SWEET SWEET SWEET

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赤い激流・第二十三回 レビュー

第二十二回はコチラ
今回のあらすじも長い。覚悟してほしい!

「あゝ悲し!!家族の中に殺人犯が!」

あらすじ

敏夫を自殺から助けた大沢夫妻だが、これからどこに逃げるか、悩んでいた。保釈になったばかりの武が家に戻らないと怪しまれるので、武は妙子に電話してみる。大沢家には、宮島あやと正彦が来ていた。武の電話に出て、居場所を問い詰めるあや。剣幕に押されて思わず正直に答えてしまう武だが、華江さえ無事ならば警察には黙っていると言われ、敏夫と華江が一緒であることを話す。あやと正彦が車で迎えに来た。あやは華江を連れて帰ろうとするが、華江は帰らない。敏夫と華江を放っておけば、すぐにつかまり、華江も逮捕され、学長も心痛のあまり死んでしまうだろう。覚悟を決めたあやは、華江と敏夫、二人とも宮島家で匿うことに決める。正彦は反対するが、「宮島家のことを決めるのはあなたではない」とあやに一喝されて、黙った。敏夫は宮島家を嫌っているため反対するが、武は、宮島家に犯人がいるなら、探る絶好の機会だと話す。武は、真犯人にこれ以上犯罪を犯させたくないのだ。由美子は、宮島家なら当面の敏夫の安全は保障されるので、賛成する。宮島家に着くと菊子が恐ろしい勢いで反対するが、正彦は、「お義母さんが責任を負ってくれる」とあやにすべてを押し付けてなだめる。あやは、「この家は私と主人のもの。何をしようと自由です」と言って、菊子を黙らせた。敏夫は明彦の部屋で休むことになる。
夜中、敏夫に近づく黒い手袋。その手が敏夫の首にかかろうとした刹那、敏夫が目を覚まし、手は部屋から逃げ去った。やはり、この家に殺人者はいるのか?
翌日、大沢家に菊子から電話がかかる。宮島学長の退院祝いをするので、大沢夫妻を宮島家に招待するという誘いだった。敏夫も出席すると言う。菊子は散々嫌味を言いつくすが武と由美子は、敏夫の様子が見られると、感謝して誘いを受ける。武はテンペストの楽譜を敏夫に渡そうと用意するが、そこへ信一が現れる。信一が目ざとくテンペストの楽譜を見つける。武は見たかっただけだとごまかす。改めて検事を辞めることに対して謝罪する武。しかし、信一の辞表は、上司が受け付けず、慰留されているということだった。喜ぶ武だが、信一は改めて、敏夫逮捕の意気込みを宣言するのだった。「お父さんも、敏夫を逃がしたり匿ったりしたら許さない。逮捕させる。正しく生きてくれ」武は、「覚悟はできている」と告げた。
宮島家で学長の退院を祝って、パーティーが始まった。学長に敏夫を匿ってもらっていることに感謝と謝罪を述べる武。学長は「長年の経験から、あやが正しいと思ったことに間違いはない。敏夫君を匿うことなど、なんでもない」と言って、敏夫にピアノを弾いてくれるよう頼む。武は敏夫に楽譜を見せ、テンペストを弾くよう促す。正彦は、敏夫のコンクール出場資格が失われたことを話すが、武は学長に敏夫の無実が判明しても、出場できないのかと問う。学長は、無実が分かれば、出場を認めると宣言する。正彦は敏夫が真犯人だと言って嘲るが、敏夫は昨夜Rの女に襲われたと言って真犯人がいると話す。菊子はこの家に女は三人しかいないと怒るが、あやがその口論を止めた。武は希望を取り戻し、敏夫にピアノの前に座らせる。武は敏夫にテンペストの話を聞かせ、王が逆境の中にあって戦い、負けなかったこと、その心情をピアノにぶつけろと指導する。敏夫はその状況が自分にそっくりだと言って、自分の心情をピアノにぶつけることにする。
演奏が始まった。そこへ信一が宮島家を訪ねて来てピアノの音色を聞いて、顔色を変える。玄関に対応に出た由美子に、信一がピアノを弾いているのは誰かと問い詰める。その様子を明雄が見て、敏夫に知らせた。信一を抑えようとする由美子を払い飛ばし、信一は中に入り込む。倒された拍子に、家具の角で強く胸を打つ由美子。
信一が部屋に入ると、ピアノの前には武がいた。今まで武が弾いていたと言うのを、「父さんの指であのピアノは無理だ」と問い詰める信一。敏夫が隠れていると疑う信一は、これから警察に捜査させると言うが、あやが「今日は主人の退院祝いの日。音楽の名門宮島家で敏夫さんを匿うわけがない」と言って止めた。信一は、「敏夫を捕まえたら、宮島家の人間全員逃亡幇助で逮捕する」と宣言して出て行く。
