SWEET SWEET SWEET

第208回。

なんなんだこれ。
貴夫にはやはり、人の親としての感情はないのだろう。
娘の存在は、世間に対するカモフラージュ以外の何物でもないのだろう。
それが今日までの希薄な親子の交流の描写なのだろうと思う。

娘が祖父母の家に行きたいというのは、裏を返せば、貴夫の親としての愛情を試しているということではないのか？
自分を取るか、あの二階のことどもを取るかと迫っているのだ。
それなのに、貴夫の対応ときたらどうだ。
娘の言葉を額面通り受け取め、何の方策も取らず、自ら父母の真実を述べる勇気もないとは。
この対応には、妹兼娘は傷つくしかない。
これで親気ないと感じることなく、傷つかないとしたら、よっぽど父を憎んでいるか、憎まれていると自覚しているか、お互い何の感情も持たないか何かだろう。
ふつうならば、娘は父に捨てられたと感じるしかないほどの仕打ちだろう。


果たしてこれに嫁はどう返すか。
こんなことで娘を手放すなど、通常ならばあり得ない。
養母としてだってあり得ない。
でも、小１から何の対策も立てなかった女だ。
どう出るかは分からない。
少なくとも、あの貴夫の弟がいるところに、娘をやりたいとは思わないだろうと思うけど。