒い手袋。その手が敏夫の首にかかろうとした刹那、敏夫が目を覚まし、手は部屋から逃げ去った。やはり、この家に殺人者はいるのか?
翌日、大沢家に菊子から電話がかかる。宮島学長の退院祝いをするので、大沢夫妻を宮島家に招待するという誘いだった。敏夫も出席すると言う。菊子は散々嫌味を言いつくすが武と由美子は、敏夫の様子が見られると、感謝して誘いを受ける。武はテンペストの楽譜を敏夫に渡そうと用意するが、そこへ信一が現れる。信一が目ざとくテンペストの楽譜を見つける。武は見たかっただけだとごまかす。改めて検事を辞めることに対して謝罪する武。しかし、信一の辞表は、上司が受け付けず、慰留されているということだった。喜ぶ武だが、信一は改めて、敏夫逮捕の意気込みを宣言するのだった。「お父さんも、敏夫を逃がしたり匿ったりしたら許さない。逮捕させる。正しく生きてくれ」武は、「覚悟はできている」と告げた。
宮島家で学長の退院を祝って、パーティーが始まった。学長に敏夫を匿ってもらっていることに感謝と謝罪を述べる武。学長は「長年の経験から、あやが正しいと思ったことに間違いはない。敏夫君を匿うことなど、なんでもない」と言って、敏夫にピアノを弾いてくれるよう頼む。武は敏夫に楽譜を見せ、テンペストを弾くよう促す。正彦は、敏夫のコンクール出場資格が失われたことを話すが、武は学長に敏夫の無実が判明しても、出場できないのかと問う。学長は、無実が分かれば、出場を認めると宣言する。正彦は敏夫が真犯人だと言って嘲るが、敏夫は昨夜Rの女に襲われたと言って真犯人がいると話す。菊子はこの家に女は三人しかいないと怒るが、あやがその口論を止めた。武は希望を取り戻し、敏夫にピアノの前に座らせる。武は敏夫にテンペストの話を聞かせ、王が逆境の中にあって戦い、負けなかったこと、その心情をピアノにぶつけろと指導する。敏夫はその状況が自分にそっくりだと言って、自分の心情をピアノにぶつけることにする。
演奏が始まった。そこへ信一が宮島家を訪ねて来てピアノの音色を聞いて、顔色を変える。玄関に対応に出た由美子に、信一がピアノを弾いているのは誰かと問い詰める。その様子を明雄が見て、敏夫に知らせた。信一を抑えようとする由美子を払い飛ばし、信一は中に入り込む。倒された拍子に、家具の角で強く胸を打つ由美子。
信一が部屋に入ると、ピアノの前には武がいた。今まで武が弾いていたと言うのを、「父さんの指であのピアノは無理だ」と問い詰める信一。敏夫が隠れていると疑う信一は、これから警察に捜査させると言うが、あやが「今日は主人の退院祝いの日。音楽の名門宮島家で敏夫さんを匿うわけがない」と言って止めた。信一は、「敏夫を捕まえたら、宮島家の人間全員逃亡幇助で逮捕する」と宣言して出て行く。
武は廊下でうずくまる由美子に気付いた。由美子はちょっと胸をぶつけただけと言うが、とても尋常な様子ではない。武は「信一にされたのか?」と聞くが、由美子は否定した。すぐに今まで学長が入院していた大学病院に連れて行った。検査の結果、肋骨が折れて、肺に突き刺さっていると言う。手術自体は簡単だが、三時間以内に行わなければ命は危ない。しかも輸血に大量の血液が必要で、そこに問題があった。由美子の血液は、RH null(ヌル) A型。Nullとは、プラスでもマイナスでもない型で、非常に数が少ないと言う。医師は、息子がいるなら、息子を呼んで検査させるべきだと武に迫るが、武にはそれが出来なかった。敏夫を呼べない。妙子が入院の用意を持ってくるが、妙子にも警察が張り付いている。それを聞いて、由美子は敏夫には黙っていてほしいと武に頼む。由美子は自分の血液型が珍しいことを知っており、敏夫も同じ血液型だと言う。敏夫を呼べば、警察に捕まる。自分を助けるために敏夫がつかまるうらいなら、血液が足りなくて、これで死ぬのが寿命だったとあきらめると、自分がいなくても武が敏夫を助けてほしいと、苦しい息の下で話す。日赤には200mLしか保存しておらず、手術に必要なのは1000mLだった。日赤に登録している人物はたったの2人で、北海道と九州にしかいない。3時間以内には無理だった。医師に息子を呼べと迫られる武。電話をかけようとするが、どうしても決心がつかない。医師の話を聞いていた信一は、由美子を助けたいなら敏夫を呼べと迫る。敏夫はいつか逮捕される。気にするなと言うが、武は敏夫を警察に突き出す真似はできない。ならば由美子を見殺しにするのかと問われると、武は「俺がやることは俺が決める。誰の指図も受けない」と言って信一から離れる。
宮島家に来た武は、敏夫の顔を見ると、すぐに決心を変え、帰ろうとする。敏夫はそれを引き留め、由美子の具合が悪いことを察して、武に問い詰める。武はついに、輸血の血が足りないことを白状する。敏夫は自分の血液が必要であることを理解した。警察に捕まるために病院に行くようなものだと言って、武は敏夫が行くのを許さない。しかし敏夫は今まで育てて来てくれた由美子を見殺しになどできなかった。
話を聞いていたあやは、由美子を助け、敏夫もつかまらない方法をなぜ考えないのだと二人を叱る。あやは、宮島学長をもう一度入院させ、それと一緒に敏夫を病院に潜り込ませることを計画する。正彦は反対するが、あやは、正彦の裏口入学を清司に脅迫されたとき、正彦を守るために戦ったことを話し、それと同じように武のことも助けると言って、正彦と菊子にも協力を要請する。正彦は黙るしかなかった。
車に敏夫を隠して大学病院に行く宮島家。大学に着くと、敏夫に白衣を着せ、学長のストレッチャーを押させて病院に入り込んだ。早速手術が開始され、由美子に輸血される敏夫の血。手術は成功した。武と敏夫は、静かに喜び合った。
信一が病院にいる正彦と菊子に出会った。由美子の手術が成功したこと、由美子の手術のために、学長が入院したことを皮肉に告げる二人。信一の胸に疑惑が広がった。
由美子が意識を取り戻した。宮島家のおかげて、敏夫がこれたことを告げる武。敏夫は由美子の無事を喜んだ。そこへ信一がドアをノックした。武は部屋から出て信一を迎えると、「話がある」と言って、屋上に呼び出した。武は「由美子に死ぬほどの怪我を負わせたのはお前だろ?」と問う。由美子さんが話したのか?と信一が聞くが、武は由美子は一言も話していない、自分で考えただけだと答える。信一は、今頃罪に気づいて「そうかもしれない・・・僕が肋骨を折ったんだ・・・」と、がっくりと肩を落とす。だが、「由美子はお前を少しも恨まない。黙ってかばっているだけだ。敏夫君だってそうだ。こんなに優しい人間がいるか?」
僕に謝れっていうのか」
そうじゃない。二人はいい人間だ。二人を信じてくれ。敏夫君は父親を殺していない。これを認めてくれ。彼が善人だと信じてくれ。証拠ではなくて、信じてほしい。これほど言って分からないのか、それほど頑固なのか。それなら、由美子を死ぬほど傷つけたお前を、父さんは、許さん
「分かったよ。由美子さんと敏夫を信じよう」
「ありがとう。信一」父の思いが、息子の心を溶かした。
由美子の病室に信一が現れた。「敏夫がここにいると、すぐにつかまる。敏夫を大沢家に連れて行く。もう一度事件を洗いなおして、証拠が見つかるまで逮捕させない」と宣言する。病院から出る途中、菊子と敏夫が行き会った。菊子とぶつかった瞬間、何かを思い出す敏夫。
明彦が用意した車に乗り込む信一と敏夫だが、急に敏夫がはっきりと思い出した。菊子のつけている香水が、Rの女がつけていた香水と同じであることを。


