SWEET SWEET SWEET

手作りのお菓子やパン、料理など美味しいもの、
そして大好きな本など紹介します♪

赤い激流 第四回 レビュー

第三回のレビューはコチラ
本日続けてのエントリーです。今回も濃い。そして涙・・・。

「同居する二人の父」

あらすじ

宮島家では、毎朝音楽コンクールの話題で盛り上がっていた。宮島学長が、毎朝音楽コンクールに優勝した男に、孫の華江と結婚させ、大学も継がせると言ったのだ。東山正彦の妻で学長の娘・菊子は息子の明彦を出場させて、優勝するようにはっぱをかける。そうすれば、宮島家と大学は、東山家のものになるのだ。父の正彦のもと、明彦の特訓が始まるが、敏夫と明彦、優れているのは、明らかに敏夫だった。
明彦は両親に比べて気が弱く、そのためにピアノも上手くいかない。それに悩んでライバルであるはずの敏夫に相談するが、それが却ってあだになり、東山夫婦の怒りを買う。
大沢武の息子・信一は昔から華江のことが好きだった。しかし敏夫が来てから華江の態度が冷たいことに悩んでいる。東山家とのいさかいを見て、敏夫がいることで、今に父はひどい目に遭うと、信一は警告する。侮辱されても何も口答えしない敏夫に、武は感心するが、敏夫は「コンクールで優勝して、先生を見返すことしか考えていない」と答える。それを聞いても、武は笑ってレッスンを続けるのだった。
しかし、腕の痛みは容赦なく武を襲う。痛みに耐える武を見かねて敏夫は「先生は、弾かないで、言葉で指導してくれ」と言うが、武はやめない。「口先だけの指導で、私のピアノの技術と精神は受け継がれるわけがない」と、自ら演奏してみせるのだった。
腕の痛みはだんだんひどくなっている。やはりあと半年ほどで動かなくなるだろう」弟の実に、武はそうつぶやいた。だが、敏夫の話題になると、表情は一変する。敏夫の成長の速さがうれしくて仕方ないのだ。実も、兄のピアノを受け継ぐ敏夫の存在がうれしかった。しかし武は腑に落ちなかった。敏夫がやけに素直なことに。実が腕のことを話したのではないかと疑うが、実は白を切り、「兄貴の誠意が伝わったんだ」と言って励ました。
敏夫がアパートに戻ると、父清司はピアノを弾いていた。やはり妻・由美子のことがあきらめられず、迎えに行くと聞かない。敏夫は必死で止めるが、ついに勝手に出て行ってしまう。敏夫はジャズ仲間の三郎と良介を連れて、大沢家の前で見張ることにしたが、父は現れなかった。朝、敏夫を発見した大沢家の人々は、信一を除いて敏夫たちを歓迎する。
そのまま大沢家でピアノのレッスンを始める武だが、敏夫はいつ清司が来るかと、気が気でない。そんな態度を武は叱るが、華江からの電話で、毎朝音楽コンクールで優勝するように励まされる。そんな時、果たして清司は大沢家の玄関をくぐった。
敏夫は家人に知られる前に清司を空地に連れ出し、母さんを不幸にしないでくれと頼むが、清司は聞く耳を持たない。そんな清司に、敏夫は訴える。10年前、清司が蒸発してから、どれほど苦労して母が自分を育てたか。まだ28だった母は、女であることを忘れて必死で生きてきたこと。その母が、やっと武と幸せになったことを訴えた。
清司は、一瞬やるせない表情になるが、すぐに気を取り直し、由美子のもとに行こうとする。敏夫は必死でそれを止めた。
敏夫を心配する武に、信一が敏夫は空地で浮浪者と乱闘していると伝える。
武が駆けつけると、乱闘に疲れて倒れている敏夫がいた。武が敏夫を抱き起こして訳を尋ねていると、傍らの男が話しかけた。
大沢、俺だよ。しばらくだな」
そこには、死んだはずの男・田代清司がいた。
思わずへたり込む武。
そこに遅れて由美子が駆けつけた。
由美子・・・」
4人の人間が、言葉もなく、立ち尽くしていた。
大沢家で、信一が妹・妙子に語りかけた。
妙子・・・兄さん最初からわかっていたんだ。父さんの再婚は完全な失敗だ。ひどいことになるって・・・」大沢家に戻った4人は、ピアノの前で、不毛な論争を続けた。
ピアニストという地位だけでなく、妻と子供を奪ったと武を責める清司。敏夫は、母を捨てた父に、夫を名乗る資格はないという。武は、未亡人であった由美子と敏夫を幸せにしたかったと訴える。しかし、武は由美子に聞いてみる。清司のもとに戻る気があるのか?と。
由美子は毅然として答えた。清司のもとには戻る気がないこと。自分の中で、清司は死んだ人間であること。自分は武の妻であり、大沢家から出るつもりはないこと。
そこへ武の弟・実が入ってきた。敏夫は一旦清司を別室に連れて行き、落ち着かせようとする。しかし、清司は全く聞こうとしない。
武は敏夫に聞いた。自分から離れて、清司とともに暮らすのか、と。
敏夫は答える。「離れない!どうして自分が先生から離れられるんですか。先生の手は、俺の命を救ってくれたせいで動かなくなる。それなら、自分が先生の音楽の技術と精神すべてを受け継いで、先生の右腕になるしか恩返しの方法はない。おれは一生、先生のそばにいます。離れません!俺の父は、田代清司だ。でも、俺を本当に育ててくれるのは・・・あんただ!ピアノを教えてくれるのは、先生しかいない!俺を見捨てないでください!俺にピアノを教えてください!」武はそんな敏夫を抱きしめた。「わかった!離さん、離さんよ!」
師弟が、本物の師弟として心で結びついた瞬間だった

