赤い激流・第十六回 レビュー
赤い激流第十五回はコチラ
「死んだ父さんの復讐が始まる」
あらすじ
毎朝音楽コンクール第二次予選まで、あと一週間。
敏夫の中川検事(中山仁)からの取り調べも最後の日になった。検事は罪を認めろと迫るが、敏夫はピアノの練習で取り調べも上の空だ。本物のピアノ弾けないことで、敏夫の精神力も限界になっていた。大沢家にはマスコミが押し寄せ、敏夫とコンクールについて武に取材をする。そんな時も、清司を名乗る男から電話がかかってくる。
武が面会に訪れ、レッスンをするが、敏夫はピアノが弾けないことにいら立っている。山田弁護士(原智佐子)が保釈の申請をしていた。中川検事は強硬に反対するが、武が敏夫の保釈を望むのは、一時間でも長くピアノを練習させたいから。敏夫も同じ気持ちであることを訴える。敏夫の夢をつぶさないでほしいと、裁判官を説得し、保釈の許可が下りた。
しかし、保釈金は500万円に設定された。大学の退職金は、由美子や敏夫の弁護料でかなり減っていた。貯金を合わせても、半分は足りない。武は金策に走り回るが、ローンは組めない。最後の手段で宮島家に借金を申し込むが、学長夫妻は不在で、東山夫妻は首を縦に振らなかった。殺人犯に金を貸せないと言う。武は敏夫が殺人犯ではないこと、それはコンクールでの演奏を聞けば分かるはずと、正彦に詰め寄る。話を聞いていた華江と明彦も同調するが、武はそんな二人に礼を言って立ち去る。華江は、東山夫妻が清司に脅されていたことをばらされたくないから敏夫の保釈に反対なのだと言って、責め、宮島家には、全員アリバイがないことを指摘した。東山夫妻は、殺人などするわけはないと怒る。
そこへまた清司から東山夫妻に手紙が届く。武や敏夫をいじめると、許さないと言う内容だ。
万策尽きて、武は家を売ることにする。信一は、敏夫のために武が財産を手放すことに怒るが、妙子は敏夫兄さんのためなら、家などいらないと言う。
信一は、敏夫のことなど弟とは思わない、家を売るなら自分は出て行くと言う。由美子は、この家を手放すなど、亡くなった奥様に顔向けできないと嘆くが、武は「息子が拘置所にいるのに、親が家でぬくぬくとしているなんてありえない。子供を助けるためなら、親は死んだっていいんだ。私のやることは、500万円作ることだけだ」と断言する。「信一も、薄情な子ではない。わかってくれる」と由美子を慰めた。
敏夫が保釈された。敏夫は武に抱きついて喜ぶが、江上刑事が保釈中は敏夫に張り付くことが分かる。家に戻った敏夫は、まっすぐピアノに向かい、練習を始める。
「カンパネラは教会の鐘。神の声だ。大空から見下ろす、神の声を歌い上げろ」武の指導も開始された。由美子と妙子が作った料理を、敏夫は喜んで食べる。敏夫は、家のありがたさをかみしめていた。信一が仕事から戻るが、敏夫に保釈中の注意を与え、これから自分は検察庁の寮で暮らすと話す。「未決囚と検事は一緒に暮らせない。父が敏夫のために家を売り、無一文になったことをよく考え、絶対に忘れるな」とののしる。武はそんな信一を思わず殴った。「信一、なぜ私が殴ったか分かるか。家を売ったのは、みんな私が勝手にやったことだ。敏夫君に恩を着せるな」武はそういって叱るが、信一は出て行く。敏夫はそのやり取りを聞いて、「ありがとうございます。本当にすみません」と頭を下げた。「こうなったら、必ずコンクールに優勝し、一流ピアニストになって恩返しする」と言って、ピアノに向かうのだった。自分の部屋に一人になった敏夫は、辛さに涙する。
夜中、敏夫は宮島家に忍び込んだ。明彦と華江は、敏夫を歓迎し、東山夫妻の寝室に案内する。敏夫は正彦に武を大学に戻すように願い出る。敏夫が殺人で逮捕されているからそんなことはありえないと笑う正彦に、敏夫は怒る。正彦は敏夫を挑発し、敏夫が殴りかかろうとするのを、華江と明彦は止める。警察に連絡しようとする菊子を、明彦は「そんなことしたら、ただじゃおかないぞ!バッバァ!」と電話をひったくった。華江に説得されて、敏夫は今夜は諦めた。宮島家から出てきた敏夫を、江上刑事が迎える。保釈を取りけすと言う刑事を、武が駆けつけて止めた。敏夫は、自分のために武が無一文になったことを嘆く。武は「私は無一文だろうとへこたれない。敏夫がコンクールに優勝すれば満足だ。君が田代君を殺していないことが真実だ。真実とともに生きるんだ」と励ます。