感想

キタ!
信一を仲間に引き入れることに成功した!
キター Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
もうね、こんなシーン全然覚えていなかったんですけど、なんとなく、そうなってたかもなーって、ぼんやり思っていましたけど、それだけに、おおお!って、熱く、盛り上がって来たー!って、ジーンとしましたよ。って、盛り上がってひどい文章だ。

かつていみじくも武は言った。
「信一、お前がいつも正しいとは限らない」と。
それが現実のものとなってしまったのだ。

わざとではないとはいえ、信一は由美子に大けがを負わせ、一歩間違えれば、殺人犯となっていたのだ。それに気づいたときの信一の葛藤。これはねぇ。察するに余りあるよね。
武は事あるごとに言った。「人間、誰しも間違いはある」と。武はその信念に基づき、寛容と許しの精神で今まで生きてきた。
信一は真逆の人生を歩んでいた。そして父の寛容と許しを否定してきた。
しかし今回、その寛容と許しの中に、どれほどの愛があるのか、身をもって思い知らされたのだ。そして、自分の頑迷さが、父の寛容すら殺してしまうことを知る。その時、同じように寛容と許しを持つ由美子と敏夫を、認めざるを得なくなったのだ。信じるしかなくなった。
前回気になっていた信一の辞表の件だが、まだ受理されていない。上司に慰留されいているのだ。良かったねー。と思わず言ってしまった。ほらね、信一、こんなところにも寛容は存在するのだ。

人は、人をどこまで許せるのか。または許していいのか。
難しい問題だと思う。もちろん、ぐずぐずに、ただ甘やかせばいいというものではない。武や由美子だって、敏夫や信一を、いつも許しているわけではない。怒るときには怒り、時には手をあげる。
今回、武は許しの限界を信一に明確に示した。
その違いはどこにあるのだろうか。それはきっと、気分ではなく、信念だ。
信念を持つ人こそ、「人間、誰しも間違いはある」と言って、許すことが出来るのだと思う。

私は、いつだって自分の間違いを意識している人間なので、自分のことを考えると、相手に強く言えず、許してしまう。しかし、それとはきっと違うのだと思う。
たぶんね。

血液型問題。
これぞ、いつだって大映ドラマって感じだ。
血液型って、昔のドラマほどものすごく重要だったりしましたよね。
別のドラマだが、あの自称・天才ピアニストの娘だって、自分と父親がAB型のRHマイナスかどうかでずいぶん悩んでいた。しかしそれを解決したのもなぜか宇津井健だった。なぜ彼が血液型まで知っていたのか、それは今となっては永遠の謎だろう。

それは置いといて、今回はRH null A型かどうかが問題だった。
いやー、nullとは恐れ入った。危なくて怪我もできないね・・・
っていうか!!
まてまて!
敏夫―!
お前、手を怪我したとき、超危なかったじゃないか。アレって、輸血しなくてよかったけど、大量の出血だったよね。

今回は、前回イライラした分、かなりスカッとした。
あやの采配が冴え渡った回だった。正彦・菊子夫妻にもギャフンと言わせることに成功した。あやが、正彦にぐうの音も言わせなかったときは、本当にせいせいした。
まぁ、信一が仲間になった以外、ほとんど話は進んでいないんだが・・・(笑)。

華江が革命のエチュードを弾いていたが、この手真似は、ちょっと頑張っていた。

第二十四回につづく・・・
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赤い激流の人々・2

赤い激流のレビューも、残りわずかとなってきました。
今回は、また少しお休みして、赤い激流に出てきた脇役の人々の画像をアップしようと思います。
あ、岸恵子の役の人を今まで木本美津子とか三津子とか書いていましたが、ウィキで、木元光子であることが分かりました。ほかのところも、そのうち訂正します。

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トップバッターはやはり、大沢家の長女でパリ音楽院留学中の紀子(山口百恵)。

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留学先でもトップの成績らしい。可愛いね。

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パリの恋人・木元光子(岸恵子)

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世界的なバイオリニストという設定。

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敏夫の友人・三郎と良介(鈴木ヒロミツ・大石悟郎)死刑判決後は、今のところ出てきていませんね。

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診察室で、患者の前でたばこを吸う西条医師(神山繁)。まさかここまで怪しくなるとは・・・。

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この人には散々引っ掻き回された。マダム・真山玲子(瞳麗子)

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優秀な山田タメ子弁護士(原智佐子)。

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信一の先輩、中川検事(中山仁)。

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Rの女。この絵が怖い。

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敏夫にまんまと騙された、お人よしの心理学者・小谷先生(新克利)。

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実に煮え湯を飲まされた木皿刑事(名古屋章)。

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顔は怖いけど、言っていることは正しい相楽さん(穂積隆信)。

中には役名がドラマ中に出てこない方も。

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敏夫のアパートの大家さん(初井言榮)。騒がしい敏夫に悩まされた。

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家庭裁判所の事務的な裁判官(久米明)。

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家庭裁判所の事務的な相談員(藤田弓子)。若い!

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子供ピアノ教室の付き添いの母親。清司と怪しくなるのかと思ったら、ならなかった。

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江上刑事といつも一緒の刑事さん。

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由美子を手術した医師(大和田伸哉)。若い。現在のCMと比べるとすごいぞ。