実は清司に物の道理を説くが、それも聞く相手ではない。実は昔天才と呼ばれた男ならば、二人を捨てた事実と向き合い、ちゃんと生きてほしいと訴える。実の誠意ある態度にようやく清司も動いた。当面由美子たちをあきらめる代わりに、大沢家に、自分を匿うよう要求してきた。実は当然怒るが、武はそれを受け入れる。清司だけを悲しませることはできないと、当分、大沢家で同居することを認めた。




感想

泣けたー(ToT)
感動の嵐だったよ・・・。
その前もやっぱり乱闘で笑ったんだが・・・。

一つずつ見ていこう。(笑)

今回の泣き所は、なんといっても敏夫が武に
「血のつながった父は田代清司だが、俺を育ててくれるのは、あんただ!」
と宣言する場面。
今までの流れに乗ってきて、これほどカタルシスを得るセリフがあるだろうか?
まさに、武はこのセリフのために、東奔西走してきたと言ってもいい。
また、水谷豊の演技も最高に泣かせる。
これ以上ないほど切羽詰まった表情。自分が必要とするものを、ひたすら求める純粋さ。
今までの傍若無人な演技は、この場面で最大限に生きてくる。
あれほど武に反抗していた敏夫の変化と成長を、視聴者はまざまざと見せつけられるのだ。
くさいとか、大げさとかいう評価は、この演技の前には沈黙するしかない。それだけの迫力がある。
これぞ師弟愛。
名場面だ。

次に、緒方拳演ずる田代清司が本格参戦である。
今回の乱闘の場面は、この緒方拳と水谷豊の乱闘だ。どうしても妻に会いたい父と、母に会わせたくない息子のぶつかり合いだ。
いやー、すごい。
唖然茫然である。
ピアニストが乱闘をするな!と言うのもむなしくなるほどのすさまじさだ。
どうしても笑える。

緒方拳はこれ以上ない濃い演技だ。
一昔前のチンピラのイメージって、こんな感じだよなぁ・・・とオモタ。
とにかく、人のいうことを聞きやしない。敏夫が何を言っても、「大沢が憎い。由美子に会いたい」そればっかりである。
彼は天才と呼ばれたピアニスト。その彼が10年間一人の男を憎み続けたのだ。もはや強迫観念に取りつかれていると言ってもいいだろう。しかも、彼には金も、地位も、国籍すらない。自分を天才足らしめたピアノの技術すら、もはや意のままにならないのだ。
そんな彼が、自由になるのは、大沢を憎み、由美子を求める心だけだ。
これからが本当の闘いです。
緒方拳、とにかくすごい演技です。とても晩年の枯れた演技を同一人物がやっているとは思えません。怖いです。

ちなみに、敏夫のアパートの大家さん(?)は初井言榮である。大映ドラマでは非常にお世話になった方。厳格な祖母の役などがはまり役だったが、このドラマではコミカルな演技を見せてくれる。わかりやすく言うと、天空の城・ラピュタのドーラの声の人です。