ピアノのレッスンを続ける敏夫に、リストの本が届いた。やはり清司からだった。さらに山田弁護士にも、田代清司から電話がかかる。「あの焼け焦げの死体は田代清司ではない。それを証明しろ」という内容だ。山田弁護士は、清司が生きていれば、裁判自体が無効になることを指摘し、次の公判でその点をついてみることにする。
山田弁護士は、徹底的に証拠の不備を指摘するが、中川検事はそれに反論し、証拠を提出する。武も検察側の証人として証言させられる。武が清司の叫び声を聞いて、火事に気付くまで、30から40秒しか経っていないことが分かった。死体の骨格などからも、清司の死体に間違いないことを検察は主張する。しかし、敏夫はどうしてもそれを認めたくなかった。武は、敏夫がピアノを弾いている限り、清司は敏夫の血、体に生きていると話し、由美子と3人で家に戻った。
感想
明彦の髪型がすっきりした。
ってことだけで、今日は勘弁・・・。
というわけにもいかんのだろう。
えーと。
今回も濃かった。
みんな辛い回だ。
敏夫もつらい。
が、拘置所でピアノが弾けなくて怒って壁を叩いて八つ当たりする。そこはやはりピアニストとして、なぜ手を大事にしないのかと突っ込んでおくべきなのだろう。
それにしても、武の無職を自分のせいにされ、武の無一文を自分のせいにされ、武の腕のけがも自分のせいにされ、清司が死んだのも自分のせいにされている。
自分ではどうしようもないのに・・・本当につらい。
それにしても、さっそく宮島家に潜り込んだのには吹いてしまった。
お前、自分の立場が分かっていないだろうと。
明彦も同じように思ったらしい。
「やっぱり君ってすごいね」
なんて、やはりちょっととらえ方がずれていたが。
信一もつらい。
彼は長男として、父と家を守りたいだけなのだ。
しかし、その言動は相手を傷つけ、父を怒らせるだけだった。
前々回、ちょっと信一は態度を軟化したかと思われたが、やはり「僕は敏夫を弟とは思っていない!」と宣言してしまった。ま、仕方ないか。
それにしても、信一の家でのファッションは、マンシングウエアが多い。あのペンギンのマークね。当時流行っていたんだろうか。きっと箪笥はマンシングのシャツでいっぱいなのだろう。無難だしな。
武だって辛い。
何しろ、金がない。次々と借金を断られる。愛する者のためには何でもやるのが彼の信条だが、そうは言っても、正彦に借金を頼むのは辛かっただろう。こんな時に限って、宮島学長とあやおばあちゃんは、伊豆に療養に行ってしまっていて、役に立たない。
そして、彼の正直さ加減が、視聴者にとってもだんだん辛くなってくる。
何しろ、正直なのだ。
中川検事に、敏夫の保釈のためなら何でもやると言われ、裁判官の前で、「そりゃそうですよ。なんでもやります」と元気に答える。それを逆手に取られて、敏夫の逃亡の手助けもしかねないなんて言われてしまう。
でも!
最後には武の誠意がいつだって勝つのだ。そこに視聴者はホッとする。
よかったね。
そんな中、東山夫妻の憎たらしさは異常。
正彦先生こそ大学を辞めるべきなのに・・・(ってまだ言ってる)。
明彦はコンクール直前のパイプ乱打事件以来、本当に吹っ切れたようだな。バッバァの言い方もサマになってきた。
ここで「バッバァ」について説明する。初期のころ、明彦が気の弱さを敏夫に相談したとき、母親を「ママ」なんて呼んでいてはだめだ、ババァと呼んでみろ、と教えを受けた。明彦は、それ以来なぜだか「バッバァ」と、そこはかとなく珍妙な発音で母を呼ぶようになり、それが母菊子の悩みの種となっているのだ。
華江と東山夫妻の対立は、深刻なものになりつつある。そんな親戚と一つ屋根の下で暮らさなくてはならないのだから、華江もつらいところだ。っていうか、同年代の従弟と同じ家で暮らすってどうだろう。しかも、明彦って一応、華江にプロポーズしてんのよね。信一はそこんとこどう思っているわけ?