画像が多くなりすみません。

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赤い激流・第二十二回 レビュー

第二十一回はコチラ
それにしても、内容を覚えていない。今回のシーンなんて、一つも覚えていなかった。

「死刑の前の結婚式」

あらすじ

西条医師は死んだ。武は、駆けつけた木皿刑事(名古屋章)に、敏夫の逃亡幇助の罪で逮捕される。信一は由美子に電話し、由美子のせいで武は留置所に入れられたと言って責めた。
敏夫と華江は、由美子のアパートに逃げ込む。そこへ隣の住人が部屋を訪れる。華江はとっさに由美子の姪で留守を預かっているとごまかした。
武は西条医師の自殺の原因を聞かれるが、親友の罪の証言はできなかった。敏夫についても、行方を知らないので何も答えられなかった。敏夫は武を逮捕させたことで絶望して自分を責めるが、華江は必死に励ます。
宮島家では学長が入院し、あやが看病しているため、正彦が代理でマスコミの対応に当たり、今まで伏せられていたが、華江が敏夫に人質に取られたことや、華江の顔写真も公表する。それがテレビなどで流れ、華江が外に出るのも危なくなった。ますます身動きが取れず、さらにコンクールの本選までひと月もないこともわかり、敏夫はさらにやけになる。華江は真犯人を見つけ、コンクールで優勝するという脱獄した理由を思い出させ、敏夫はピアノがあれば生きていけることを思い出した。華江が由美子に二人の無事を電話する。由美子は喜ぶが、居所を聞く前に華江は電話を切る。大沢家では木皿刑事が次の電話があったら必ず居所をしゃべらせるように要請していた。隣の住人がテレビを見て、華江の正体に気づき始める。華江は必死でごまかした。
信一が武に面会に訪れ、検事を辞職することを告げる。武は謝るが、信一はもう親子の縁を切ると宣言し、取調室を出て行った。
大沢家はマスコミに取り囲まれている。家に戻った信一は、妙子に家を出て、二人で暮らそうと説得するが、妙子はこの家を出て行かない。お母さんと父の帰りを待つと言って泣く。信一は勝手にしろと出て行く。妙子は由美子にすがりついた。そこへ相楽という、大沢の家を購入した人物が訪ねてくる。約束では年内いっぱいは大沢家が住んでいいという話だったが、今月いっぱいで出て行ってほしいと言う。大沢家のスキャンダルのせいで、犯罪者の家というレッテルが張られ、これから住む相楽にまで迷惑が及ぶことを心配したからだった。敏夫は無実だと訴える由美子だが、裁判が終わった以上、世間では誰も無実を信じる者はいないと相楽に反論されて、黙るしかない由美子だった。由美子は武に面会し、相楽の言い分を伝える。武はそれを聞いて、保釈を刑事に頼む。しかし保釈は認められない。保釈になれば、すぐさま敏夫を逃がす努力をするからだった。武は真犯人を捕まえる努力をするだけだと訴えるが相手にされない。由美子は借りていたアパートの様子を見に来るが、それを迎えたのは敏夫と華江だった。由美子は武の様子を伝え、武が全くあきらめていないこと、逮捕に対して立派な態度で臨んでいることを教える。そして西条が死ぬ間際に言った言葉が「Rの女」であることを伝える。敏夫は、清司の部屋で西条がすれ違った人物がRの女だと推理する。と言うことは、やはり公園で会った女が真犯人なのか?そこへ、隣人が管理人を連れてやってくる。由美子の部屋にいる女が華江だと気づいて、捕まえに来たのだ。由美子は必死でごまかそうとするが、無理やり部屋に入り込まれる。ふすまを開けると、二人は窓から逃げ出した後だった。
逃げた敏夫は、清司に恋人がいて、写真を持っていたこと、それがRの女かもしれないと結びつけ、その写真を探すために清司の部屋を調べる。ライターの火で調べるが、見つからない。清司のピアノを見ると、弾きたくなる敏夫。そして、ピアノ線の上に写真が後ろ向きに落ちているのを見つける。しかしその瞬間、誰かが入り込み、懐中電灯の光で二人を照らしつけると、写真を奪い取って逃げた。逃げる際、懐中電灯を落としていったが、華江はそれが宮島家のものだと断定する。二人は明彦の助けを借りて、宮島家に乗り込む。東山夫妻は、宮島家と大学をほぼ手中に収めたと喜んでいた。そこへ敏夫が現れ、写真を盗みに来ただろうと聞く。正彦と菊子は全く認めようとしない。正彦は、敏夫がコンクール本選への出場の資格を失ったと告げる。菊子は華江の態度を「やくざの情婦」と言ってののしった。敏夫は菊子の背格好がRの女によく似ていると、菊子を責めるが、不意をついて菊子は部屋を飛び出し、警察に連絡する。敏夫と華江は、明彦の車を借り、また逃げるしかなかった。二人は、良介と三郎の家に潜り込む。二人は仕事で出かけて留守だった。
コンクールに出られない事実は、敏夫を打ちのめし、絶望させる。華江は励ますが、(中略)結局敏夫は自殺を考え、華江は諦めるなと励ます。しかし、敏夫は死を選ぶ。華江は覚悟して、自分も一緒に死ぬから、死ぬ前に朝まで敏夫のピアノを聞かせてほしいと頼む。敏夫は死ぬ前に思いっきり弾くと言って、テンペストを引き出す。その間に華江は由美子に電話でいきさつを告げ、川で明日自殺をすること、敏夫を助けることが出来るのは武だけだと話す。
由美子は翌日、信一に会い、武の保釈を頼む。信一は明日にも辞表が受理されること、今までのいきさつから、由美子が信一に物を頼む権利はないことを言うが、由美子は、女は夫のためなら、なりふり構わず、恥知らずなことでもやるのだと話す。信一の母も、きっと同じことをしたと。それでも相手をしない信一に、由美子は「ならば死ぬしかない」と言う。信一はその場を去ろうとするが、由美子は道路に飛び出し、トラックの前に倒れ込む。それを信一はとっさに助けた。検事である自分は、人が死ぬのを黙ってみていられないといって、武の保釈を引き受ける。由美子は地面に頭を擦り付けて感謝した。
信一は保釈の理由として、武を保釈すれば、必ず敏夫と連絡を取ることから、そこを逃さず、敏夫逮捕の機会を狙うこととする。木皿刑事は感心して武の保釈に賛成する。武が警察を出ると、実が待っていた。刑事が武に張り付くことを見抜いた実は、武を先に行かせると、自分は木皿刑事にあいさつをし、長々と話をし、わざと議論を吹っかけて足止めした。武はその隙に、由美子と敏夫を探す。敏夫は華江に川原でおぼれるのは嫌だから、睡眠薬を買ってくるよう頼む。華江は不安に思いながらも言うことを聞き、離れる。その隙に敏夫は川にあった小舟に乗り込み、船に水が染み込むままにして、川の中心に漕ぎ出した。武は華江に出会うと、敏夫を探しに行く。川にいる敏夫を見つけると、武が船まで泳いで敏夫を助けた。気を失った敏夫を介抱する、武、由美子、華江。目を覚ました敏夫に、武は「君の命は私たちのものだ。君を愛する私、由美子、華江さんのものだ。それを勝手に殺していいのか。君にはそんな権利も資格もない」敏夫は「コンクール(以下略)」とあきらめる。武は「真犯人さえつかまれば、コンクールには出られる」と励ます。敏夫は「俺失格(以下略)」とさらにあきらめる。武は「そんなものは真実の前にひっくり返る。絶望に負けるな」敏夫は「俺死刑(以下略)」武「そんなものに負けるな。人間は、信頼し合うために生きている。絶望して死ぬためではない」武の説得がようやく敏夫に届いた。「二度と死のうとは思わない」