第5回目レビューはコチラ
comments (2) : trackbacks (0) : Edit

赤い激流第三回 レビュー

第二回目のレビューはコチラ

「どうする?二人の夫にはさまれて」

あらすじ

敏夫が大学に通いだした。しかし、宮島音楽大学の助教授で、宮島家の娘婿東山正彦(前田吟)からの評価は最悪だった。東山正彦は、宮島家のいわばマスオさんだが、同じ宮島家の娘婿である武にライバル心を燃やし、教授の座を争っていた。正彦の息子・明彦は、ピアノ科の学生で、正彦は宮島家直系の孫である華江と結婚させて、音楽大学を継がせることをもくろんでいた。正彦からの敏夫への不満に対して、義理の父である武は、黙って頭を下げるしかなかった。
武の弟・実は指揮科の特別講師として、大学に通っている。反抗的な敏夫をおとなしくさせるため、武の腕の怪我は、敏夫を助けるときに負ったものだと伝えたらどうかと提案するが、武は激しく反対する。「俺は、義理や恩義で敏夫君を教えているわけではない。彼の才能が伸びるのが楽しみなのだ。彼の奔放さが好きなんだ。この怪我が自分のせいだと知ることで、その奔放さをいじけさせたくない。絶対に、敏夫君に言うな!」そう実に説得するのを、やはりピアノ科の学生、宮島家の孫・華江は偶然聞いてしまった。
そして、妻である由美子も、その秘密を知ってしまう。
今年の毎朝音楽コンクールの課題曲が決まった。ショパンの「英雄ポロネーズ」である。武は勇んで敏夫に課題曲を弾いてみせる。しかし、敏夫は急に怒り出す。この曲は、父・清司が同じ毎朝音楽コンクールで武に敗れた曲なのだ。それがきっかけで、父は自殺した。そんな曲を、とても弾けないと、敏夫は荒れる。
荒れる敏夫は義理の妹・妙子にふざけてほっぺにキスをする。それを兄の信一に誤解されて、信一は敏夫に出ていけと迫る。
家を飛び出した敏夫は、自分のアパートに戻り、怒りにまかせて電気もつけずにショパンの「革命のエチュード」を弾きまくる。それを後ろで聞いている男がいた。
気配に気づいて、電気をつける敏夫。そこには、ずっとパネルの中でしか会えなかった父・田代清司がいた。清司も革命のエチュードを弾いてみせるが、力が抜けたように「下手になったな・・・」とつぶやく。
武は、英雄ポロネーズを弾かせようとした自分の無神経さを恥じていた。しかし由美子は、「田代は家庭を家庭とも思わない身勝手な人でした。敏夫は父の愛に飢えているだけ。本当はあなたを慕っています。敏夫にはきっと弾くように言い聞かせます。」と答える。
敏夫は幽霊を見るように清司を恐れたが、だんだん生身の人間であることがわかる。清司が、武と由美子の再婚に腹を立てているのを知ると、母さんだけは、そっとしておいてやれと懇願する。
清司が現れた以上、大沢家には戻れない敏夫。ジャズバンド仲間とジャズピアノの練習に打ち込むが、やはり大学に戻り、武のもとへレッスンに行く。しかし、英雄ポロネーズは弾かないと宣言する。レッスンに敏夫が現れたことに安堵した武は、では革命のエチュードを練習しようと提案。自分が演奏してみせるが、そんな時に腕が痛み出し、ミスタッチを繰り返す。敏夫は弾けない武を馬鹿にしてレッスン場から出ていく。それを聞いていた華江は、敏夫に「叔父様の苦しみも知らないで叔父様の悪口を言わないで!」と怒りをぶつける。敏夫には何の事だか分らなかった。
武の苦しみが、腕の痛みだと知った敏夫は、その原因を華江に問いただすために宮島家に忍び込み、運悪く正彦たちに見つかってしまう。
正彦は、即刻敏夫を大学から追い出そうとするが、宮島学長の妻で華江たちの祖母・あや(赤木春江)がその場をとりなし、事なきを得る。
敏夫を叱る由美子に対して、敏夫は、武を侮辱する発言を繰り返す。それにカッとなった由美子は、武の腕のことを口に出してしまうが、武に止められる。敏夫は由美子に「もうどうにもならない、俺には天才の血が流れている。止められない」とつぶやく。由美子に清司が帰ってきたらどうする?と聞くが、由美子は「どうもしない。私が愛するのは武さんだけ」と答えた。敏夫は覚悟を決め、母に対して大沢さんのもとで幸せになれと叫んで去る。
清司に危険を感じる敏夫は、「知らない町で、母さんのことなんか忘れて、二人で気楽に暮らそう」と提案する。清司は、由美子が自分のもとに戻ってくると確信し、必ず取り戻すと意気込む。
敏夫は大学に行かず、ジャズ仲間とバイトに明け暮れた。清司を養うためだ。
武は悩んでいた。敏夫を本当の息子として愛しているのに、敏夫はなついてくれず、教師としても失格だ。そんな心情を弟の実に吐露する。実は、「敏夫のようなじゃじゃ馬は、兄貴のようなお人よしには無理だ」と答え、自ら敏夫を説得しにかかる。
実が敏夫の前に現れた。武の腕は後半年か一年で動かなくなる。その理由は火事場で敏夫を助けたから。だからと言って武が一度でも恩着せがましくしたことがないこと、ピアノを教えるのはそれが理由ではなく、敏夫を愛しているから、怪我の理由を言わないのは、敏夫が大事だからだと教える。「このことは兄貴には黙っていろ。兄貴の愛情を無にするな。それができないなら、お前は本当に野良犬だ」それだけ言うと、実は立ち去る。敏夫は武の深い愛情を感じ、身もだえして涙するしかなかった。
敏夫は武に電話して、明日のレッスンは必ず受けることを約束する。
武は、素直に喜んだ。明日のレッスンが楽しみで仕方がない。「私は、彼にレッスンすることが出来るだけでうれしいんだ。うれしいなぁ」
そう言って笑う武。この瞬間、彼は本当に幸せだった。


