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赤い激流第三回 レビュー

第二回目のレビューはコチラ

「どうする?二人の夫にはさまれて」

あらすじ

敏夫が大学に通いだした。しかし、宮島音楽大学の助教授で、宮島家の娘婿東山正彦(前田吟)からの評価は最悪だった。東山正彦は、宮島家のいわばマスオさんだが、同じ宮島家の娘婿である武にライバル心を燃やし、教授の座を争っていた。正彦の息子・明彦は、ピアノ科の学生で、正彦は宮島家直系の孫である華江と結婚させて、音楽大学を継がせることをもくろんでいた。正彦からの敏夫への不満に対して、義理の父である武は、黙って頭を下げるしかなかった。
武の弟・実は指揮科の特別講師として、大学に通っている。反抗的な敏夫をおとなしくさせるため、武の腕の怪我は、敏夫を助けるときに負ったものだと伝えたらどうかと提案するが、武は激しく反対する。「俺は、義理や恩義で敏夫君を教えているわけではない。彼の才能が伸びるのが楽しみなのだ。彼の奔放さが好きなんだ。この怪我が自分のせいだと知ることで、その奔放さをいじけさせたくない。絶対に、敏夫君に言うな!」そう実に説得するのを、やはりピアノ科の学生、宮島家の孫・華江は偶然聞いてしまった。
そして、妻である由美子も、その秘密を知ってしまう。
今年の毎朝音楽コンクールの課題曲が決まった。ショパンの「英雄ポロネーズ」である。武は勇んで敏夫に課題曲を弾いてみせる。しかし、敏夫は急に怒り出す。この曲は、父・清司が同じ毎朝音楽コンクールで武に敗れた曲なのだ。それがきっかけで、父は自殺した。そんな曲を、とても弾けないと、敏夫は荒れる。
荒れる敏夫は義理の妹・妙子にふざけてほっぺにキスをする。それを兄の信一に誤解されて、信一は敏夫に出ていけと迫る。
家を飛び出した敏夫は、自分のアパートに戻り、怒りにまかせて電気もつけずにショパンの「革命のエチュード」を弾きまくる。それを後ろで聞いている男がいた。
気配に気づいて、電気をつける敏夫。そこには、ずっとパネルの中でしか会えなかった父・田代清司がいた。清司も革命のエチュードを弾いてみせるが、力が抜けたように「下手になったな・・・」とつぶやく。
武は、英雄ポロネーズを弾かせようとした自分の無神経さを恥じていた。しかし由美子は、「田代は家庭を家庭とも思わない身勝手な人でした。敏夫は父の愛に飢えているだけ。本当はあなたを慕っています。敏夫にはきっと弾くように言い聞かせます。」と答える。
敏夫は幽霊を見るように清司を恐れたが、だんだん生身の人間であることがわかる。清司が、武と由美子の再婚に腹を立てているのを知ると、母さんだけは、そっとしておいてやれと懇願する。
清司が現れた以上、大沢家には戻れない敏夫。ジャズバンド仲間とジャズピアノの練習に打ち込むが、やはり大学に戻り、武のもとへレッスンに行く。しかし、英雄ポロネーズは弾かないと宣言する。レッスンに敏夫が現れたことに安堵した武は、では革命のエチュードを練習しようと提案。自分が演奏してみせるが、そんな時に腕が痛み出し、ミスタッチを繰り返す。敏夫は弾けない武を馬鹿にしてレッスン場から出ていく。それを聞いていた華江は、敏夫に「叔父様の苦しみも知らないで叔父様の悪口を言わないで!」と怒りをぶつける。敏夫には何の事だか分らなかった。
武の苦しみが、腕の痛みだと知った敏夫は、その原因を華江に問いただすために宮島家に忍び込み、運悪く正彦たちに見つかってしまう。
正彦は、即刻敏夫を大学から追い出そうとするが、宮島学長の妻で華江たちの祖母・あや(赤木春江)がその場をとりなし、事なきを得る。
敏夫を叱る由美子に対して、敏夫は、武を侮辱する発言を繰り返す。それにカッとなった由美子は、武の腕のことを口に出してしまうが、武に止められる。敏夫は由美子に「もうどうにもならない、俺には天才の血が流れている。止められない」とつぶやく。由美子に清司が帰ってきたらどうする?と聞くが、由美子は「どうもしない。私が愛するのは武さんだけ」と答えた。敏夫は覚悟を決め、母に対して大沢さんのもとで幸せになれと叫んで去る。
清司に危険を感じる敏夫は、「知らない町で、母さんのことなんか忘れて、二人で気楽に暮らそう」と提案する。清司は、由美子が自分のもとに戻ってくると確信し、必ず取り戻すと意気込む。
敏夫は大学に行かず、ジャズ仲間とバイトに明け暮れた。清司を養うためだ。
武は悩んでいた。敏夫を本当の息子として愛しているのに、敏夫はなついてくれず、教師としても失格だ。そんな心情を弟の実に吐露する。実は、「敏夫のようなじゃじゃ馬は、兄貴のようなお人よしには無理だ」と答え、自ら敏夫を説得しにかかる。
実が敏夫の前に現れた。武の腕は後半年か一年で動かなくなる。その理由は火事場で敏夫を助けたから。だからと言って武が一度でも恩着せがましくしたことがないこと、ピアノを教えるのはそれが理由ではなく、敏夫を愛しているから、怪我の理由を言わないのは、敏夫が大事だからだと教える。「このことは兄貴には黙っていろ。兄貴の愛情を無にするな。それができないなら、お前は本当に野良犬だ」それだけ言うと、実は立ち去る。敏夫は武の深い愛情を感じ、身もだえして涙するしかなかった。
敏夫は武に電話して、明日のレッスンは必ず受けることを約束する。
武は、素直に喜んだ。明日のレッスンが楽しみで仕方がない。「私は、彼にレッスンすることが出来るだけでうれしいんだ。うれしいなぁ」
そう言って笑う武。この瞬間、彼は本当に幸せだった。