感想

いやー、イライラした。
全く話は進んでいない。
ま、イライラするのは敏夫に対してだけなんだが。
とにかく、敏夫に対するストレスレベルはマックスだ。
敏夫が出てくるシーンは、音を消したくなる。
なぜなら、前回と全く変わらない繰り言を延々と聞かされるからだ。
それなのに、あゝそれなのに、それなのに、華江と武は我慢強く説得してくれる。
こんな優しい人たちの言うこと聞かないなんて、ほんと罰が当たる。
てか、なんで脱獄したんだよ!(今更)
今のところ、敏夫が脱獄したことはマイナスになりこそすれ、プラスに働いたことは一つもないと言っていい。

名古屋章来た!
人情家で少し抜けた役ばかりのイメージがあるが、この刑事役はかなり厳しい人物設定だ。
そんな彼も、救世主・大沢実の前には敗北する。
この回で、唯一溜飲を下げるシーンだった。それに笑顔になれた。やっぱり実はいい。
これで非モテなんだから、気の毒としか言いようがない。

信一よ。
お前も本当に苦労するな。
武だって苦労させられているが、あっちは好きでやっているのだ。全く話が違う。
十円ハゲどころでは済まないレベルだと思う。
父は自分に嘘ばっかりつくし。
義理の母の自殺は助けなきゃいけないし。
検察庁での信一は、おそらく針のむしろ状態だろうな。
彼の辞表は受理されるのだろうか!?
静かに、事の推移を見守ろうと思う。

そして、やっぱり由美子と武が言うセリフには、いちいち感動がある。
とにかく、敏夫さえ出てこなければ抵抗なく見られる回だ。
見方として、間違っているんだろうけどね。

そうそう、大沢家の住宅問題が残っていた。
家が売れたと言うのに、いつまでも居座る大沢家を不思議に思っていたが、そういうわけだったのか。あの相楽の言うことは、いちいちごもっとも過ぎて、なんだかさわやかな気分になった。・・・常識って、こういうことだよなぁ・・・と、最近常識はずれの人たちの味方をしてきた身としては、よくぞ思い出させてくれたと、感謝したいくらいだった。

とにかく、今回はあまり感想らしい感想がない。
というわけで、前回のマダム・真山に関する推理に、少し補足をしたいと思う。残っている疑問としては、「真山は結局何を知っていたのか?」という点である。
正彦に対して、「私が一言いえば、大変なことになる」と、思わせぶりに言うシーンがあるが、あれは何を示していたのだろう?
私は、結局のところ大した内容ではなかったと思う。
真山が握っていたネタとは、たぶん正彦の裏口入学問題ではないだろうか。
なんだ、そんなこと、みんな知っているよ。
と思うだろうが、それはドラマを見ている人と、宮島家の親戚だから知っていることで、警察や世間は全く知らないことなのだ。だからそれを裁判で証言されると、正彦は改めてまずい立場になるのだ。そのことを言っているのではないだろうか。
そして、前回の繰り返しになるが、1億円の件は、清司に聞かされて知っていたので(ここは推理ね)、真犯人は知らなかった・・・と。ただ、裁判で1億円の証言をすれば、真犯人に直接つながらなくても、捜査のやり直しになることは間違いない。
つまり、真山は何か複雑怪奇な証言を握っているように見せかけて、その実態は単純な人だったと言うのが私の推理だ。いかがでしょう。
つか、真山に関することって、これから出てくるんだろうか・・・。

推理と言えば、Rの女が真犯人だったり、清司の恋人だったりと推理でつながっていくくだりは、力技過ぎて本当に笑える。
以前武が信一に話した妄想が、にわかに現実味を帯びて来た。
Rの女って、いったい・・・。


第二十三回につづく・・・
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赤い激流・第二十一回 レビュー

第二十回はコチラ

「私は愛のために死ねます!!」

あらすじ

警察の追跡から逃れるため、武は敏夫を連れて、弟の実を頼ることにした。実は兄が、自分たち全員逃亡幇助の罪に問われることを覚悟の上で頼みに来ていることを確認し、それについて武が申し訳ないと思っていることをあえて聞く。「敏夫がつかまれば、俺は指揮者の仕事を棒に振るってわけか」それを聞いて、武は諦め、他を探すと言うが、その腕を実が掴んだ。「兄貴・・・殴られたいのか・・・俺が見殺しにするとでも思っているのか。俺は兄貴が信じたものを信じる。そのために俺はどうなっても構わん。敏夫が無実なら、何も恐れることはないじゃないか」男・大沢実、一世一代の花道であった。
実のマンションについた一行だが、敏夫は血のつながらない武や実にまでかける迷惑を考え、一人飛び出そうとする。それを武と実は家族は助け合うものと、説得する。由美子は華江だけでも家に帰るように言うが、華江は、愛する人のためだったら死んでもいい。だから、一緒にいると答える。敏夫はこの恩は一生忘れないと4人に頭を下げるのだった。
朝、大沢家に戻る武と由美子。江上刑事や家に来ていた正彦とあやに、敏夫と華江の居場所を問い詰められるが、知らないと答える。正彦とあやが帰った後には、いまにも泣き出しそうな信一が待っていた。「父さんは正直な人間だと、僕は信じていた。でも、父さんは嘘をついている」武は、「俺は正しいと思ったことをやる」と答え、信一は「好きにすればいい」と出て行く。しかし、玄関に出た信一は、正彦を相手にした武が、汗を拭くためにハンカチを出した拍子に落とした鍵を偶然見つけ、それが実のマンションのものだと知る。信一が出て行ったあと、武は鍵がないことに気づき、信一が持ち出したことを知り、あわててマンションに向かう。由美子は敏夫に電話をかけ、信一が向かったことを伝えた。マンションについた信一は部屋を調べるが、だれもいない。信一が部屋の窓から外を眺めると、すぐ下の公園を走る敏夫と華江がいた。
腕が痛んで走れないでいるうちに、公園で信一に先回りされる敏夫。信一は華江に敏夫から離れるように言うが、華江は言うことを聞かない。どこまでも敏夫についていくという華江に、信一は「死刑囚への同情心を愛情と勘違いしているだけだ」と言うが、華江は「敏夫さんを愛している」と言ってしまう。「敏夫といれば、犯罪者になる。それでもいいのか」「信一さん・・・ごめんなさい・・・」その瞬間、信一が華江の頬を打った。
警察に知らせるという信一を敏夫が止める。二人揉み合っているところに、武が到着した。武が信一を取り押さえているうちに、逃げる華江と敏夫。信一はすぐにでも警察に言おうとするが、武が今日一日だけ、待って欲しいと頼む。その間に新しい手掛かり・西条医師を調べると。26年間育ててきて、1日も待ってもらえないのかと武が言う。その言葉に、信一は、1日だけなら待つと答えて、去る。
西条医師は、病院の屋上で、「明日アメリカに発つ。秘密は洩らさない。お互いのために」と言って、だれかと握手を交わしていた。武は、病院につくと西条医師の部屋で、明日西条が日本を発つことを知り、西条が「Rの女」の記事と、木元光子(岸恵子)の記事を保管していることを知る。
武は病院内で、正彦と行き会った。正彦は、宮島学長が重病で入院していると言う。西条医師を見つけた武は、敏夫のことを電話していた相手や、Rの女のことを聞くが、はぐらかされる。武は西条が真犯人と通じていることを指摘し、清司が武の腕の医者・つまり西条を全く信用していなかったこと、持ってこさせる1億円は、武が受け取る権利があると話していたことから、清司は腕の手術を医療ミスだと知って、西条を脅していたのだろうと推理する。西条は証拠を持ってこいと言う。
武は由美子と敏夫にその報告をすると、別の病院で指の検査をしてもらうとことにする。敏夫は夜中の12時で信一が警察に通報することから、検査の結果を待っていられず、西条医師に直接会いに行くと言って焦る。そこへ信一が現れた。信一を殴り倒して出て行く敏夫と華江。信一は怒りながらも、父との約束は守るが、12時になったら即警察に大学病院を包囲させると言って、由美子を残して出て行った。武は別の病院で精密検査を受けた結果、やはり神経をメスによって切断されていたことが分かり、医療ミスだと診断された。西条医師の送別会に潜り込んだ敏夫は、ナイフで西条を脅し、屋上に誘い出す。西条を犯人だと決めつけ、襲いかかる敏夫だが、そこへ武が駆けつける。やはり医療ミスだったと証拠を西条に突きつける武。西条医師は観念して、すべてを話す。
確かに医療ミスを犯していた。しかし、教授の地位に固執するあまり、武に話すことはできず、さらにそれを知った清司に手術の資料を盗まれ、それをネタに1億円ゆすられることになったのだ。悩んだ西条は一億円払うふりをして清司のマンションに向かったが、扉を開けると、すでに部屋には男が倒れていた。西条医師は仰天して誰かも確かめず、とにかく資料を燃やすためにスーツケースに隠し持っていた灯油をまいて火をつけた。その時、誰かが部屋の隅から飛び出して、部屋を出て行った。そのあと、西条医師も逃げ出したと言う。火の中から飛び出した人物、それが犯人だ。それは誰だと問う敏夫だが、それは言えないと西条医師。なおも聞こうとすると、パトカーのサイレンが辺りを覆った。12時を過ぎたので、信一が通報したのだ。「大沢には感謝しているが、警察にはつかまりたくない・・・大沢・・・さようなら」それだけ言うと、西条医師は、屋上から身を投げた。近づくサイレンの音。武は敏夫と華江に逃げるよう勧める。真犯人を捕まえるために、全員でつかまるわけにはいかない。武一人で罪をかぶる覚悟だった。武は逃げ去る二人に「決して諦めるな。何があっても生き延びろ」と声をかける。
一人残された武は、西条のもとに駆け付ける。西条が意識を取り戻し、「Rの女・・・」とつぶやく。武がその意味を聞こうとすると、西条医師は、息を引き取った。
親友の死を悲しむ間もなく、武は警官に取り囲まれた。