感想

だめだ!
どうしてもあらすじが長くなってしまう・・・!
一つ一つのエピソードが濃すぎて、省略できない・・・!
何とかしなければ、だれも読んでいないだろう。
とは言っても、また感動して泣いてしまった私。
つか、泣いているといっても、突っ込みどころ満載の「赤いシリーズ」。ちゃんと笑いの合間に泣いているんですよ(爆)。
今回の泣き所は、武の弟・実(石立鉄男)が敏夫を説得するシーン。本当に、このドラマでは石立鉄男が役得過ぎて、笑えます。かっこよすぎて最高です。
この場面が、なぜだか乱闘です。前回も乱闘シーンで泣きましたが、今回も乱闘です。
敏夫をホテルの中庭(?)に連れ出した実は、『男の会話はこぶしでするものさ』とばかりに、いきなり殴りつけ、プール(?)に突き落とします(笑)。つか、ピアニストに乱暴はやめてください!っていう視聴者の心の叫びはむなしく響く・・・。
プールの中でずぶぬれになりながら敏夫を殴りつける実。その合間に、あの感動的な武の愛情話で、敏夫を説得するわけですが、これが泣けるんだー。
そのあと一人になった敏夫の演技も、青年の苦悩を絶妙に表現していて泣ける。
さらにそのあと、レッスンを受けると言われたときの、宇津井健の演技。
彼は、敏夫に対しては、大げさに騒ぎ立てたりしない。ただ一言、「そうか」と笑顔で答えるのみ。敏夫に無用な負担をかけないためだ。その静かな「そうか」に感動。
でも電話を切った後に喜びを無邪気に爆発させる。その純真さに、見ているほうはまた感動するのだ。