武は廊下でうずくまる由美子に気付いた。由美子はちょっと胸をぶつけただけと言うが、とても尋常な様子ではない。武は「信一にされたのか?」と聞くが、由美子は否定した。すぐに今まで学長が入院していた大学病院に連れて行った。検査の結果、肋骨が折れて、肺に突き刺さっていると言う。手術自体は簡単だが、三時間以内に行わなければ命は危ない。しかも輸血に大量の血液が必要で、そこに問題があった。由美子の血液は、RH null(ヌル) A型。Nullとは、プラスでもマイナスでもない型で、非常に数が少ないと言う。医師は、息子がいるなら、息子を呼んで検査させるべきだと武に迫るが、武にはそれが出来なかった。敏夫を呼べない。妙子が入院の用意を持ってくるが、妙子にも警察が張り付いている。それを聞いて、由美子は敏夫には黙っていてほしいと武に頼む。由美子は自分の血液型が珍しいことを知っており、敏夫も同じ血液型だと言う。敏夫を呼べば、警察に捕まる。自分を助けるために敏夫がつかまるうらいなら、血液が足りなくて、これで死ぬのが寿命だったとあきらめると、自分がいなくても武が敏夫を助けてほしいと、苦しい息の下で話す。日赤には200mLしか保存しておらず、手術に必要なのは1000mLだった。日赤に登録している人物はたったの2人で、北海道と九州にしかいない。3時間以内には無理だった。医師に息子を呼べと迫られる武。電話をかけようとするが、どうしても決心がつかない。医師の話を聞いていた信一は、由美子を助けたいなら敏夫を呼べと迫る。敏夫はいつか逮捕される。気にするなと言うが、武は敏夫を警察に突き出す真似はできない。ならば由美子を見殺しにするのかと問われると、武は「俺がやることは俺が決める。誰の指図も受けない」と言って信一から離れる。
宮島家に来た武は、敏夫の顔を見ると、すぐに決心を変え、帰ろうとする。敏夫はそれを引き留め、由美子の具合が悪いことを察して、武に問い詰める。武はついに、輸血の血が足りないことを白状する。敏夫は自分の血液が必要であることを理解した。警察に捕まるために病院に行くようなものだと言って、武は敏夫が行くのを許さない。しかし敏夫は今まで育てて来てくれた由美子を見殺しになどできなかった。
話を聞いていたあやは、由美子を助け、敏夫もつかまらない方法をなぜ考えないのだと二人を叱る。あやは、宮島学長をもう一度入院させ、それと一緒に敏夫を病院に潜り込ませることを計画する。正彦は反対するが、あやは、正彦の裏口入学を清司に脅迫されたとき、正彦を守るために戦ったことを話し、それと同じように武のことも助けると言って、正彦と菊子にも協力を要請する。正彦は黙るしかなかった。
車に敏夫を隠して大学病院に行く宮島家。大学に着くと、敏夫に白衣を着せ、学長のストレッチャーを押させて病院に入り込んだ。早速手術が開始され、由美子に輸血される敏夫の血。手術は成功した。武と敏夫は、静かに喜び合った。
信一が病院にいる正彦と菊子に出会った。由美子の手術が成功したこと、由美子の手術のために、学長が入院したことを皮肉に告げる二人。信一の胸に疑惑が広がった。
由美子が意識を取り戻した。宮島家のおかげて、敏夫がこれたことを告げる武。敏夫は由美子の無事を喜んだ。そこへ信一がドアをノックした。武は部屋から出て信一を迎えると、「話がある」と言って、屋上に呼び出した。武は「由美子に死ぬほどの怪我を負わせたのはお前だろ?」と問う。由美子さんが話したのか?と信一が聞くが、武は由美子は一言も話していない、自分で考えただけだと答える。信一は、今頃罪に気づいて「そうかもしれない・・・僕が肋骨を折ったんだ・・・」と、がっくりと肩を落とす。だが、「由美子はお前を少しも恨まない。黙ってかばっているだけだ。敏夫君だってそうだ。こんなに優しい人間がいるか?」
僕に謝れっていうのか」
そうじゃない。二人はいい人間だ。二人を信じてくれ。敏夫君は父親を殺していない。これを認めてくれ。彼が善人だと信じてくれ。証拠ではなくて、信じてほしい。これほど言って分からないのか、それほど頑固なのか。それなら、由美子を死ぬほど傷つけたお前を、父さんは、許さん
「分かったよ。由美子さんと敏夫を信じよう」
「ありがとう。信一」父の思いが、息子の心を溶かした。
由美子の病室に信一が現れた。「敏夫がここにいると、すぐにつかまる。敏夫を大沢家に連れて行く。もう一度事件を洗いなおして、証拠が見つかるまで逮捕させない」と宣言する。病院から出る途中、菊子と敏夫が行き会った。菊子とぶつかった瞬間、何かを思い出す敏夫。
明彦が用意した車に乗り込む信一と敏夫だが、急に敏夫がはっきりと思い出した。菊子のつけている香水が、Rの女がつけていた香水と同じであることを。