感想

ふーむ。なるほどね。
今回で判ったことは次の三点だ。
① 武の腕の手術は、医療ミスだった。
② 一億円を持ってこいと脅され、清司の部屋と清司に火を放ったのは、西条医師。
③ 信一は26歳。

これ以外のことは、依然として謎に包まれている。
いろいろ、突っ込みも追いつかない状態だ。


西条医師。彼は人知れず秘密を抱えすぎていたようだ。
西条医師がかばっているのは清司を殺した犯人だろうと思われる。今まで黙っていたということは、犯人も西条医師の放火を知っていて、お互いに秘密を共有して、かばい合っていたということか。
それにしても、医師なら倒れている人物の脈をまず取れよ。
で、疑問。手術の失敗を知った清司が、手術の資料を盗み出して脅したことになっているが、そもそも清司はなぜ手術の失敗を知ることが出来たのか・・・?手術中一緒にいた助手ですら気づいていないというのに。
なんでだろう。さっぱりわからん。
そして、西条医師は、最初から灯油を持ち込んでいるが、清司が死んでいなかったら、どうやって火をつけるつもりだったのか・・・。武には手術の資料を燃やしたかった、俺は殺してない!なんて主張しているが、やっぱり最初から清司を殺すつもりだったと考えるのが自然なんだけど・・・。
そして、前々回までの疑惑がさらに藪の中になってしまった。
西条医師が一億円持ってくるはずの人物だったとすると、マダム・真山はなぜそれを知っていたんだ?
マダム・真山が死ぬ前に「先生の手術はいや・・・」と言っていることから、西条医師が真山との関係を明らかにするのかと思っていたが、それは完全に忘れていたようだ。武も、そこを突っ込んでよね。というか、私も西条医師が死んでしまってから思い出したんだけど。
もしかしたら、真山と西条はまるっきり関係なかったのかもしれないね。真山と関係があったのは清司のほうで、真山は清司から、西条の医療ミスを知らされていて、さらに1億円のことも聞いていたのかもしれない。それで「医療ミスするような医者はいやだ・・・」と言っていただけかもしらん。つまり、ひき逃げは単なる偶然で、手術は適正に行われただけだったのかも。しかし、それだと武に「証言するのは後一日待って欲しい」と言った意味が分からんね。でも引き延ばしが好きな人なので、単に言ってみたかっただけかもしれない。ここらへんって、次回明らかにされるのだろうか・・・?

謎の多い今回だったが、悲しい物語もあった。

信一・・・。
泣いていいんだぞ・・・。
信一26歳・大失恋の回である。
一度は婚約した女性から、はっきりと最後通牒を突きつけられてしまった。
そのあとで華江を殴ったのは良くないが、まぁ、華江だって見方によっては、散々人の気持ちをもてあそんだと言えなくもない。

そして実。
敏夫や武をマンションに匿うことで、自分もつかまるかもしれない。それを案じて言う言葉。
「指揮者の仕事を棒に振るってわけか」
棒を振る仕事を棒に振る・・・。指揮者だけに。
・・・って、ちょっとちがうか。