それにしても、赤木春江のおばあちゃんもいい演技だ。彼女が出てくるだけで、なんだかほっとする。この人が後年、「幸楽」で散々嫁いびりするとは、にわかには信じ難い。

ちなみに、石立鉄男が指揮科授業をしていた時に流れるピアノの連弾は、モーツアルト・交響曲第41番 第一楽章のピアノアレンジ。

第四回目はコチラ
comments (2) : trackbacks (0) : Edit

赤い激流・第二回 レビュー

第一回目が、まことにふがいない結果だったので、二回目をさっさとアップ。
第一回目レビューはコチラ

「育ちゆく愛にしのび寄る過去」

あらすじ

大沢武と由美子は再婚した。しかし、由美子の息子・敏夫は武を父の敵と信じて同居しようとはしない。大沢家の長男・信一もまた、父の結婚式をぶち壊した敏夫を嫌いぬいていた。
武は右腕の痛みがひどく、大学病院で友人である医師の診察を受けた。火事の時に敏夫を助けたことが原因で、腕をひどく痛め、このままピアノを弾き続ければ半年か一年のうちに、まったく動かなくなると宣告されたのだ。ピアニストである武にとって、ピアノを禁じられることは、死を意味していた。
武の弟で、世界的な名声を持つ指揮者・実(石立鉄男)は言う。「由美子さんの息子の敏夫にピアノを教えるんだ。」武と実は、敏夫にピアニストとしての計り知れない才能を感じてた。「敏夫を助けたおかげで兄さんの腕は動かなくなる、しかし、敏夫にピアノの技術をすべて伝えれば、敏夫の中に、兄さんのピアノは生き続ける」と。
武は由美子とともに敏夫のアパートを訪れた。敏夫を大沢家に迎い入れるためだ。しかし、敏夫は受け入れない。大沢武は、田代清司の敵。そう凝り固まってしまった敏夫の心を溶かすことはできない。武は、一流ピアニストになりたいなら、私の弟子になれと諭す。父の敵にピアノを習うことなどできないという敏夫に、武は、「君の才能が惜しい。私が敵でもいいじゃないか、私からピアノを習って、私を踏み台にして、一流になれ」と迫る。
その時、港に着いた船から一人の男が降り立った。
一旦は武と由美子を追い返した敏夫だが、悩んだ末、武の弟子になることを決心し、大沢家に住むことになる。武は喜んで彼を迎え、さっそくレッスンを始める。
敏夫のピアノを聞いて、宮島家の孫娘・華江(竹下景子)もその才能を確信する。しかし、信一が敏夫のジャズ仲間や由美子につらく当たるのを見て、敏夫は怒りを爆発させる。
武は、対立する二人をとりなし、敏夫に宮島音楽大学の編入試験を受けるように勧める。気が進まない敏夫だったが、信一に受かるわけがないと馬鹿にされ、意地でも合格すると意気込む。編入試験の課題曲はリストのハンガリアンラプソディ。武のしごきはきつかった。敏夫でも音を上げるほどだったが、武は、練習で傷ついた敏夫の指を自ら手当し、父の敵を討つなら、これくらいで音を上げるなと励ます。試験を控えて、敏夫は信一に、合格したら、由美子を母と呼ぶこと、自分を野良犬と呼ぶのをやめることを要求する。しかし、義理の妹・妙子にだけは、不安を吐露するのだった。
編入試験は実技の点数は最高だったが、学科試験によって不合格になってしまう。敏夫はそれを聞いて大沢家から出ていこうとするが、武と弟の実が学長に掛け合う。実技が最高なのに、国語と英語がわずかに足りないくらいで落とすなんて、とても受け入れられないと。武は学長に問う。「学長、音楽の教育ってなんですか。私は才能ある生徒を見つけて、すべてを伝える。生徒は、私の技術と精神をすべて吸収し、私に代わって成長していく。それだけです。私の考えが間違いならば、私は大学を辞めます」この言葉が学長の心を動かした。結果、敏夫は合格となった。
それを聞いた敏夫は、裏口入学だと言って武を責める。やはり学長と手を組んで、父を陥れたのだと。
そんな敏夫を武は力ずくで押さえつけ、説得する。「お前の生きる道は、ピアニストになることだ。それ以外のことは考えるな。おれなんか、足元にも及ばないピアニストになるために、小さいことはかまうな。おれは縄に括り付けてもお前を大学に引っ張っていく!」武の必死の説得を、敏夫は「ここは俺の部屋だ!出ていけ!」と、強がりながら受け入れる。初めて、武と敏夫の間に師弟、いや、親子の結びつきができた瞬間だった。
その時、敏夫のアパートに、港に降り立った男が現れた。大沢武と由美子の結婚を知り、部屋に入り込み、自分の若き日の写真を見つけて愉快そうに笑う男、その男こそ、10年前死んだはずの、田代清司。敏夫の父親だった。


感想
長いっつーの!

あらすじだけでこの長さって、もはやあらすじではないと言える。
取捨選択が出来なくてすみません。
しかし!
まだ二回目なので、状況説明もかねてあえて書きました。ここをはしょると、今後の展開に響いてくるのですよ。我慢して読んでくだされ。
それにしても濃い。とにかくエピソードを詰め込んでいる。普通のドラマだったら、今回だけで2話か3話分になったはずだ。たとえば、敏夫が大沢家に来るまでだけで1話分使ってもいいと思う。さらに、敏夫が大学受験するくだり。私はてっきり、大学の受験は次回に持ち越すもんだと思っていたが、あにはからんや、合否まで一話の中に詰め込んでしまった。すさまじいスピードである。
しかしそれだけに、無駄な部分が全くない。役者のセリフは膨大なのだが。
そして、今回思わず私は泣いてしまった。
まず宇津井健が、敏夫を合格させるために、学長に向かって演説をぶつ場面。教育者とはかくあるべしと、教えてくれる。さらに敏夫を無理やり説得し、大学に通うことを受け入れさせる場面。この場面は乱闘、格闘である。若い水谷豊を相手に大立ち回りする。しかも、説得の演技が感動的なのだ。まさに体当たりの演技。宇津井健が、ここまで激しい芝居をするとは、ちょっと予想してなかった。
それにしても、ピアニストがこんなに危険な乱闘をするとも思えないのだが・・・。
そして、敏夫だ。彼は散々傍若無人にふるまう。反発している相手には容赦しない。けれども、今回のエピソードで、彼が単なる乱暴で無礼なだけの人間ではないことがわかる。
彼が大沢家でピアノを習おうとしたのは、母の説得があったからだ。「母さん孝行のために、ピアノを習ってちょうだい」と言われると、母さんのために、と素直に大沢家に来る。そして、大学受験に失敗すると、確かに荒れ、出ていこうとする。しかしそれは、大沢家の長男、信一との賭けに負けたからではない。師である武に対して、恥ずかしくて顔向けできないからだ。そう、彼は素直で恩義を感じ羞恥心も持ち合わせた純粋な青年なのだ。
敏夫の大学行きが決まり、物事は順調に進むかに見えた。しかし、そうは問屋が卸さないのである。

