SWEET SWEET SWEET

手作りのお菓子やパン、料理など美味しいもの、
そして大好きな本など紹介します♪
<< 桑田佳祐 宮城ライブ〜明日へのマーチ! :: main :: 桑田佳祐 宮城ライブ〜明日へのマーチ!その2 >>

赤い激流・第十二回 レビュー

赤い激流・第十一回 レビューはコチラ

「今日は夫が殺される日」

あらすじ

いよいよ武の大学辞職の日が来た。
敏夫はまとめた荷物の中に、そっとナイフを忍ばせる。幾日もの騒乱を共に過ごしたジャズ仲間の三郎、良介に別れを告げ、部屋を出る。
由美子は夫の最後の出勤を見送るために、寄り添って歩いた。途中、敏夫が自分も一緒に学校に行きたいと申し出、それならば、と武は一軒の洋品店に入る。ここは武が初めてスーツを仕立ててから今日まですべてのスーツを誂えてきた店なのだ。武は敏夫に、毎朝音楽コンクールに出場するためのスーツを誂えていた。武の思いやりに感動する由美子。敏夫は喜んで、その胸に、白いバラを飾りスーツを着て登校する。
武の最後の授業で、ピアノ科の生徒を前に、自分の音楽の精神と解釈を感じてほしいと、動かない指でありながら、英雄ポロネーズを弾く。中指の動かない音楽。ピアニストとしてのプライドよりも教育にすべてを捧げる男の姿がここにあった。
敏夫は、「先生の精神と解釈は、俺がすべて受け継いでいるから、俺が代わりに弾く」と立ち上がる。武は、敏夫のピアノを聞きながら、自分の腕が、敏夫の中に生きていることを確信した。
田代清司は、学長や東山正彦に、自分を助教授にすることを要求する。武最後の授業を聞いていた学長は、なかなか首を縦に振らない。業を煮やした清司は、武の辞職後も、武の再就職の妨害を行うように命令する。
武の弟・実は学長達がやはり武をクビにしてしまったことに腹を立て、訳を尋ねに来た。学長は、しばらくしたら必ず説明するとしか答えられない。実は、仕方なくしばらくアメリカに滞在すると言ってその場を去る。しかし、その前に田代に対して、「兄貴に何かしたら、俺がお前を殺す」と言い放つ。
華江から武の辞職の訳を聞かれた敏夫は、自分の父親のせいであり、武が幸せになるためには、清司が消えるしかないと話す。華江は不吉な予感に震えるが、敏夫の別れのキスを黙って受け入れる。
敏夫は武から帰ったらレッスンだと誘われるが、今日のレッスンは休みにしてほしいと頼む。敏夫は、これからも元気で生きて、母を幸せにしてほしいと頼み、礼を言って別れた。由美子は、武からの外で食事をしようと言う誘いを、友達が入院したので、見舞いに行くと言って断り、愛用の包丁を鞄に忍ばせて、いずこかへ出かけた。
敏夫は清司を呼び出して、「父さんは、先生にはかなわない。父さんは嫉妬しているだけだ」と言う。そして武から手を引いてくれと土下座して頼む。土下座までする息子に「そんなに大沢が大事か」と問う。「先生は、俺の命を助けてくれて、本物のピアノを教えてくれた。大事に決まっている」と答えが返ってくる。しかし、敏夫が頼めば頼むほど、清司は武が憎くなるのだ。もはやこれまでと悟った敏夫は、隠し持ったナイフを取り出す。敏夫はナイフの刃を自分に向けた。「おれが死んでも、先生を憎むのか。おれを殺してでも、先生を憎むのか」そう言って、自分につきたてようとする。その手を清司が取り押さえた。敏夫は抵抗するが、お互いに傷つけあい、血だらけになりながらも、ついに清司がナイフを取り上げ、遠くに投げた。なぜ、清司を殺さずに、自分が死のうとしたのか。それは武から、父を殺すのは止められているからだ。「人を憎んで暗く生きるより、人を愛して明るく生きてほしい」武からの教えを、敏夫は守った。父にも、自分が死ぬことで、考えを改めてほしかったのだと話す。敏夫から、昔の父にあこがれて、ピアニストを目指したと聞かされた清司は、夜マンションに来いと言って、その場を去る。
宮島家に清司が現れた。ちょうど武の息子・信一が来ているときに。清司は宮島学長に、華江と信一の婚約を解消して、華江は敏夫と結婚させろと迫る。信一は怒り出すが、華江が信一を愛していないことを清司は指摘する。そして、学長に敏夫と華江を結婚させれば、助教授の座や、武を失墜させる計画、今までのゆすりなど、すべてを忘れると宣言する。学長は即答はできないと答えるが、信一はみんなの煮え切らない態度に腹を立て、出て行った。宮島あやは、清司を何とかしなければならないと言って、学長と話し合うと言う。東山夫妻も、二人きりで話し合うことにする。華江は、自分の気持ちを言い当てられ、茫然とするだけだった。
武は、今や大学病院の教授になった西条医師に会いに行く。指が完治しないことを謝る西条だが、武は精一杯の治療に対して礼を言うのだった。武は、西条が使っているマッチが、コーヒーとケーキの店、「CROWN」のものであることを知る。そこに、なぜか清司から電話が来て、清司のマンションに呼び出されるのだった。
清司のマンションに来た敏夫は、清司に由美子、敏夫、武、清司4人の新しい出発ために乾杯をさせられる。清司は、敏夫の気持ちに心を動かされ、ついに改心したのだ。「近いうちに日本を離れ、フランスに渡る。親は泣く子には勝てない。由美子と敏夫を、大沢にくれてやる。大沢のお人よし、馬鹿正直には降参した」と言って笑うのだった。さびしくないのか、という敏夫の問いに、「さびしい、悲しい、泣きたいくらいだ。しかし俺も男だ。我慢する。その代りに、大沢にくらいついて、一流のピアニストになれ。おれが果たせなかった夢を、お前が実現しろ。それが親孝行だ。コンクールの課題曲を聞かせて見せろ。自惚れだけは、俺に似ているな」と言って、敏夫を励ます。
「コンクールに優勝して、次はヨーロッパのコンクールに出場する、その時は、父さんに会いに行く」と敏夫は言う。敏夫は、清司が負けてから封印していた英雄ポロネーズを、父のために弾く。
敏夫のピアノを聞いて、思わず「うまいぞ敏夫!昔の俺よりずっとうまい。さすが俺の息子だ。やはり大沢はえらいな。よくここまで仕込んでくれた。礼を言わなくちゃならんな」その顔には、もはや憎しみは跡形なく消えていた。
敏夫は清司の部屋を出た。心は寂しさでいっぱいだったが、同時に羽よりも軽かった。
敏夫が帰った後、武が清司を訪ねた。清司は、武に、もう武を傷つけることはやめたこと、いずれ武は大学の教授に戻れること、由美子と敏夫をあきらめることを伝える。そして、フランスに発ち、二度と日本に戻らないことを告げる。武は、戸惑いながら清司を一人不幸にはできない。敏夫を清司と二人で育てて行こうと説得するが、清司はフランスには恋人が待っている。一人にはならないと言って笑った。
清司は武に、これからある人物と会うことになっている。その人物から一億円もらうので、武にすべて渡す。それで由美子と敏夫を幸せにしろと言う。武はもちろん拒否するが、清司は武をピアノの部屋に閉じ込め、ある人物と会うために玄関に向かう。武は、ピアノの上に残された、血染めの白バラを、いぶかしげに眺めた。するとすぐに清司の悲鳴が聞こえた。武は扉を開けようとするが、鍵がかかっており開かない。さらに扉から煙が立ち込めてきた。侵入者が火を放ったのだ。武は扉を破り、清司の名を呼びながらも玄関から外に出、それと同時に煙に巻かれて失神した。
敏夫は酒を飲みながら公園で遊び、勢いで女性に飛びついた。「Rykiel」とプリントされたセーターを着ていた女性だった。敏夫はあわてて謝り、大沢家に帰る。全員出かけていたが、敏夫は昼間の格闘で血に汚れたシャツを洗いだす。妙子と信一が家に戻り、シャツについているのが血であることを指摘するが、敏夫は気にしない。ついで由美子が顔面蒼白の状態で帰宅した。
そこへ警察からの電話が鳴った。清司が火事で死亡したので、身元を確認してほしいという。さらに、武が失神したことも伝えられた。由美子、敏夫、信一が現場に到着してみると、確かに清司が焼死体となっていた。しかも死因は焼死ではなく、全身を刺されたからだという。そして、意識を回復した武は、現場に最後までいた人物であり、重要参考人として、連行されてしまうのであった。


