SWEET SWEET SWEET

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赤い激流・第十九回 レビュー

第十八回はコチラ

「私が犯人を教えます!」

あらすじ

東京拘置所に収監された敏夫は、絶望のあまり錯乱しており、拘束服を着せられ、保護室に入れられ、武と由美子の面会も許されない状況だ。
そんな時、また田代敏夫を名乗る人物から大沢家に郵便物が届いた。現在世界最高のテンペストを弾くケンプというピアニストの演奏を録音したテープだった。これを敏夫に聞かせて、コンクールで優勝させろという手紙がついている。由美子はその字が、清司のものに似ていると言う。武はそのテープに希望を託す。
拘置所の所長と心理学者の小谷に、武は面会を直接交渉した。敏夫が才能あるピアニストであることを説明し、このピアノのテープを聞かせれば、敏夫はきっと希望を取り戻し、希望さえあれば、敏夫は生きられると力説する武に感銘を受け、小谷は敏夫のノイローゼを治すために、ピアノを習わせようと、所長に進言する。
保護室に武の入室が認められた。相変わらず暴れる敏夫に、武はテンペストを聞かせる。絶望で敏夫は聞きたくないと暴れるが、武は諦めず説得する。武はテンペストの曲の成り立ちを説明する。「テンペストはシェイクスピアの芝居を元に作られた。周囲の人々に裏切られ、島流しにされた王が、それでもあきらめず最後には勝つ物語だ。その男に、君は負けるのか?ピアニストは死ぬまでキィを叩く。命のある限りピアノを弾くことしか、やることはない」それでも耳を傾けようとしない敏夫を、武は一歩下がってしげしげと眺めた。
「敏夫!自分の姿をよく見ろ!いつまでもそんなみじめな恰好で虫けらみたいに転がっていたいのか。それでも人間か。人間だったら立ってみろ。歩いてみろ。ピアノを弾いてみろ。あれ(テープ)と同じ音をだしてみろ。できないのか!?敏夫!」その言葉に、敏夫が動いた。「やってやる!俺はこれ以上の音を出してやる!」
「この音が出るまで死ぬな!あきらめるな!やけになるな!約束してくれ!敏夫君」
「約束するよ」