ちなみに、大沢武が家で演奏していた曲は、ショパンの「木枯らしのエチュード」。「スチュワーデス物語」では、新藤真理子の得意曲だった。

第三回目レビューはコチラ
comments (1) : trackbacks (0) : Edit

赤い激流・第一回 レビュー。

赤い激流への熱い思いはコチラ


「許されぬ結婚式」

あらすじ
はい。張り切ってあらすじといきたいところですが!
なんと!
第一回目から、録画失敗しました!
痛恨の極みであります・・・。大ショック!
山口百恵が・・・。噂では、山口百恵は一回目にしか出てこないらしいのですよ。
本当は、人物相関図とか、登場人物の一覧とか作りたいんですが、時間がないので、無理かな・・・。

ま、気を取り直して、後の回を見たり、公式HPを見て第一回の予想を立てて書くことにします(笑)。
何しろ見ていないので(笑)時系列などが違っていて当然です。そこら辺はご了承ください。

あらすじ

大沢武(宇津井健)は、宮島音楽大学のピアノ科助教授にして、大学の創始者・宮島学長の娘婿である。妻は早くに亡くしているが、長男の信一(中島久之)は東大卒で東京地方検察庁に勤める検事、長女の紀子(山口百恵)はバイオリニストを目指し、パリ国立音楽大学に留学、次女の妙子(久木田美弥)は宮島音楽大学に通うバイオリン科の学生で、幸せな家庭を築いていた。ある日、彼はとあるジャズバーで、非凡な才能を持つジャズピアニストに出会う。彼の名は田代敏夫(水谷豊)。
そして偶然に、二人が同じビルにいる際にビル火災が起こり、敏夫が窓から落ちそうになってしまう。武は青年の命を救うべく彼に手を差し伸べ、窓から彼を引き上げ救助するのだった。
青年を助けた武は、その青年が、かつて自分と数々のコンクールでしのぎを削った相手、天才と呼ばれたピアニスト・田代清司(緒方拳)の息子であることを知る。
そして、田代の妻・由美子(松尾嘉代)と久しぶりに再会する。清司と武は、コンクールだけでなく、由美子の愛も争った相手だったのだ。しかし、田代清司は、毎朝音楽コンクールで武に敗れたことに絶望し、10年前由美子と敏夫を捨て、フランスに渡り、マルセイユの海で自殺していたのだった。
未亡人として敏夫を一人で育てていた由美子に、武は改めてプロポーズする。武の誠意に心打たれた由美子はその申し出を受け、再婚する。
しかし、その再婚を祝福しない男がいた。清司の息子、敏夫である。敏夫は、コンクールに敗れた清司から、コンクールの審査が宮島音楽大学の学長によって、娘婿の武を優勝させるために操作されたものであると聞いており、それを全て信じて、武に憎悪を募らせていたのだ。敏夫は清司を忘れることなく、住んでいるアパートにピアニスト・清司を写したパネルを飾っており、父のようなピアニストになることを夢見ていた。
敏夫は二人の結婚式に乗り込み、式をめちゃくちゃにしてしまう。そんな敏夫を見て、武の長男・信一や親戚一同は敏夫に悪感情を抱く。
しかし、武は敏夫を義理の息子として温かく迎えたいと思っている。
そんな時、武の腕がしびれ、痛み出した。ピアノを弾くこともままならない。この腕の痛みが、彼と、敏夫の運命を、大きく変えることになるのだった。


感想

てか!見てないのにここまで予想あらすじを書いた私をほめて欲しい(笑)。
見てないのに感想も何もあったモンではありませんが・・・。
しかし残念。山口百恵の、「バイオリンを弾く演技」を見たかったもんです。
というわけで、詳しい感想は、次回に回します・・・。申し訳ありません。
しかし、父親がピアノ科の助教授であるにもかかわらず、娘二人はバイオリニストを目指してるって・・・新しいんじゃない?