感想

ついに。ついにここまで来た。
もう長すぎるあらすじだが、気にせず書いた。この回は、省略するところが全くない。
これまでの清司の憎しみ、それはすべて敏夫と武の愛情の前に敗北した。
武が愚直なまでに守ってきた、誠意とお人よし、さらに敏夫の愛によって、清司は人間性を取り戻したのだ。
緒方拳の演技がいい。
あれほどまで憎しみで恐ろしげに歪んでいた顔は、つきものが落ちたようにすっきりと、澄み渡っている。しかし、やはりすぐには素直になれない。敏夫と酒を酌み交わし、自分が考えを改めたことを話すときも、なかなか息子と目を合わせられないのだ。素直じゃない。けれども、敏夫に一流のピアニストになれと命令するときに、敏夫と目を合わせ、真剣に迫る。ピアノに対しては、彼は真摯になるのだ。
ともすれば泣いてしまいそうになる自分を、必死で抑えて息子を励ます父の姿に、涙腺は崩壊する。

今回は清司と敏夫の最後の乱闘だ。二人の乱闘もこれが見納めかと思うと感慨深いなー(棒読み)。とはいえ、今回も怖い乱闘だった。何しろ、ナイフを持ちながらの乱闘である。敏夫は自分の死を覚悟していることから、どうでもいいのだろうが、敏夫が死なないことを知っている視聴者としては、やはり敏夫が手や腕を傷つけないかばかりが気になって、乱闘に集中できない(笑)。ピアニストの手はそれだけ繊細なのだ。視聴者に別の意味でこれほどハラハラさせるとは、さすが赤いシリーズ。

さらに敏夫。敏夫は清司と別れた後、酒を飲み、泥酔しながら散々公園の遊具で遊ぶ。ブランコやら、あのぐるぐる回すやつやらで。見ているだけでこちらが嘔吐しそうになってしまう。あのシーンは、正直もう見たくない。

ちなみに、清司が武を部屋に閉じ込め、音を聞かせないためにつけた大ボリュームのレコードは、ベートーベンの交響曲第三番「英雄」の第二楽章。

第十三回はコチラ
comments (2) : trackbacks (0) : Edit

Comments

hirorin ... 2011/09/13 08:05 PM
>キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命さんへ。

ありがとうございます!
似たようなお話だと、現在だとすぐパクリ疑惑になってしまいますよね。世知辛い世の中です。
キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命 ... 2011/09/12 11:36 PM
1977年昭和52年8月19日放送この日はキャンディキャンディでは湖畔のサマースクールという赤い激流の7月29日放送と同じような話を放送していましたしキャンディキャンディの方もこの後ますます赤い激流に話が近づくがこれはネタバレ

Comment Form


Trackbacks