小谷は武に囚人のコーラス部を指導してみないかと誘い、敏夫に伴奏を任せると言う。早速囚人コーラス部を指導する武。敏夫も伴奏に張り切る。練習が終わり、小谷は二十分だけ練習を許可した。テンペストの数小節を弾いて、敏夫は言った。「やっぱり、ピアノさえあれば、生きていける」
真山玲子が旅先から戻ってきた。マンションの管理人からその情報を得た武と由美子は、マンションまで駆けつけるが、真山はすぐにどこかへ出かける。そのあとをつけた武は、真山が宮島家に入っていくのを目撃した。すぐに宮島家を訪問する武だが、東山夫妻に真山などいないと追い返される。強引に入り込もうとするが、家宅侵入で警察に訴えると言われてしまう。家の中では、真山が宮島夫妻、東山夫妻に「大沢さんに洗いざらいしゃべる」と、脅しをかけていた。真山に姿をくらますよう指示したのは、正彦だった。
大沢夫妻は、検察庁に行き、信一に真山を調べるよう頼んでいた。由美子は、「母親だから敏夫をかばうのではない。犯人ではないから助けたいのです」と訴える。裁判は適正だったと言う信一に、武は「人間だれでも間違いはある。あの裁判が間違いではなかったとは言えないのではないか」と反論する。聞こうとしない信一に武は憤る。「信一、お前がいつも正しいとは限らない」そう言い残して、武は帰った。
宮島家の前から離れない大沢夫妻。そこへ信一が現れた。やはり信一は父と由美子の頼みを聞いてくれたのだ。宮島家に入り込み、真山を見つけて検察庁に来るよう要請する信一。東山夫妻を怒らせてしまい、揉めているうちに、真山玲子は家を飛び出す。そこを待ち構えていたのが大沢夫妻だった。二人は真山を強引に公園に連れ出し、証言を頼む。
金をもらって証言を覆したらしい真山に向かって、武は家を売って作った500万円をすべてあげるから証言してほしいと迫る。そんなはした金はいらないと言う真山に、あなたにとってははした金でも、私にとっては全財産ですと言って頼み込む。由美子は22年間育ててきた息子を、病気なら精一杯看病する、事故なら不運とあきらめる、しかし理不尽に死刑にされるのだと言い、そのむごすぎる事実に、親の心情を訴えてすがる。真山にも、女手一つで育ててきた娘があった。息子のために、自分の膝にすがって頼み込む二人の親を前にして、真山が折れた。
わかったわ。教えてもいい。でも・・・1日だけ待って欲しい」そう言って真山は立ち去った。喜ぶ大沢夫妻だが、その様子をひそかに見つめる人影があったのを、二人は気付いていない。
囚人コーラスの指導の後、武は敏夫に真山が証言することを話し、敏夫は喜んでコンクールへの希望を膨らませる。
真山のマンションについた武を待っていたのは、真山玲子のひき逃げされた姿だった。武の友人・西条医師の病院に運ばれた真山は、西条医師の執刀で手術をすることになる。武は西条医師に手術の成功を頼み込む。真山にはまだ息があり、朦朧とした意識の下で、「先生の手術はいや・・・助けて・・・」とつぶやくのだった。
手術が終わった。真山の脳内出血はひどく、結果として真山は死亡してしまった。誰が執刀しても結果は変わらないと説明され、武は絶望する。
宮島家では、華江と信一の婚約解消を話し合っていた。正彦が検事である信一の危険性を訴え、宮島夫妻を説得したのだ。明彦は、真山が死亡したことに疑問を投げかけるが、正彦に一喝される。華江は信一との婚約解消を受け入れた。敏夫が死刑囚になったからではなく、もし華江の身内に真犯人がいたら、信一が苦しむことになるからだと言う。華江は祖父の学長に、宮島家の人間は、すべて潔白と言えるのかと迫るが、だれも答えられない。
宮島家は、敏夫の兄である信一との婚約は認められないと信一に伝える。信一は、華江が敏夫を好きだから婚約を解消するのかと聞くが、あやは、宮島音楽大学の身内に死刑囚がいては、大学の発展の妨げになるとすげなく言った。
信一は家に戻ると、何もかもすべての原因は父さんの再婚だと責める。
田代親子にかかわったせいで、父は腕を失い、職を失い、財産を失った。そう言う息子に、武は「敏夫君を一流ピアニストにしたいだけだ」と答える。その言葉に信一は叫ぶ。「僕はどうなる!?僕はこのうちを出て、婚約も解消だ!僕は華江さんが大好きだ!結婚できないなんて、死ぬほど辛い。再婚は失敗だよ」それを実が止める。「父親の再婚を侮辱するな」「叔父さんも、同じ芸術家の敏夫をかばうのか!僕なんてどうなってもいいのか。二人とも血のつながった僕より、敏夫のほうが可愛いんだ」その言い争いに、由美子が入り込んだ。出て行く信一。由美子は、「私は武さんと離婚する」と言う。実は「兄貴と別れるのは間違っている。兄貴と別れると、敏夫は助からない!二人で力を合わせて無罪を勝ち取れ」と話して兄夫妻が話し合うために出て行く。自分や敏夫と縁が切れれば、信一の婚約も戻り、武も大学の復職が出来ると由美子は必死になるが、武は由美子を愛しているから離さないと説得する。
由美子は感動して涙を流すが、その明け方、武が起きださないうちに離婚届と書置きを残して、大沢家を去った。
母から武との離婚を聞かされた敏夫は、やはりやけになって、武をののしる。自分や信一のために母を捨てるのか、と。そうではないと由美子は訴えるが、敏夫は聞いていなかった。囚人コーラスの指導に訪れた武に、敏夫は由美子のことを聞く。武は離婚する意思はなく、由美子を探していると言うが、敏夫はある決心を胸に秘めていた。誰も信じられない、自分ひとりで母を探すと言う敏夫。武は敏夫の決意が脱獄を意味していることを感じて、恐怖するのだった。


感想

いろいろ分かってきた。
ま、憶測に過ぎないが、今回でいろいろ分かったことがある。

まず、前回真山玲子に金と航空券を渡したのは、正彦先生だった。先生とつけてやるのももう嫌なのだが。とにかく、身を隠すように指示したのは正彦だと真山が言っている。さらに、なんと真山は西条医師とも通じているようだ。前回から、怪しさ爆発の西条医師。が、西条医師が手術中に何か手を加えたとして、それに誰も気付かないものだろうか。西条医師はもはや外科の教授になっているから、誰も何も言えないのだろうか。

あと、田代清司を名乗る人物について、なんとなくわかった気がする。断っておきますが、私は以前に途中からこのドラマを見たことはあります。けれども、細かい部分は相当忘れていて、たとえばこの田代清司を名乗る人物がいたってこと自体、すっかり忘れていたんです。
これって、後から明らかになることなんですかね。一応、予想としては反転しておくけど今回のやり口からして、「フランスの三津子先生(岸恵子)」かなぁと思いました。