まぁ、いいけど。
清司生存説に、ようやく決着がつきそうだ。これもまた時代だ。現代ならDNA鑑定とやらで一発だっただろう。それなのに、裁判という場で、生死の是非が問われるのだから、大変だ。いや、放送当時だって、「今頃それ?」って思った視聴者はいただろう。
第十七回につづく・・・
「死んだ父さんの復讐が始まる」
あらすじ
毎朝音楽コンクール第二次予選まで、あと一週間。
敏夫の中川検事(中山仁)からの取り調べも最後の日になった。検事は罪を認めろと迫るが、敏夫はピアノの練習で取り調べも上の空だ。本物のピアノ弾けないことで、敏夫の精神力も限界になっていた。大沢家にはマスコミが押し寄せ、敏夫とコンクールについて武に取材をする。そんな時も、清司を名乗る男から電話がかかってくる。
武が面会に訪れ、レッスンをするが、敏夫はピアノが弾けないことにいら立っている。山田弁護士(原智佐子)が保釈の申請をしていた。中川検事は強硬に反対するが、武が敏夫の保釈を望むのは、一時間でも長くピアノを練習させたいから。敏夫も同じ気持ちであることを訴える。敏夫の夢をつぶさないでほしいと、裁判官を説得し、保釈の許可が下りた。
しかし、保釈金は500万円に設定された。大学の退職金は、由美子や敏夫の弁護料でかなり減っていた。貯金を合わせても、半分は足りない。武は金策に走り回るが、ローンは組めない。最後の手段で宮島家に借金を申し込むが、学長夫妻は不在で、東山夫妻は首を縦に振らなかった。殺人犯に金を貸せないと言う。武は敏夫が殺人犯ではないこと、それはコンクールでの演奏を聞けば分かるはずと、正彦に詰め寄る。話を聞いていた華江と明彦も同調するが、武はそんな二人に礼を言って立ち去る。華江は、東山夫妻が清司に脅されていたことをばらされたくないから敏夫の保釈に反対なのだと言って、責め、宮島家には、全員アリバイがないことを指摘した。東山夫妻は、殺人などするわけはないと怒る。
そこへまた清司から東山夫妻に手紙が届く。武や敏夫をいじめると、許さないと言う内容だ。
万策尽きて、武は家を売ることにする。信一は、敏夫のために武が財産を手放すことに怒るが、妙子は敏夫兄さんのためなら、家などいらないと言う。
信一は、敏夫のことなど弟とは思わない、家を売るなら自分は出て行くと言う。由美子は、この家を手放すなど、亡くなった奥様に顔向けできないと嘆くが、武は「息子が拘置所にいるのに、親が家でぬくぬくとしているなんてありえない。子供を助けるためなら、親は死んだっていいんだ。私のやることは、500万円作ることだけだ」と断言する。「信一も、薄情な子ではない。わかってくれる」と由美子を慰めた。
敏夫が保釈された。敏夫は武に抱きついて喜ぶが、江上刑事が保釈中は敏夫に張り付くことが分かる。家に戻った敏夫は、まっすぐピアノに向かい、練習を始める。
「カンパネラは教会の鐘。神の声だ。大空から見下ろす、神の声を歌い上げろ」武の指導も開始された。由美子と妙子が作った料理を、敏夫は喜んで食べる。敏夫は、家のありがたさをかみしめていた。信一が仕事から戻るが、敏夫に保釈中の注意を与え、これから自分は検察庁の寮で暮らすと話す。「未決囚と検事は一緒に暮らせない。父が敏夫のために家を売り、無一文になったことをよく考え、絶対に忘れるな」とののしる。武はそんな信一を思わず殴った。「信一、なぜ私が殴ったか分かるか。家を売ったのは、みんな私が勝手にやったことだ。敏夫君に恩を着せるな」武はそういって叱るが、信一は出て行く。敏夫はそのやり取りを聞いて、「ありがとうございます。本当にすみません」と頭を下げた。「こうなったら、必ずコンクールに優勝し、一流ピアニストになって恩返しする」と言って、ピアノに向かうのだった。自分の部屋に一人になった敏夫は、辛さに涙する。
夜中、敏夫は宮島家に忍び込んだ。明彦と華江は、敏夫を歓迎し、東山夫妻の寝室に案内する。敏夫は正彦に武を大学に戻すように願い出る。敏夫が殺人で逮捕されているからそんなことはありえないと笑う正彦に、敏夫は怒る。正彦は敏夫を挑発し、敏夫が殴りかかろうとするのを、華江と明彦は止める。警察に連絡しようとする菊子を、明彦は「そんなことしたら、ただじゃおかないぞ!バッバァ!」と電話をひったくった。華江に説得されて、敏夫は今夜は諦めた。宮島家から出てきた敏夫を、江上刑事が迎える。保釈を取りけすと言う刑事を、武が駆けつけて止めた。敏夫は、自分のために武が無一文になったことを嘆く。武は「私は無一文だろうとへこたれない。敏夫がコンクールに優勝すれば満足だ。君が田代君を殺していないことが真実だ。真実とともに生きるんだ」と励ます。