弟二十二回につづく・・・
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赤い激流・第二十回 レビュー

前回ちょっと違和感を覚えていたのですが、十九回の信一は、右目が腫れぼったい。物もらいでも出来ていたのだろうか・・・。

第十九回はコチラ

「脱獄!!真犯人に迫る!」

あらすじ

脱獄を決意した敏夫は、重度の鬱病のふりをして絶食し、錯乱状態を装い、武にも面会しなかった。心理学者の小谷(新克利)は、症状を重く見て、民間の精神病院に移すことにする。病院の個室に移された敏夫は、見張りの医師に暴れたふりをして頭突きをして気を失わせ、鍵を奪い、病院から逃げ出す。信一は敏夫逃亡の報を受け、武に敏夫の行方が分かったら必ず知らせることを約束させる。武は、脱走が自分のせいだと自身を責めるのだった。敏夫は、料理屋の残版を漁り、工事現場の作業服に着替えて逃げ、小谷が所長に話していた言葉を頼りに、由美子の住むアパート「あけぼの荘」にたどり着く。武を信じて待てと、自首を勧める由美子だが、敏夫は犯人は必ず宮島家にいる、自分で犯人を捜すと、由美子が目を離したすきに一人で逃げ出してしまう。
宮島家では、正彦が菊子と、宮島家を乗っ取る相談をしていた。華江を明彦と結婚させるか、華江が怒って家を飛び出せば、大学と宮島家は東山夫妻のものだった。そんな時、敏夫が明彦に電話をしてきた。車で出かける明彦。後ろからはぴったりとパトカーが張り付いている。しかしセブンイレブンで買い物を装って、その隙にトランクに敏夫を隠す明雄。まんまと敏夫を宮島家に入れることに成功した。
敏夫は、包丁で正彦を脅す。本当のことを言えと迫る敏夫。初めは抵抗していた正彦だが、殺人犯だと決めつけられると、覚悟を決めたように落ち着き、「命は惜しいが、嘘は言えない」と、自分ではないと主張し、「殺すなら殺せ」と敏夫とにらみ合った。敏夫は武の職を奪い、信一の結婚もだめにした正彦を憎んで殺意を持っていた。それを明彦と華江が止めた。敏夫は華江を人質にとり、一旦逃げることにする。先ほどと同じようにトランクに敏夫を隠して車で宮島家を出る華江。
敏夫が宮島家に行ったことを告げた由美子と武が、宮島家に入れ違いに現れる。敏夫がまた逃げたことを知る大沢夫妻。そこへ江上刑事が現れ、大沢夫妻に逃亡幇助の疑いがあると告げる。しかし信一が自分に免じて見逃してほしいと頼み、江上刑事は帰った。
信一は怒り、次は必ず敏夫を自首させることを二人に約束させた。「華江さんにもしものことがあったら・・・僕は父さんを一生許さないよ・・・」
敏夫は、華江に真犯人のことを聞くが、華江はいくら考えてもわからないと言う。華江は敏夫と一緒に犯人を捜すと宣言する。敏夫は宮島家に帰れと言うが、華江は「いざというときは、自分が盾になって守る。自分より、貴方の命のほうが大事。大沢先生のために、お母さんのために、ピアノのために、私と生きてほしい」と頼む。敏夫は華江に礼を言い、キスをした。
大沢家では由美子が、敏夫が電話しているかもしれないと、アパートに戻ると武に話していた。武は「お前の戻る家はここだ。私は絶対離婚しない。離婚届は捨てた。勝手な真似は許さん」と言う。実は、「敏夫が脱獄したのは、由美子さんが大沢家を出て行ったからだ」と話す。「悪いと思ったら、二度と兄貴から離れるな。兄貴から離れては敏夫を助けられない!」と叫ぶ。武はやはり敏夫が脱獄したのは自分を信じさせられなかったせいだと言い、これからも真犯人を探すと宣言する。「そのためには、由美子の助けが必要だ」、由美子は「なりふり構わず、貴方についていきます」と、武に抱きつく。それを見ていた実は、「兄貴、夫婦っていいもんだな。俺も結婚したくなったよ!」と、やけくそ気味に武の肩をたたき、帰った。
行くところのない敏夫と華江は、田代清司のマンションに来た。今日はここで泊ると言う。黒焦げの室内を見るが、敏夫はまだ親父は死んでいないと華江に話す。ピアノの部屋に行き、清司が死んだ夜、敏夫の英雄ポロネーズを聞いてここで褒めてくれた思い出を語る。「ピアノが弾けるのも今日で最後かもしれない。思いっきり弾くから、父の代わりに聞いてほしい」そう言うと、華江を座らせてテンペストを引き出した。しばらく弾いていると、隣の部屋から、拍手が鳴り出した。「おやじか?」と驚いて扉を開けると、そこには大沢夫妻がいた。手を叩いて音色に感動する武。二人で考えて、きっとここに来ると思ったと言う。敏夫と華江の姿を見て安心する武。敏夫に自主を進めるが、敏夫は聞かない。敏夫は自分で犯人を捜すと言う。武は、法を守って真実を明らかにすると話す。由美子は、できれば匿ってやりたいが、それはできないと、自主することを頼む。敏夫は武を押さえつけて帰れと迫る。武を扉に押しやった拍子に、戸棚のガラスに腕を打ち付け、割れたガラスで、腕を切ってしまった。大量に出血する腕。傷を縛るが、医者に見せなければ危険な状態だ。絶対病院に行かないと言う敏夫に、武は西条医師を呼び出すことを思いつく。清司の部屋にあった電話帳を繰ると、なぜか西条医師の番号に、下線がつけられていた。西条医師は極秘で来てくれた。案内しようと武が待ち構えていたが、西条医師はそれに気づかず、案内もないのに、清司の部屋にすんなりと入り込む。明かりが弱く手当が難しいが、西条医師は部屋のコンセントの位置を教え、明かりを手元に持ってくるよう指示する。治療が終わった。武は礼を言うが、西条医師は「お前も苦労するな」と笑って出て行く。
しかし、公衆電話で西条医師は誰かに「敏夫を治療した。これからどうする?」と指示を仰いでいた。武はそれを聞いて、問い詰めるが、西条医師はすがりつく武を振り切って側の川に転落させると、逃げ出した。
敏夫の居場所を誰かに知られ、通報されるかもしれないと、場所を変える武たち。とりあえず、実のマンションに向かおうとするのだった。


感想

敏夫怖い!!!いやー、精神病の仮病の演技すごかったです。
メイクのせいもありますが、怖かったー。
そして・・・。
いらつく!
ひたすら後ろ向き。反抗する。抵抗する。暴れる。聞かない。
まぁ、一人では受け止めきれないほどの理不尽の嵐と戦っているわけだから仕方ないけど。でも・・・。
さすが・・・
田代清司の息子・・・と言ったところか。
ある意味、懐かしさを覚えてしまった。

前回の最後で、脱獄の意思を知ったわけだが、今回実際に脱獄してみて、視聴者的に、
「なんで・・・脱獄したんだ・・・?(゚_。)?」と思った人は多かったのではないだろうか。
最初母由美子に会いたかったとか言ってるが、由美子は別に面会しに来ないとは言ってないのよね。しかも、心理学者の小谷先生は、あっさり由美子の居場所知ってるし(笑)。じゃぁふつうに教えてやれよっていう・・・。

今回のお笑いポイントは、やはり実の「非モテの悲哀」だろうな・・・。
敏夫の脱獄を大沢家に知らせに来る由美子。もう一度アパートに戻ると言う由美子に武は「絶対この家に戻ってこい!私は別れない!」と言ってラブシーンを実の前で演じるのよね。その間の実の微妙な表情が、ヒッジョーに笑える。
とどめは、「俺も結婚したくなったよ!」と捨て台詞を残して去る実・・・と。
そしてこの時のネクタイがまたこれ以上ないほど幅広で派手派手で、さらに笑いを誘う。