武の熱血には今回も感動した。武が初めて敏夫を呼び捨てにした。しかしそれは人間らしさを敏夫に引き戻すための叫びだったのだ。
そして、真山に頼み込む武と由美子。二人の土下座になんだか新鮮な感動を覚えた。二人は別に土下座しようとして、しているわけではない。ただ心から証言を頼みたい。敏夫のために。その思いが、彼らの膝を自然に跪かせるのだ。そこに不自然さはない。たとえば、仕事に失敗して土下座とか、くだらない頼みごとのために土下座とか、これ見よがしにしているのではないことが芝居によって自然に分かる。いいね!

本当に、正彦先生は何であんなに偉そうなんだ?元はといえば全部自分の責任なのだ。それなのに宮島夫妻に信一との婚約解消を要請するときの態度とか、武を宮島家から追い出す態度とか、もうありえない。

そして今回の注目は、なんといっても信一だ。
え?なぜそこかって?まぁ、私はそんな人間だ。
今回信一、大爆発だ。ようやく「血は繋がらないけど芸術家の弟・敏夫」へのコンプレックスと真剣に対峙するときが来たのだ。
以前私は、信一について「エリートコースまっしぐらで挫折もしない男が、ポッと出の敏夫に全てを奪われそうになって焦っている」と書いたが、どうも違うのではないかと思い始めている。
信一は、親戚や家族のほぼ全員が音楽家の中にあって、唯一、芸術とは関係ない職業に就いた男だ。
武が信一にピアノを教えなかったとは考えにくいので、信一も子供のころは音楽漬けの期間があったかもしれない。しかも、宮島学長夫妻にとっては、外孫とはいえ、初孫、しかも男子ということで、掛けた期待も大きかったに違いない。しかし、おそらくある時点で、祖父母は信一に音楽的期待を掛けるのをやめたのではないだろうか。あるいは、それが原因で、音楽でトップを取れない自分に我慢できなくなった信一が、自らピアノを捨てたのだろう。父武は、自分が努力の人ということで、息子がすぐにトップを取ることにこだわりはなかったと思われるが、祖父母の期待に応えられない自分という存在を、信一は受け入れがたかったのだろう。
つまり、信一は音楽に対してすでに挫折を経験済みと考えるのが自然だ。
しかし、信一はそこで終わる男ではなかった。キチンと路線変更をやり遂げ、一般的にエリートと考えられる検事になることで、大沢家の跡取りとして存在感を示すことに成功したのだ。
そこへ現れたのが敏夫だ。自分が捨てたピアノの才能をあふれるほど持ち、自分がかつて受けていた期待を一身に背負う男。しかも、死刑になってもなお、自分や父に影響を与え続ける男。
一族の中で認められるには、やはり、音楽家でなければだめなのか―。
そんな思いが、本人の意識の下で駆け巡ったに違いない。
それが、今回外に向けて爆発したのだ。
なんというか・・・悲しいね・・・。

宮島あや。今回彼女は厳しかった。
そして、ようやく論点のすり替えをせずに済んだ回だった。
いや、言っていることは今までと同じだ。彼女が主張するのは、音楽大学の存続と発展。
しかし、受ける印象はずいぶん違う。今回あやは、敏夫という死刑囚と宮島家が繋がっていると見られることで大学の信用が失われることを心配している。
前回までとどう違うのかというと、前回までは、敏夫を死刑から救うには、大学の不正入学を世間に公表することが必要→それはすなわち大学の地位失墜に繋がり、大学の地位失墜は学長の命を縮めることになる→そんなむごいことはできない!という三段論法だったのだ。それが私には論点のすり替えに感じられた。
・・・やはり一緒だろうか。私にはなんだかずいぶん違うように思えるのだが。
確かに、死刑囚の兄との結婚は宮島家にいい影響を及ぼさないだろう。しかし、敏夫が死刑囚になるのを防ぐ手立てを持っていたのは、誰あろう宮島家なのだ。その責任を果たさずに、信一にのみ貧乏くじを引かせるのは、やはり違うだろうと私は思う。

第二十回につづく・・・
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キャンディキャンディ赤い激流岸辺のアルバム命 ... 2011/09/24 03:23 AM
1977年昭和52年10月7日金曜日夜放送岸辺のアルバムはこの前の週に終了しこの日から高倉健あにきがスタート

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