ピアノのレッスンを続ける敏夫に、リストの本が届いた。やはり清司からだった。さらに山田弁護士にも、田代清司から電話がかかる。「あの焼け焦げの死体は田代清司ではない。それを証明しろ」という内容だ。山田弁護士は、清司が生きていれば、裁判自体が無効になることを指摘し、次の公判でその点をついてみることにする。
山田弁護士は、徹底的に証拠の不備を指摘するが、中川検事はそれに反論し、証拠を提出する。武も検察側の証人として証言させられる。武が清司の叫び声を聞いて、火事に気付くまで、30から40秒しか経っていないことが分かった。死体の骨格などからも、清司の死体に間違いないことを検察は主張する。しかし、敏夫はどうしてもそれを認めたくなかった。武は、敏夫がピアノを弾いている限り、清司は敏夫の血、体に生きていると話し、由美子と3人で家に戻った。
感想
明彦の髪型がすっきりした。
ってことだけで、今日は勘弁・・・。
というわけにもいかんのだろう。
えーと。
今回も濃かった。
みんな辛い回だ。
敏夫もつらい。
が、拘置所でピアノが弾けなくて怒って壁を叩いて八つ当たりする。そこはやはりピアニストとして、なぜ手を大事にしないのかと突っ込んでおくべきなのだろう。
それにしても、武の無職を自分のせいにされ、武の無一文を自分のせいにされ、武の腕のけがも自分のせいにされ、清司が死んだのも自分のせいにされている。
自分ではどうしようもないのに・・・本当につらい。
それにしても、さっそく宮島家に潜り込んだのには吹いてしまった。
お前、自分の立場が分かっていないだろうと。
明彦も同じように思ったらしい。
「やっぱり君ってすごいね」
なんて、やはりちょっととらえ方がずれていたが。
信一もつらい。
彼は長男として、父と家を守りたいだけなのだ。
しかし、その言動は相手を傷つけ、父を怒らせるだけだった。
前々回、ちょっと信一は態度を軟化したかと思われたが、やはり「僕は敏夫を弟とは思っていない!」と宣言してしまった。ま、仕方ないか。
それにしても、信一の家でのファッションは、マンシングウエアが多い。あのペンギンのマークね。当時流行っていたんだろうか。きっと箪笥はマンシングのシャツでいっぱいなのだろう。無難だしな。
武だって辛い。
何しろ、金がない。次々と借金を断られる。愛する者のためには何でもやるのが彼の信条だが、そうは言っても、正彦に借金を頼むのは辛かっただろう。こんな時に限って、宮島学長とあやおばあちゃんは、伊豆に療養に行ってしまっていて、役に立たない。
そして、彼の正直さ加減が、視聴者にとってもだんだん辛くなってくる。
何しろ、正直なのだ。
中川検事に、敏夫の保釈のためなら何でもやると言われ、裁判官の前で、「そりゃそうですよ。なんでもやります」と元気に答える。それを逆手に取られて、敏夫の逃亡の手助けもしかねないなんて言われてしまう。
でも!
最後には武の誠意がいつだって勝つのだ。そこに視聴者はホッとする。
よかったね。
そんな中、東山夫妻の憎たらしさは異常。
正彦先生こそ大学を辞めるべきなのに・・・(ってまだ言ってる)。
明彦はコンクール直前のパイプ乱打事件以来、本当に吹っ切れたようだな。バッバァの言い方もサマになってきた。
ここで「バッバァ」について説明する。初期のころ、明彦が気の弱さを敏夫に相談したとき、母親を「ママ」なんて呼んでいてはだめだ、ババァと呼んでみろ、と教えを受けた。明彦は、それ以来なぜだか「バッバァ」と、そこはかとなく珍妙な発音で母を呼ぶようになり、それが母菊子の悩みの種となっているのだ。
華江と東山夫妻の対立は、深刻なものになりつつある。そんな親戚と一つ屋根の下で暮らさなくてはならないのだから、華江もつらいところだ。っていうか、同年代の従弟と同じ家で暮らすってどうだろう。しかも、明彦って一応、華江にプロポーズしてんのよね。信一はそこんとこどう思っているわけ?
まぁ、いいけど。
清司生存説に、ようやく決着がつきそうだ。これもまた時代だ。現代ならDNA鑑定とやらで一発だっただろう。それなのに、裁判という場で、生死の是非が問われるのだから、大変だ。いや、放送当時だって、「今頃それ?」って思った視聴者はいただろう。
第十七回につづく・・・
Comments
ありがとうございます!
ボランティアリーダーですか!すごいですね。明彦ははまり役でしたね。