そして、正彦先生。今回も彼、すごかった。
何しろ、全然立場を分かっていない。明彦がコンクール第二次予選で敗退したことをなじる菊子に、「私がついているから大丈夫!」と言ってのける。しかも、まだ宮島家乗っ取り計画をあきらめていなかった。「私」がついていながらコンクール落ちたんだよねー?「私」のせいで、宮島家は危機に陥ったんだよねー?
もう・・・。すごい面の皮だ。
しかし、今回で正彦先生が、田代清司を殺したのではないことがなんとなく分かる。
敏夫に包丁を突きつけられて尚、落ち着き払って対峙する様子は、明らかに犯人ではないことを物語っている。それを演技で見せつけてくれた。正彦先生、やるじゃん。と、初めて感心させられた。やっているのは前田吟だが。

敏夫がピアノを弾いているときにいきなり拍手が聞こえてきたときはびっくりした。警察が来たかと思ったよ。

西条医師。怪しすぎる。格闘慣れした武を、そばの川だかお堀だかに投げ飛ばしたときは本当に笑った。

あ、この当時セブンイレブンがあったことに驚いた。

第二十一回につづく・・・
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赤い激流・第十九回 レビュー

第十八回はコチラ

「私が犯人を教えます!」

あらすじ

東京拘置所に収監された敏夫は、絶望のあまり錯乱しており、拘束服を着せられ、保護室に入れられ、武と由美子の面会も許されない状況だ。
そんな時、また田代敏夫を名乗る人物から大沢家に郵便物が届いた。現在世界最高のテンペストを弾くケンプというピアニストの演奏を録音したテープだった。これを敏夫に聞かせて、コンクールで優勝させろという手紙がついている。由美子はその字が、清司のものに似ていると言う。武はそのテープに希望を託す。
拘置所の所長と心理学者の小谷に、武は面会を直接交渉した。敏夫が才能あるピアニストであることを説明し、このピアノのテープを聞かせれば、敏夫はきっと希望を取り戻し、希望さえあれば、敏夫は生きられると力説する武に感銘を受け、小谷は敏夫のノイローゼを治すために、ピアノを習わせようと、所長に進言する。
保護室に武の入室が認められた。相変わらず暴れる敏夫に、武はテンペストを聞かせる。絶望で敏夫は聞きたくないと暴れるが、武は諦めず説得する。武はテンペストの曲の成り立ちを説明する。「テンペストはシェイクスピアの芝居を元に作られた。周囲の人々に裏切られ、島流しにされた王が、それでもあきらめず最後には勝つ物語だ。その男に、君は負けるのか?ピアニストは死ぬまでキィを叩く。命のある限りピアノを弾くことしか、やることはない」それでも耳を傾けようとしない敏夫を、武は一歩下がってしげしげと眺めた。
「敏夫!自分の姿をよく見ろ!いつまでもそんなみじめな恰好で虫けらみたいに転がっていたいのか。それでも人間か。人間だったら立ってみろ。歩いてみろ。ピアノを弾いてみろ。あれ(テープ)と同じ音をだしてみろ。できないのか!?敏夫!」その言葉に、敏夫が動いた。「やってやる!俺はこれ以上の音を出してやる!」
「この音が出るまで死ぬな!あきらめるな!やけになるな!約束してくれ!敏夫君」
「約束するよ」

小谷は武に囚人のコーラス部を指導してみないかと誘い、敏夫に伴奏を任せると言う。早速囚人コーラス部を指導する武。敏夫も伴奏に張り切る。練習が終わり、小谷は二十分だけ練習を許可した。テンペストの数小節を弾いて、敏夫は言った。「やっぱり、ピアノさえあれば、生きていける」
真山玲子が旅先から戻ってきた。マンションの管理人からその情報を得た武と由美子は、マンションまで駆けつけるが、真山はすぐにどこかへ出かける。そのあとをつけた武は、真山が宮島家に入っていくのを目撃した。すぐに宮島家を訪問する武だが、東山夫妻に真山などいないと追い返される。強引に入り込もうとするが、家宅侵入で警察に訴えると言われてしまう。家の中では、真山が宮島夫妻、東山夫妻に「大沢さんに洗いざらいしゃべる」と、脅しをかけていた。真山に姿をくらますよう指示したのは、正彦だった。
大沢夫妻は、検察庁に行き、信一に真山を調べるよう頼んでいた。由美子は、「母親だから敏夫をかばうのではない。犯人ではないから助けたいのです」と訴える。裁判は適正だったと言う信一に、武は「人間だれでも間違いはある。あの裁判が間違いではなかったとは言えないのではないか」と反論する。聞こうとしない信一に武は憤る。「信一、お前がいつも正しいとは限らない」そう言い残して、武は帰った。
宮島家の前から離れない大沢夫妻。そこへ信一が現れた。やはり信一は父と由美子の頼みを聞いてくれたのだ。宮島家に入り込み、真山を見つけて検察庁に来るよう要請する信一。東山夫妻を怒らせてしまい、揉めているうちに、真山玲子は家を飛び出す。そこを待ち構えていたのが大沢夫妻だった。二人は真山を強引に公園に連れ出し、証言を頼む。
金をもらって証言を覆したらしい真山に向かって、武は家を売って作った500万円をすべてあげるから証言してほしいと迫る。そんなはした金はいらないと言う真山に、あなたにとってははした金でも、私にとっては全財産ですと言って頼み込む。由美子は22年間育ててきた息子を、病気なら精一杯看病する、事故なら不運とあきらめる、しかし理不尽に死刑にされるのだと言い、そのむごすぎる事実に、親の心情を訴えてすがる。真山にも、女手一つで育ててきた娘があった。息子のために、自分の膝にすがって頼み込む二人の親を前にして、真山が折れた。
わかったわ。教えてもいい。でも・・・1日だけ待って欲しい」そう言って真山は立ち去った。喜ぶ大沢夫妻だが、その様子をひそかに見つめる人影があったのを、二人は気付いていない。
囚人コーラスの指導の後、武は敏夫に真山が証言することを話し、敏夫は喜んでコンクールへの希望を膨らませる。
真山のマンションについた武を待っていたのは、真山玲子のひき逃げされた姿だった。武の友人・西条医師の病院に運ばれた真山は、西条医師の執刀で手術をすることになる。武は西条医師に手術の成功を頼み込む。真山にはまだ息があり、朦朧とした意識の下で、「先生の手術はいや・・・助けて・・・」とつぶやくのだった。
手術が終わった。真山の脳内出血はひどく、結果として真山は死亡してしまった。誰が執刀しても結果は変わらないと説明され、武は絶望する。
宮島家では、華江と信一の婚約解消を話し合っていた。正彦が検事である信一の危険性を訴え、宮島夫妻を説得したのだ。明彦は、真山が死亡したことに疑問を投げかけるが、正彦に一喝される。華江は信一との婚約解消を受け入れた。敏夫が死刑囚になったからではなく、もし華江の身内に真犯人がいたら、信一が苦しむことになるからだと言う。華江は祖父の学長に、宮島家の人間は、すべて潔白と言えるのかと迫るが、だれも答えられない。
宮島家は、敏夫の兄である信一との婚約は認められないと信一に伝える。信一は、華江が敏夫を好きだから婚約を解消するのかと聞くが、あやは、宮島音楽大学の身内に死刑囚がいては、大学の発展の妨げになるとすげなく言った。
信一は家に戻ると、何もかもすべての原因は父さんの再婚だと責める。
田代親子にかかわったせいで、父は腕を失い、職を失い、財産を失った。そう言う息子に、武は「敏夫君を一流ピアニストにしたいだけだ」と答える。その言葉に信一は叫ぶ。「僕はどうなる!?僕はこのうちを出て、婚約も解消だ!僕は華江さんが大好きだ!結婚できないなんて、死ぬほど辛い。再婚は失敗だよ」それを実が止める。「父親の再婚を侮辱するな」「叔父さんも、同じ芸術家の敏夫をかばうのか!僕なんてどうなってもいいのか。二人とも血のつながった僕より、敏夫のほうが可愛いんだ」その言い争いに、由美子が入り込んだ。出て行く信一。由美子は、「私は武さんと離婚する」と言う。実は「兄貴と別れるのは間違っている。兄貴と別れると、敏夫は助からない!二人で力を合わせて無罪を勝ち取れ」と話して兄夫妻が話し合うために出て行く。自分や敏夫と縁が切れれば、信一の婚約も戻り、武も大学の復職が出来ると由美子は必死になるが、武は由美子を愛しているから離さないと説得する。
由美子は感動して涙を流すが、その明け方、武が起きださないうちに離婚届と書置きを残して、大沢家を去った。
母から武との離婚を聞かされた敏夫は、やはりやけになって、武をののしる。自分や信一のために母を捨てるのか、と。そうではないと由美子は訴えるが、敏夫は聞いていなかった。囚人コーラスの指導に訪れた武に、敏夫は由美子のことを聞く。武は離婚する意思はなく、由美子を探していると言うが、敏夫はある決心を胸に秘めていた。誰も信じられない、自分ひとりで母を探すと言う敏夫。武は敏夫の決意が脱獄を意味していることを感じて、恐怖するのだった。