感想

だめだ!
どうしてもあらすじが長くなってしまう・・・!
一つ一つのエピソードが濃すぎて、省略できない・・・!
何とかしなければ、だれも読んでいないだろう。
とは言っても、また感動して泣いてしまった私。
つか、泣いているといっても、突っ込みどころ満載の「赤いシリーズ」。ちゃんと笑いの合間に泣いているんですよ(爆)。
今回の泣き所は、武の弟・実(石立鉄男)が敏夫を説得するシーン。本当に、このドラマでは石立鉄男が役得過ぎて、笑えます。かっこよすぎて最高です。
この場面が、なぜだか乱闘です。前回も乱闘シーンで泣きましたが、今回も乱闘です。
敏夫をホテルの中庭(?)に連れ出した実は、『男の会話はこぶしでするものさ』とばかりに、いきなり殴りつけ、プール(?)に突き落とします(笑)。つか、ピアニストに乱暴はやめてください!っていう視聴者の心の叫びはむなしく響く・・・。
プールの中でずぶぬれになりながら敏夫を殴りつける実。その合間に、あの感動的な武の愛情話で、敏夫を説得するわけですが、これが泣けるんだー。
そのあと一人になった敏夫の演技も、青年の苦悩を絶妙に表現していて泣ける。
さらにそのあと、レッスンを受けると言われたときの、宇津井健の演技。
彼は、敏夫に対しては、大げさに騒ぎ立てたりしない。ただ一言、「そうか」と笑顔で答えるのみ。敏夫に無用な負担をかけないためだ。その静かな「そうか」に感動。
でも電話を切った後に喜びを無邪気に爆発させる。その純真さに、見ているほうはまた感動するのだ。

それにしても、赤木春江のおばあちゃんもいい演技だ。彼女が出てくるだけで、なんだかほっとする。この人が後年、「幸楽」で散々嫁いびりするとは、にわかには信じ難い。

ちなみに、石立鉄男が指揮科授業をしていた時に流れるピアノの連弾は、モーツアルト・交響曲第41番 第一楽章のピアノアレンジ。

第四回目はコチラ
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Comments

hirorin ... 2011/09/08 08:03 PM
>キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命さんへ。

ありがとうございます!
41番はいいですね。一時期狂ったように聞いていました。
キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命 ... 2011/09/08 06:51 PM
モーツァルト交響曲第41番はジュピターというタイトル

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