第二回のレビューはコチラ
comments (1) : trackbacks (0) : Edit

赤い激流の思い出。

「毎朝音楽コンクール」
この、某新聞社を足して2で割ったようなコンクール名を、私は一生忘れないだろう。
このコンクールとの出会いは、まだ学生のころだったと思う。
夕方、何気なく映っていたテレビから聞こえて来る音声の中に、この名前はあった。(ちなみに、読み方は『まいちょう』である。まいあさではない)
二人の男が、このコンクールに向けて、ひたすらピアノのレッスンをしていた。
しかも、刑務所の中で。
一人はピアノの師。一人は、死刑囚の弟子。
このぶっ飛んだ設定に、私はたちまち釘付けになった。

そう、これはドラマ・赤い激流の中の、架空のコンクールなのだ。
私が見たのは、再放送だった。
もうずいぶん前のドラマなので、気にしないであらすじを書くと、このドラマは、音楽大学の助教授である大沢武(宇津井健)と、彼に才能を見出され、しかし過酷な運命に翻弄される青年・田代敏夫(水谷豊)が、一流ピアニストへの登竜門・毎朝音楽コンクールを目指す物語だ。しかし、前半の話は見落としていて、すでに主人公の水谷豊が父親殺しの容疑で逮捕されてしまった後から見始めたのだと思う。
途中から見始めたので、なぜ父親が殺害されたのか、さっぱり分からなかった。しかも、水谷豊はどうやら冤罪らしい。確か、裁判はまだ始まっていなかったと思ったが。青年が留置所にいるにもかかわらず、師・宇津井健は役所の人間を誠意で口説き落とし、弟子・水谷豊にピアノのレッスンをするのだ。
荒唐無稽といわれればそれまでだが、あらすじがさっぱり分からないにもかかわらず、私は夢中になった。
夢中にさせられるだけの、ドラマの勢いがものすごかったのだ。
役者がとにかく、熱い!今のドラマからは考えられないくらい過剰とも思える演技と演出。
しかしそれが昔のフィルム映像なだけにしっくり来る。
今のドラマにないもの、いや、今のドラマが忘れてしまったものが、確実に、ここにある。
そして毎回話が二転・三転する。
まさに激流。
ピアノコンクールが物語の骨子なのだが、視聴者がいやおうなくひきつけられる点は、殺人の真犯人は誰かということだ。
何しろ、主人公が犯人にされているのだ。冤罪であることは分かりきっている。しかも、水谷青年を救うため、ひいてはピアノコンクールに出場させるために、師である宇津井健が真犯人の名乗りを上げたりする。もちろん嘘だが。さらに水谷豊の母親役の松尾嘉代まで真犯人の名乗りを上げる。彼女は宇津井健と再婚しており、つまり夫や息子を救うためなので、もちろん嘘だ。
さらに悪いことに、登場人物それぞれがそれぞれに被害者を殺害するだけの動機を持っているのだ。誰が犯人でもおかしくはない。
みんなが疑心暗鬼になる中、宇津井健と松尾嘉代だけは、青年水谷を信じ、彼を励まし、導く。
これは師弟愛と親子愛のドラマなのだ。
宇津井健は、おなじみの誠意と博愛を持って全てを制すという役柄の演技で、熱く私たちの心を打つ。
もしかしたら、彼こそ、どの役をやっても宇津井健であると言ってもいいかも知れない。しかしそれは、本人のイメージでもって演技しているのではなく、その優しく純真、おおらかで、全てを包んでくれるキャラクターが、宇津井健にしかできないという意味で私はそう言いたいのだ。
現在のキム○クのように、何をやってもキム○クという役者といえば、このドラマで言うと、石立鉄男がそれかも知れない。彼は何をやっても石立鉄男にしか見えない。彼の強烈な個性がそうさせているのだ。しかしキム○クと決定的な違いがある。彼の演技には説得力がある。彼の個性と役柄がちゃんと融合しているのだ。彼の中に、ちゃんと役柄は生きている。そして、見るものを、強引に納得させてしまうのだ。