感想

キタ!
信一を仲間に引き入れることに成功した!
キター Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
もうね、こんなシーン全然覚えていなかったんですけど、なんとなく、そうなってたかもなーって、ぼんやり思っていましたけど、それだけに、おおお!って、熱く、盛り上がって来たー!って、ジーンとしましたよ。って、盛り上がってひどい文章だ。

かつていみじくも武は言った。
「信一、お前がいつも正しいとは限らない」と。
それが現実のものとなってしまったのだ。

わざとではないとはいえ、信一は由美子に大けがを負わせ、一歩間違えれば、殺人犯となっていたのだ。それに気づいたときの信一の葛藤。これはねぇ。察するに余りあるよね。
武は事あるごとに言った。「人間、誰しも間違いはある」と。武はその信念に基づき、寛容と許しの精神で今まで生きてきた。
信一は真逆の人生を歩んでいた。そして父の寛容と許しを否定してきた。
しかし今回、その寛容と許しの中に、どれほどの愛があるのか、身をもって思い知らされたのだ。そして、自分の頑迷さが、父の寛容すら殺してしまうことを知る。その時、同じように寛容と許しを持つ由美子と敏夫を、認めざるを得なくなったのだ。信じるしかなくなった。
前回気になっていた信一の辞表の件だが、まだ受理されていない。上司に慰留されいているのだ。良かったねー。と思わず言ってしまった。ほらね、信一、こんなところにも寛容は存在するのだ。

人は、人をどこまで許せるのか。または許していいのか。
難しい問題だと思う。もちろん、ぐずぐずに、ただ甘やかせばいいというものではない。武や由美子だって、敏夫や信一を、いつも許しているわけではない。怒るときには怒り、時には手をあげる。
今回、武は許しの限界を信一に明確に示した。
その違いはどこにあるのだろうか。それはきっと、気分ではなく、信念だ。
信念を持つ人こそ、「人間、誰しも間違いはある」と言って、許すことが出来るのだと思う。

私は、いつだって自分の間違いを意識している人間なので、自分のことを考えると、相手に強く言えず、許してしまう。しかし、それとはきっと違うのだと思う。
たぶんね。

血液型問題。
これぞ、いつだって大映ドラマって感じだ。
血液型って、昔のドラマほどものすごく重要だったりしましたよね。
別のドラマだが、あの自称・天才ピアニストの娘だって、自分と父親がAB型のRHマイナスかどうかでずいぶん悩んでいた。しかしそれを解決したのもなぜか宇津井健だった。なぜ彼が血液型まで知っていたのか、それは今となっては永遠の謎だろう。

それは置いといて、今回はRH null A型かどうかが問題だった。
いやー、nullとは恐れ入った。危なくて怪我もできないね・・・
っていうか!!
まてまて!
敏夫―!
お前、手を怪我したとき、超危なかったじゃないか。アレって、輸血しなくてよかったけど、大量の出血だったよね。

今回は、前回イライラした分、かなりスカッとした。
あやの采配が冴え渡った回だった。正彦・菊子夫妻にもギャフンと言わせることに成功した。あやが、正彦にぐうの音も言わせなかったときは、本当にせいせいした。
まぁ、信一が仲間になった以外、ほとんど話は進んでいないんだが・・・(笑)。

華江が革命のエチュードを弾いていたが、この手真似は、ちょっと頑張っていた。

第二十四回につづく・・・
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