感想

いろいろ分かってきた。
ま、憶測に過ぎないが、今回でいろいろ分かったことがある。

まず、前回真山玲子に金と航空券を渡したのは、正彦先生だった。先生とつけてやるのももう嫌なのだが。とにかく、身を隠すように指示したのは正彦だと真山が言っている。さらに、なんと真山は西条医師とも通じているようだ。前回から、怪しさ爆発の西条医師。が、西条医師が手術中に何か手を加えたとして、それに誰も気付かないものだろうか。西条医師はもはや外科の教授になっているから、誰も何も言えないのだろうか。

あと、田代清司を名乗る人物について、なんとなくわかった気がする。断っておきますが、私は以前に途中からこのドラマを見たことはあります。けれども、細かい部分は相当忘れていて、たとえばこの田代清司を名乗る人物がいたってこと自体、すっかり忘れていたんです。
これって、後から明らかになることなんですかね。一応、予想としては反転しておくけど今回のやり口からして、「フランスの三津子先生(岸恵子)」かなぁと思いました。

武の熱血には今回も感動した。武が初めて敏夫を呼び捨てにした。しかしそれは人間らしさを敏夫に引き戻すための叫びだったのだ。
そして、真山に頼み込む武と由美子。二人の土下座になんだか新鮮な感動を覚えた。二人は別に土下座しようとして、しているわけではない。ただ心から証言を頼みたい。敏夫のために。その思いが、彼らの膝を自然に跪かせるのだ。そこに不自然さはない。たとえば、仕事に失敗して土下座とか、くだらない頼みごとのために土下座とか、これ見よがしにしているのではないことが芝居によって自然に分かる。いいね!

本当に、正彦先生は何であんなに偉そうなんだ?元はといえば全部自分の責任なのだ。それなのに宮島夫妻に信一との婚約解消を要請するときの態度とか、武を宮島家から追い出す態度とか、もうありえない。

そして今回の注目は、なんといっても信一だ。
え?なぜそこかって?まぁ、私はそんな人間だ。
今回信一、大爆発だ。ようやく「血は繋がらないけど芸術家の弟・敏夫」へのコンプレックスと真剣に対峙するときが来たのだ。
以前私は、信一について「エリートコースまっしぐらで挫折もしない男が、ポッと出の敏夫に全てを奪われそうになって焦っている」と書いたが、どうも違うのではないかと思い始めている。
信一は、親戚や家族のほぼ全員が音楽家の中にあって、唯一、芸術とは関係ない職業に就いた男だ。
武が信一にピアノを教えなかったとは考えにくいので、信一も子供のころは音楽漬けの期間があったかもしれない。しかも、宮島学長夫妻にとっては、外孫とはいえ、初孫、しかも男子ということで、掛けた期待も大きかったに違いない。しかし、おそらくある時点で、祖父母は信一に音楽的期待を掛けるのをやめたのではないだろうか。あるいは、それが原因で、音楽でトップを取れない自分に我慢できなくなった信一が、自らピアノを捨てたのだろう。父武は、自分が努力の人ということで、息子がすぐにトップを取ることにこだわりはなかったと思われるが、祖父母の期待に応えられない自分という存在を、信一は受け入れがたかったのだろう。
つまり、信一は音楽に対してすでに挫折を経験済みと考えるのが自然だ。
しかし、信一はそこで終わる男ではなかった。キチンと路線変更をやり遂げ、一般的にエリートと考えられる検事になることで、大沢家の跡取りとして存在感を示すことに成功したのだ。
そこへ現れたのが敏夫だ。自分が捨てたピアノの才能をあふれるほど持ち、自分がかつて受けていた期待を一身に背負う男。しかも、死刑になってもなお、自分や父に影響を与え続ける男。
一族の中で認められるには、やはり、音楽家でなければだめなのか―。
そんな思いが、本人の意識の下で駆け巡ったに違いない。
それが、今回外に向けて爆発したのだ。
なんというか・・・悲しいね・・・。

宮島あや。今回彼女は厳しかった。
そして、ようやく論点のすり替えをせずに済んだ回だった。
いや、言っていることは今までと同じだ。彼女が主張するのは、音楽大学の存続と発展。
しかし、受ける印象はずいぶん違う。今回あやは、敏夫という死刑囚と宮島家が繋がっていると見られることで大学の信用が失われることを心配している。
前回までとどう違うのかというと、前回までは、敏夫を死刑から救うには、大学の不正入学を世間に公表することが必要→それはすなわち大学の地位失墜に繋がり、大学の地位失墜は学長の命を縮めることになる→そんなむごいことはできない!という三段論法だったのだ。それが私には論点のすり替えに感じられた。
・・・やはり一緒だろうか。私にはなんだかずいぶん違うように思えるのだが。
確かに、死刑囚の兄との結婚は宮島家にいい影響を及ぼさないだろう。しかし、敏夫が死刑囚になるのを防ぐ手立てを持っていたのは、誰あろう宮島家なのだ。その責任を果たさずに、信一にのみ貧乏くじを引かせるのは、やはり違うだろうと私は思う。

第二十回につづく・・・
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