そして水谷豊。彼もものすごい過剰演技だ。相当ぶっ飛んだテンションで私たちや宇津井健に迫ってくる。しかしドラマを見ていくうちに、その演技が不思議でもなんでもなくなる。若き天才芸術家を、全身で表現しているのだろう。
彼のピアノ演奏の演技もすごかった。本当に演奏しているように見えた。しかしまさかテンペスト(第三楽章)が弾けるとは信じられず、毎回、母と「本当に弾いているのか」というテーマで論争を展開したものだ。

まぁ、私ごときの役者論は置いといて(ていうか、演技のことなど、私はまるっきり素人なので、あしからず)、ドラマに戻ろう。
殺人の真犯人探しと平行して、毎朝音楽コンクールは、刻一刻と迫ってくる。果たして、殺人犯としてとらわれた水谷豊はコンクールに出場できるのか。宇津井健は、弟子にピアノを教えることができるのか。犯人は誰か?怒涛の展開の中、物語は終幕を迎える。
最後の顛末のネタばれは、ここでは避ける。
しかしこのドラマ、DVD化されていないらしい。
赤いシリーズといえば、山口百恵だが、彼女は「激流」にはちょい役で一度か二度しか出ていないのだ。その他の事情があるのかどうだか知らないが、DVD化されていないから、再放送を待つしかない。私は長年、前半の見落とした部分を見たくてたまらなかったが、今年、8月からCS放送で再放送される情報をつかんで、小躍りした。
これのために、TBSチャンネルと契約したのだ。
もう一度、水谷豊のテンペストが聞ける・・・。そう思っていた。
これから、その再放送を見た感想とあらすじを記していこうと思う。
ものすごく、需要がないし、現在すでに11回目に到達しているため、レビューとしてはすごく遅れているのだが、この熱い感動を、残さないわけにはいかず、書いていこうと思っていますので、しばしお付き合いください。というか、全然無視してくださっていいのですけど・・・(汗)。

ちなみに、テーマ曲のピアノ部分は、今は亡き羽田健太郎氏が演奏している。
オープニングの動画はコチラです。音質いいです。オープニングのロングバージョンです。荘厳です。メロドラマ風です。
必聴ですぞ!
では長くなりましたが、次回からよろしくお願いします。

第一回目のレビューはコチラ
comments (4) : trackbacks (0) : Edit

レモンパイのホイップクリームのせ。

大変お久しぶりです〜!
ずっとご無沙汰で申し訳ありません。
何というか・・・
サボってました!
言い訳のしようがなく。
暑いと何もやる気が起こらず・・・スミマセン。
実は某ドラマの再放送をCSで毎日視聴中でして・・・。
それに夢中になっております(爆)
それのレビューなどをこれから書いていこうと思っております。


というわけで、作ったのはずいぶん前ですが。
第二「赤毛のアン」の「アンの青春」より。
レモンパイのホイップクリーム乗せです。
アンの物語にレモンパイは何度も出てきますが、パイにはメレンゲではなく、ホイップクリームを乗せているという描写があります。
「アンの青春」には、アンの愛読書作者であるモーガン夫人をお招きしたときに張り切って用意されます。
とても素敵にできましたが、モーガン夫人は食べてくれたのでしょうか・・・?
続きは、本文を読んでいただくとして、レモンパイの生クリーム乗せを作ってみました。
レシピは、飯田奈美さんの、「LIFE3」より。
レモンメレンゲパイって、とってもおいしいです。
私が初めて作ったのは中学生くらいだったと思いますが、その夢のようなおいしさに、感動しました。
けれど、初めて作ったときから、悩みの種は、メレンゲから水が出てしまうこと。
水が出ないようにするコツなども、当時知りませんでしたので、すぐ水が出てしまうお菓子が不可思議でならなかったんですよね。
外国では、水が出ないうちに、全部食べてしまうのかなぁ?って。
でも、アンは生クリームを泡立てたものを使っています。
これなら、水も出ず、おいしいだろうなぁって、思っていました。

l.jpg



ちょっと、レモンクリームの煮詰めが甘かったみたいで、切り分けたときどろどろになってしまいました・・・。

l2.jpg



お味は・・・
おいしい!
でも、やっぱり私はメレンゲのほうが好きかな・・・(笑)。
生クリームでレモンの酸味が和らいでまろやかになるのですが、生クリームだけに、ちょっと重く感じてしまうのです。
姉も同じ感想でした。
でも甥っ子のゆうたんは、生クリームのほうがいいって。

それに、生クリームだと、卵白が余ってしまうのよね・・・。
アンは、ちょうど夏の盛りに作っていたようですが、卵が豊富にとれる夏ならではのデザートだったのではないでしょうか。
comments (6) : trackbacks (0) : Edit
<< 4/4